鵜飼芳夫さん・弘子さん(セレクトショップオーナー) vol.1

ふたりのおしゃれ
2016.02.26

「暮らしとおしゃれの編集部」から発行した本『ふたりのおしゃれ』。Amazon Kindolの電子化リクエストの声が多数寄せられ、このたび電子版が発売されました。これを記念して、本に収録したインタビューの一部を連載でご紹介しています。

 

第2回は、愛知県・蒲郡でセレクトショップ「サスコン」を営む鵜飼芳夫さん、弘子さんご夫妻。『大人になったら、着たい服』でも大人気の弘子さんが、プライベートについて語ってくださいました。

 

夢中で映画のおしゃれを

真似した若い日。

それが夫婦の

かけがえのない原点に。

 

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 愛知県蒲郡市でセレクトショップ「サスコン」を営む鵜飼さん夫妻。お店は、今年で35周年を迎えます。そんなおふたりが20代の頃のモノクロ写真を見せてくれました。ノースリーブのブラウスを着た弘子さんの愛らしいこと! 

 

芳夫---中学生の頃からフランス映画が大好きでよく見に行っていました。当時は、ソフィア・ローレンなど、ファニーフェイスの女優が流行り始めた時代。弘子に会った時、そんな女優さんみたいだなと思ったのを覚えています。僕にとっては高嶺の花だったんですよ(笑)。

 

弘子---初めて会った日、主人は細めのパンツにスティーブ・マックイーンみたいなジャンパーを着ていました。足を組んだ時に、チラッと黄色の綿のリブ編みのソックスが見えてハッとしました。デザートブーツを履いて、なんておしゃれなんだろうって思いましたね。

 

ファッション雑誌などはまだなかった当時、おしゃれのお手本と言えば、映画だけ。ふたりは、休みの日になると映画を見に行き、「あのジャケットが、格好よかったね」とか、「あんなボーダーシャツが欲しいね」と夢中になって語り合っては、似たような洋服を探して歩くのが何より楽しかったのだとか。

 

鵜飼---お金がなかったから、映画を見たら、名古屋の屋台でご飯を食べて、あとはひたすら歩くんです。ふたりで話をしながら、とにかくよく歩いたなあ(笑)。

 

 

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芳夫さんが20歳ぐらいの時。名古屋の電機メーカーに勤めていた。

 

 

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ふたりが出会った頃、芳夫さんが撮影した弘子さん。19歳ぐらい。

 

 

 こうして2年間おつきあいをしたあとに結婚。芳夫さんは当時勤めていた名古屋の会社を辞めて故郷蒲郡に戻り、家業の電気店を継ぐことになりました。

 

弘子---結婚する時には、それは迷いましたね。主人の家庭は、母ひとり息子ひとりでしたから、そこへお嫁に行かなくちゃいけない。しかも家業を手伝わなくちゃいけない……。新婚旅行から帰る電車の中で『家に帰りたくない』って泣きましたね。

 

こうして、始まった新生活では、軽トラに乗って電子レンジを運んだり、昼は従業員のために大きな鍋でうどんをゆでて食事の支度をしたり。初めてのことばかりの毎日で、弘子さんはずいぶんつらい思いもしたそうです。そして、子育てが一段落したのを機に、義母の店を離れ、自分が好きな雑貨ショップをオープンすることを決心します。

 

弘子---当時全国展開していた「私の部屋」のフランチャイズとなりました。狭い店だったけれど、器やカトラリー、ランチョンマットなど、あれこれディスプレイするのは楽しかったですね。でも、オープンしてしばらくは、誰もお客様がきてくれなくて……。そうしたら、義母が「もうちょっと我慢してごらん、あんたならきっとできる」といってくれたのを覚えています。自分で店を営む大変さはいちばん理解してくれていたのかも。

 

こうして、しばらくは電気店と雑貨店を並行して営むことになりました。芳夫さんは自分の仕事の合間に弘子さんのお店のために、床に板を張ったり、壁に漆喰を塗ったりし、その舞台作りを手伝ってくれたそうです。

 

芳夫---こうしたらどうだろう? と自分で考えて、その世界観を作り上げていくってことが、僕はとっても好きなんです。いつも何かをやりたい、と思いついたら、まずはいちばんいいものを見に行きます。たとえば、自宅をリフォームしたいと思ったら、京都の一流の日本家屋を見に行ったり……。それと同じことはできないけれど、そこに身をおき、ニュアンスをつかみ取ることが大事。だから、ずいぶん無駄遣いをしましたね(笑)。それは、人づき合いでも同じこと。仕事で誰かと知り合ったら、仕事抜きで一緒に遊ぶんです。その中で信頼感が育ち、新たな関係が広がっていく……。いつもあちこち、ふらふら出かけて行くから、弘子には叱られるんだけど(笑)。

 

vol.2につづく。

 

『ふたりのおしゃれ』より

photo:和田直美 text:一田憲子

Profile

鵜飼芳夫 鵜飼弘子

Yoshio Ukai Hiroko Ukai

芳夫さんは1941年生まれ。家業の電気店を継いだ後、弘子さんと共に「サスコン」を営む。弘子さんは1942年生まれ。ニットメーカー勤務後結婚。芳夫さんの家業を手伝いながら雑貨店をオープン。1979年より、洋服をメインとした「サスコン」にリニューアル。

http://suscon.jp

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