脚本家・木皿泉の幸福論 Vol.5

暮らしのおへそ
2017.02.01

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Vol.4はこちらから

確かに、3億円あったら幸せになれるはず、
と思ってしまった馬場チャンの気持ち、
わかる気がします。

「お金で得られる幸せは結局、相対的なものですよね。
誰かと比べているうちは、
いつまでも幸せにはなれないんじゃないかな。
むしろ、損をしているくらいのほうがいい。
今の社会の風潮が、常に比較して
損しない方を選ぶのが賢い、という価値観が大前提でしょ。
ポイント集めなきゃ損ですよ、とか、
カードつくらなきゃもったいない、とかね。
気がつかないかもしれないけれど、
それがすごく世の中をしんどくさせている」

シンプルでいたいから、
ネットも見ないし携帯も持たないというおふたり。

「簡単で便利ということは
同時にいらないものがくっついてきてしまうということ。
労力をかけてでも連絡したい、
会いたいと思う人だけで充分だな、と思う。
仕事のスタイルも同じで、全然スマートじゃないし、
めんどうくさい。2人で散々話して、
私が思いつきでアイデアを出したら、
トムちゃんが読んできた膨大な本の中から、
ピンと来たテーマや考え方をピックアップしてくれる。
きれいに丁寧に、じゃ面白いものなんて書けないから、
もう七転八倒。えらい時間がかかるし、
プロデューサーにも泣きつくし、で
きた本は非常識でわかりずらいし、
付き合うほうも大変ですよね(笑)」

切羽詰ってくると、執筆に集中するため、
連絡方法はファクスのみに。締め切りがすぎると、
催促の文字がだんだん大きくなっていくのだとか。

「延々待たせて、ようやく送ると、
特大の字で“号泣”と書かれた返信が来たりね」と笑う和泉さん。

Vol.6(最終回)に続く

『暮らしのおへそVol.22』より

text:木村愛 photo:興村憲彦

 

Profile

木皿泉

KIZARA IZUMI

和泉努と妻鹿年季子による夫婦脚本家。2003年連続ドラマ『すいか』で向田邦子賞を受賞。2005年年『野ブタ、をプロデュース』、2010年『Q10』など人気ドラマを多数手がける。2013年、初の小説『昨日のカレー、明日のパン』(河出書房新社)を上梓。NHKで放映されたドキュメンタリーを収録した『木皿泉~しあわせのカタチ~DVDブック』も話題。

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