為末大さん、諦めていいって本当ですか?Vol.1

暮らしのおへそ
2017.04.05

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為末さん、
努力しても、頑張っても
うまくいかなかったら、
諦めてもいいって
本当ですか?

 

このごろ何をやってもうまくいかないな。
そう思ったとき、「諦める」という方法もある、
と教えてくれたのが、
400メートルハードルの日本記録保持者で、
3度のオリンピックに出場した為末大さんでした。
「できない」と認めるのは、悔しいものです。
でも、ありのままの自分を見つめ、潔く手放せば、
諦めた人にしか見えない新たな道が立ち上がる……。
そんな扉の開け方を教えていただきました。

諦めることは、
努力の方向を変えること

  私たちは幼い頃から
「諦めないで、頑張りなさい」と
言われて育ってきました。
小学生の頃なら、頑張って勉強すれば、
少しは成績があがったし、鉄棒の練習をすれば、
逆上がりができるようになったものです。
でも、大人になるにつれ、世の中には
「頑張ってもどうにもならないことがある」
と知るのです。もう自分の力では無理。
そう感じたとき、
人は絶望するしかないのでしょうか?

 年をとれば、若さにはかなわないし、
どんなに勉強しても、
行きたい大学に合格するとは限らない。
どんなに書くことが好きでも、
誰もが作家やエッセイストになれるわけではありません。

好きなことを見つけて、がむしゃらに頑張るのは、
実は簡単なことなのかも。
それよりも、やりたいことや目標と、
現実が折り合わなくなったとき、
自分をどうコントロールすればいいのかの方が
はるかに難しい…。

 今から4年前。為末さんは1冊の本を上梓しました。
タイトルは『諦める力』。(プレジデント社)
為末さんといえば、シドニー、アテネ、北京と3度の
オリンピックに出場した、
男子400メートルハードルの日本記録保持者。
陸上トラック種目の世界大会で、
日本人として初のメダルを獲得したことでも知られています。

 誰よりも諦めずに努力を続けることを求められる
アスリートが、諦めてもいいのか……と、
この本は、大きな反響を呼びました。

「諦める」という言葉には、
なんだかいけないことをするような、
後ろめたい響きがあります。
でも、為末さんは、こう語ります。

「僕が『諦める力』を書いたとき、
言いたかったのは、最終的に勝つための『手段』として、
努力の方向性を変えるということなんです」

 それは、25年間という現役生活の中で、
極限まで努力して、勝利とともに敗北も経験し、
頑張っても「できないこと」がある、と
生身の体と心で思い知った為末さんだからこそ、
発見できた、次の一歩を踏み出すための、
「前向きな諦め」のかたちでした。

『暮らしのおへそ』Vol.22より

text:一田憲子 photo:中川正子

Vol.2に続く

Profile

為末 大

TAMESUE DAI

1978年広島生まれ。陸上スプリント種目の世界大会で、日本人として初のメダルを獲得。男子400メートルハードルの日本記録保持者。シドニー、アテネ、北京と3度のオリンピックに出場。2012年現役を引退。現在は、自身が経営する株式会社侍ほかでスポーツ、社会、教育などに関する活動を幅広く行っている。

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