脚本家・木皿泉の幸福論 Vol.2

暮らしのおへそ
2017.01.11

 

トムちゃんと出会う前は
「こうあらねば」と
”ワタシ”を押し殺していたのかな。
誰かのモノサシで生きるのをやめたら
どんよりした日常が「あ、楽しいんだ」って。

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Vol.1はこちらから

仕事が乗らないときも、ちんまりした人形や雑貨を買ってくるのだそう。
「最近買ったのは小さな空海さんのお人形。
なんだか慰められて、さ、やろうかという気になるの」と妻鹿さん。

和泉さんも、散歩に出ると小さなお土産を買ってくるそう。
なにかを渡して、なにかを受け取る。
小さなかけあいが積み重なってできていく日常。
そこには確かなぬくもりがありました。

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妻鹿さんがアンティーク市で買ってきた明治時代の木彫りの空海さん。

 

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和泉さんが散歩に出たときに妻鹿さんにお土産に買ってきたという温泉につかる猿の置物

 

脚本家になる前は、商社のOLをしていたという妻鹿さん。
「パーマをあててお化粧して、パンストはいて、
なんとか1ヶ月は頑張ったけど、
すぐにこんな馬鹿なことやってられるか! 
ってひとりジーパンで通いはじめました。(笑)
女子はかくあるべし、という同調圧力に心底うんざりしていて、
会社員は私の商売じゃない、とずっと思っていた。
それでシナリオ学校に通い始めたんです」
学校には、すでに漫才作家として木皿泉という
ペンネームで活躍していた和泉さんも在籍。
この出会いが妻鹿さんの人生を大きく変えることになるのです。
妻鹿さんのシナリオに惚れ込んだ和泉さんが、
漫画原作の仕事に誘いこんだことで、2人は急接近。
やがて一緒に暮らしはじめます。
子供の頃から、食べることに興味がなくガリガリで、
結婚願望もゼロ、日常はなんて退屈なんだと思っていた妻鹿さんは、
和泉さんと一緒に過ごすうちに

「ああ、一緒に食べるっておいしいんだ。
暮らしのあれこれって楽しいんだ」と初めて思ったのだそう。

 

「トムちゃんがまるごとの私を受け入れてくれて、
“私はそのままでここにいていいんだ”と思ったら、
“こうあるべき”という呪縛から自由になって、
ずっとオフだった人生のスイッチがようやくオンになったんです」

Vol.3に続く

『暮らしのおへそVol.22』より

text:木村愛 photo:興村憲彦

 

Profile

木皿泉

KIZARA IZUMI

和泉努と妻鹿年季子による夫婦脚本家。2003年連続ドラマ『すいか』で向田邦子賞を受賞。2005年年『野ブタ、をプロデュース』、2010年『Q10』など人気ドラマを多数手がける。2013年、初の小説『昨日のカレー、明日のパン』(河出書房新社)を上梓。NHKで放映されたドキュメンタリーを収録した『木皿泉~しあわせのカタチ~DVDブック』も話題。

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