「生理&骨盤底筋トレーニング」で、明るく体と向き合うvol.1 ~今月の先生・関口満紀枝さん

からだ修行
2016.09.21

今回の「からだ修行」はちょっと特殊です。何しろ先生は、女優さん……! この関口満紀枝さん、女優でありながら、ホメオパス(ホメオパシーの健康相談を行う専門家)の経験もあり、生理コントロールなど身体に関するワークショップも多数開催していたという不思議な経歴の持ち主。彼女の考える、「明るく楽しい、女性のからだとの付き合い方」を、伺ってきました。

photo:砂原 文 text:田中のり子

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実に多彩な活動を行っている、女優の関口満紀枝さん。つやつやと輝くようなハッピーオーラが漂うお姿は、見ているこちらもついしあわせな気分になってしまう感じです。彼女のプロフィールや活動経歴をひもとくと、ダンサー、女優、歌手、芸人などで「舞台に立つ」本業と、ホメオパス、ワークショップ、生理トレーニングなどの社会貢献を通じ「人々を健やかにすること」という、ふたつの方向性が際立ちます。そのふたつは、「身体を知ることは楽しくて、楽しむことこそが、健やかでいることの何よりの方法!」という、強い思いによって結びついています。

その思いが象徴的に現れているのが、関口さんが発案した「カラダオーケストラ」というメソッド。ダンサーや舞台女優としての経験を生かした、身体と声を使った体験型ワークショップで、現在は彼女の教えを受けたインストラクターのもと、全国各地の学校や企業、病院などで行われています。知らず知らずのうちに、笑いながら、楽しく声を出し、身体を動かしており、小さなお子さんからお年寄りまで、誰でも楽しみながら参加できるので、「身体を動かすのって、すっきりする! 楽しい!」「声を出すことが、気持ちいい!」と、多くの喜びの声が届いているそうです。

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「日本では歌とか踊りは、好きな人が限定された場所で行うもの……という印象が強くなってしまっていますけど、人と集まったときに、楽しくて身体が動いちゃって、自然に踊っちゃったり歌っちゃったりすることって、健康の証拠ですよね。健康について本を読んで勉強したり、セミナーを真面目に受けたり、頭ガチガチになってしまっている方も多いですが、『実際その身体で、歌ったり踊ったり、楽しいことができるの?』。そんな思いがきっかけとなった、ワークショップなんです」

もともとは、ダンサーからキャリアをスタートした関口さん。身体表現を追求していくと、自然に「自分の身体」についての意識も強くなっていきました。やがて演劇の舞台にも立つようになり、ホメオパシー(今から約200年前、ドイツの医師・ハーネマンによって確立された、自己治癒力を使う同種療法。「症状を起こすものは、その症状を取り去る役割がある」という考えのもと、症状には同じ症状を出すものをほんの少量与え、症状を出しきることで治癒につなげていく)に出会ったときに、「これは役作りに使えるな……!」と、強く思ったといいます。……え? 治療法が、舞台の役作りにってどういうこと??

「演劇の役作りには、人間理解が必要不可欠ですよね。そして『からだを理解すること』は結局、「人間を理解すること」なんだ~~と、気づかされたんです」。

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ホメオパシーは、ひとりひとりの体質や状態をしっかり見極め、それぞれの身体にあったかたちで自己治癒力を引き出すことで知られています。

人間というものは、必ずどこかしらに病気があったり、身体にクセがあったりするものですよね。肌が乾燥していたり、にきびがたくさんできていたり……。劇の役になるキャラクターというのは、それらがさらにデフォルメされたような存在。『空気が読めなくてちょっと痛い女子高生』とか、『みんなに悪口を言われているんじゃないかと考えている被害妄想の女性』とか。こういう性格や気質も、実は体質から来ているんです。だから、キャラクターを想像するとき、身体に関する知識があれば、その人の体質もリアルに想像できて、例えば『この人のクセは、いつも肌が乾燥していて、痒いところをかいているんだろうな~』など、具体的な想像が働くんです」。

さまざまな女性をたったひとりで演じ分けているという一人芝居『月刊・関口満紀枝』は、関口さんの重要なお仕事のひとつ。そんな身体観察眼も、こちらの舞台では大いに生かされているそうなのです。

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こちらは関口さんが暮らしの中で活用している、ホメオパシーのレメディ(治療のために飲用する、様々な物質を一定の方法によって水で希釈を繰り返したものを砂糖玉に染みこませたもの)。アメリカ旅行に行ったとき、オーガニックスーパーで購入したもの。アメリカやドイツでは、身近な存在として人々の健康に役立っていると言います。現在関口さんは健康相談を行ってはいませんが、日々の生活でホメオパシーの知識は随所に活用しているそうです。

上記のような人間理解は、実は舞台の上だけでなく、現実の日々の生活でも生かされること。自分がなぜか怒りっぽくなっているとき、ダラダラやる気が出ないとき、悲観的な気分になっているときに、「あれ? 今の自分の身体の状態はどうなんだろう?」と、立ち止まる。あるいは、「なぜあの人は、こんなにもイライラをふりまくんだろう」と感じたときに、「その人の体質は、どんな感じだろう?」「もしかして、生理がガタガタなのかもしれないな~」などと考えてみる。

性格や気分、気質などを、身体の状態から理解するようにすると、妙に納得して必要以上にダメージを受け取ることもなく、結果的に、人間関係や自分自身の感情コントロールもスムーズになったりする。身体への理解を深めることは、単に健康に近づくだけでなく、心理的な効能もあったりするのです。


さてそんな関口さん、最近気になっているのは骨盤底筋の存在。立花杏衣加さんが主宰する「日本おまたぢから協会」にて学びを深め、自ら「生理トレーニング」についての講座も行っているそうです。

「私、長男の出産が、何と15分で済んでしまったんですよ。だから『私はお産が得意なんだ!』と思い込んでいたんです。ところがふたり目のとき、元気だからと妊娠7か月まで舞台に立っていたら、切迫早産になってしまって」。

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そのときのお医者さまの診断は、「子宮頸管無力症」。陣痛がきていないのに、子宮口が開いてしまっていたのでした。その後を安泰に過ごしていたので、二男くんも無事出産できましたが、「自分の身体に、無力な場所があるのかも??」という疑問が残りました。調べているうちに骨盤底筋のこと、それにともなう生理や子宮のこと、女性の健康について、深く考えるようになったそうです。

生理というのは、女性の健康をいちばん分かりやすいかたちで教えてくれるもの。経血がドロッとしていたり、夜たくさん出たり、1週間以上続いたり、その時期には寝たきりになってしまったりなどなど……はっきり言うと、これは健康とはいえない状態なのですよね」。

ガガーーン。私自身、長年「生理が重い」という言葉でにごしてまいりましたが、「健康ではない」と聞くと、何だかちょっとショックな気分です。

「ならは『ハッピーで、健康な生理とは何ぞや?』ということを、私の講座ではお伝えしています。それは2晩3日で終わり、状態はサラサラしていて、夜は出なくて朝に始まる。自律神経の関係なのですが、副交感神経(心身が落ち着き、リラックスしている状態で活発に働く自律神経)が優位な夜には、月経血は出ないのが本来の在り方なんです。

そして子宮は、例えるなら高級ホテルのベッドのように、ふかふかでやわらかくて温かいもの。『今月は精子くんが来なかったな~』となったら、スーーーッとすみやかに流れ落ちるのが“いい生理”。それが寒くて固くて、バリッとはがして落とさないといけないような生理は、やっぱり痛くなって当然。普段から平熱が高くて、ポカポカした身体であることも、とても大切なんですね」。


→vol.2に続きます

 

第1回「頭も心もとろんとろんになるヘッドマッサージ」はこちらから

第2回「身体にふれることで、ありのままの姿を観察し認識するセラピー」はこちらから

第3回「身体を土台から整えていく、究極のインソール」はこちらから

第4回「天然ヒノキ&酵素のチカラで、ツルツルほかほか」はこちらから

第5回「家庭の薬局として、はちみつを見つめ直す」はこちらから

第6回「腸活は、自分の体質に合ったものを!」はこちらから

Profile

関口満紀枝

Makie Sekiguchi

オリオンズベルト所属。女優芸人・ダンサー 歌手。カラダオーケストラ®ワークショップ発案者。日本ホメオパシー医学協会認定プロフェッショナルホメオパス。日本おまたぢから協会認定講師。二人の男児の母。多摩美術大学演劇コース在学中からダンスシアターカンパニーパパタラフマラに所属、メインパフォーマーとして世界各国公演に出演。2000年より作家近藤ともこと共に一人芝居「月刊関口満紀枝」を開始、主演・演出・振付を手掛ける。表現スキルのオリジナルトレーニング・ノウハウを伝える学校「オリオンズベルトアカデミー」副校長。現在はCMやドラマ など、メディアでも活躍中。

田中のり子

noriko tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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