焼き菓子店「dans la nature(ダン・ラ・ナチュール)」千葉奈津絵さん(後編)

”つくる人”を訪ねて
2017.01.17

~暮らしのシーンになじむ心安らぐお菓子たち~

 

一度食べたら忘れられない、自宅で焼き菓子の工房兼ショップを構える、千葉奈津絵さんのおはなし、つづきです。

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Photo:有賀 傑 text:田中のり子

 

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6年の修行を経て紅茶専門店を退職後、少しずつイベントなどで自分のお菓子を販売するようになった千葉さん。「ダン・ラ・ナチュール」の屋号を初めて掲げたのは、東京・国立のレストラン「ニチニチ」で開催される「ニチニチ日曜市」でした。そこで千葉さんの代表作となる「マフィン」が人気を呼ぶようになります。

「それまでも自分なりのお菓子は作っていましたが、誰かのレシピをアレンジしたりしたものでした。でもこのマフィンは初めて一から、『これが自分の味なんだ』と胸を張って言える味だったんです。それが『おいしいからまた買いに来ました』とリピートしてくださったり、『うちのお店で扱いたい』と声を掛けてくださる方がいたりして、お菓子作りを続けていく大きな自信になりました」

技術的にはどんなに完成度の高いお菓子が作れても、「自分の味」をつくり上げるのは、実は至難の技。千葉さんは、自分が目指すお菓子の在り方を、こんなふうに話してくれました。

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「私にとって、実は主役はコーヒーや紅茶で、飲み物ありき。お菓子はそれに添えられるものであって、中心ではないんです。飲み物の邪魔をしてはいけないから、味は複雑すぎてはいけないし、それでいて素材の味わいがしっかり感じられるもの。そして食べ終わったあとに『もうちょっと食べたかったな』と余韻が残るものが理想なんです」

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そんな千葉さんの考えを反映するように、お店では徳島の「アアルトコーヒー」や静岡の「テテリア」の紅茶など、そのおいしさが全国的に知れ渡る飲み物たちも販売されています。決して人をびっくりさせるような味ではなく、それでいて、後を引く味わい。言葉にするとシンプルですが、いざこういうお菓子を作ろうとしても、自分の中にしっかりとした「おいしい」の軸がなければ、できることではありません。

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もうひとつ千葉さんのお菓子で際立つ特徴は、果樹農家さんとの付き合いの中から生まれたものたち。福島「あんざい果樹園」の洋なしやりんご、ご近所東京・三鷹の「oli oli農園」のキウイフルーツ、瀬戸内・豊島(てしま)から届くレモンなど。素朴で日持ちがする焼き菓子類とはまた違った、フレッシュなフルーツを使ったショートケーキやプリン、フルーツサンドなども工房販売では人気です。

「果物は一度にたくさん届くから、いつも待ったなしの状態で。どうしたらおいしく食べられるかを考えるのが大変でもあり、楽しくもあり(笑)。季節感を感じられるし、毎年味わいも違う。生産者さんとの長いお付き合いの中で、かけがえのないことを学ばせてもらっています」

工房販売を始めた当初は、焼き菓子好きな女子たちがバスを乗り継いで駆け付けてくれることが多かったそうですが、最近は近所に住むおじいさんやおばあさん、小さな子どもを連れたお母さんなども増え、かつては赤ちゃんだった子が小学生になり、ひとりで小銭をにぎりしめて訪ねてくることも多いそう。

「私はお菓子を作ること以外、本当に取り柄がなくて、他のことをしたいと思わないし、できないんです(笑)。こんな私でも作るといろんな方に喜んでもらえて、すごく幸せです。今はお菓子を買っていただけているだけですが、いつかお皿に盛りつけたかたちで、飲み物と一緒にお出しできるような機会が持てたらいいな……なんて考えています。この先どうなるかは分からないですが、お菓子を作ることだけは続けていきたいと思います」

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dans la nature(ダン・ラ・ナチュール)
東京都調布市深大寺東町6-39-41

第2・4の金・土曜に工房販売を行う。

営業日時はホームページで確認を。

Profile

千葉奈津絵

Natsue Chiba

パン屋・紅茶専門店での製造勤務の後、2006年より「ダン・ラ・ナチュール」としての活動をスタート。2012年に自宅に併設した工房兼ショップで焼き菓子の販売をスタート。一昨年の出産を経て、2016年より焼き菓子販売を再開。著書に『ももの木 なしの木 りんごの木』(ミルブックス)、『dans la natuureの焼き菓子レッスン』(主婦と生活社)がある。

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