渡辺有子さん【前編】“アシスタントのプロ”になっている自分に気がついて

仕事の壁、暮らしの壁
2018.01.18

新連載「仕事の壁、暮らしの壁」では、「ナチュリラ」で人気のおしゃれさんたちに、こんな質問をしてみました。「いままで仕事をし、暮らしてきた中で、ぶつかった壁、悩みは何ですか? どのように乗り越えましたか?」。第1回に登場していただくのは、料理家の渡辺有子さん。20代、30代、そしていま仕事で向き合っていること、考えてきたことを語っていただきました。

text:福山雅美 photo:砂原文

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旬の素材を、シンプルにおいしく、美しく。それが、誰も真似ることのできない、渡辺さんの料理。現在は、料理だけでなく、そのセンスあるライフスタイルまで注目される存在です。そんな渡辺さんが、料理の道を志したのは、高校生のころ。やりたかったのは、雑誌の料理ページに関わる仕事や、料理を中心とした世界観を作り上げるような仕事。20代のはじめに、ある料理家のアシスタントになったところから、その道はスタートします。

「私はもともと、末っ子気質。年上の人から、『よくできたね』なんて褒められると、すごくうれしくなっちゃう。そういうタイプは、アシスタントに向いているんですよね。先生が、いま何を求めているか、何を済ませておけば喜ばれるか……そんなことを先まわりして考えるのが楽しいのですから」

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撮影のために盛りつけられた料理を、試食のために別の器に移す。そんなときも、よりおいしく見えるよう、くふうして盛り替えていました。その仕上がりを見たスタイリストさんに、「かわいいから、この状態でも撮影してみましょう」なんて言われるのが、何よりうれしい。「つい、人に尽くしてしまうタイプ」という渡辺さんは、現場がよりスムーズに動くように、そして快適な空気が流れるように、せっせと動いていました。気づけば、先生について4年。料理家を目指していたはずなのに、そのときの姿は、完璧な、アシスタントのプロ。

「それまでなんの疑問も持っていなかったのに、ある日、お皿を洗いながら思ったんです。『もう、ここで吸収できることは、全部させてもらったな』って」。この時代に学んだことは多くありますが、中でも大きかったのは、雑誌の撮影に立ち会い、現場の空気や、料理家側から見た一連の流れを知ることができたこと。さらに同時期、アシスタントとしての仕事が毎日ではなかったため、並行して編集プロダクションのアルバイトもしていました。ここで、人に伝えるための文章を書くことや、編集者側が料理家に求めていることも、同時に吸収できたのです。

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話をしていると、渡辺さんからは「そのときのこと、本当に覚えていないんですよね。私、何を考えていたんだろう」という言葉が出てきます。この、料理家として独立をするという大切な時期の話にしても、です。

「いまもそうなんですが、何か始めるときは、次のことをあまり深く考えず、とりあえずその場から離れ、動いていた気がします。独立したときも、『もし仕事が来なかったら……』と考えなかったわけではないと思うけれど、そこで躊躇した記憶はないんです」

その状況を、渡辺さんは“踊り場から離れる”と表現します。「目の前のことを懸命にこなし、それがスムーズにまわり始めると、ある日、ふと『いま、階段(=人生)の踊り場にいるな』と思う。そして自然と、動こう、と思うんです」

 

→後編に続きます

→渡辺有子さんの他の記事はこちらから

→より詳しく読みたい方は、ナチュリラ別冊『幸せに暮らすくふう』をご覧くださいね

FOOD FOR THOUGHT

東京都渋谷区上原2-33-4
TEL:03-6416-8294
営業時間:11:00~19:00
定休日:月、火曜
https://www.instagram.com/foodforthought_shop/

Profile

渡辺有子

Yuko Watanabe

旬の素材の味を生かしたシンプルな料理で人気。センスある着こなしや暮らしぶりも注目されている。アトリエ「FOOD FOR THOUGHT」で料理教室やイベントを開催。東京・代々木上原に、同名のショップもオープンした。
http://520fft.tumblr.com/

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