家庭の「薬局」として、はちみつを見つめ直す ~今月の先生:前田京子さん vol.2

からだ修行
2016.07.22

 

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photo:砂原 文 text:田中のり子


「現代は、単なる砂糖の代用品としてとらえている方や、『風邪を引いたら、大根のすりおろしにはちみつを混ぜて食べなさい』といったことを言われてきたせいか、民間療法やおばあちゃんの知恵的な栄養食材としてとらえている方が多いようです。けれど実は、はちみつは薬局でも買える、立派な“医薬品”なんですよ」

そう言って前田さんが見せてくださったはちみつのパッケージには、「日本薬局方」の文字が! ラベルを見ると、滋養・病中病後・肉体疲労・妊娠授乳期の栄養補給とあるほか、口内炎や口角炎にも効くとの記述が。そういえば、リップクリームの成分表によく、はちみつの文字を目にすることも多かったような……。

そもそもはちみつの歴史をひも解くと、古代エジプトの古文書やインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」、中医学の名著『本草綱目』に至るまで、医薬として使われてきた長~~い歴史があるそうです。さらに時代は下り、医学的研究が進むにつれ、現代は「メディカルハニー」とでも言うべき、「医療用はちみつ」の分野が確立しつつあるそう。特にニュージーランド産の「マヌカハニー」は有名で、世界各所の病院で、難病の治療にまで活用されているそうなのです。う~む、すごい……!

そんなはちみつの威力を説明しつつ、前田さんは、本の中でさまざまな効果的な使い方を紹介しています。例えば、以下のようなもの。

・化粧水や入浴剤に
・咳止めシロップなど抗炎症剤に
・虫歯や歯周病の予防に歯磨き粉として
・ストレスを取り除く安眠剤に
・風邪薬、胃薬、目薬に
・非常食・保存食に

えっ! 化粧水や入浴剤は、何となく想像がつくものの、歯磨き粉や目薬?? 一見驚くような使い道ですが、その効力を論理的に解説し、なおかつご本人が実際に使ってみた感想を交えつつ紹介されています。

こちらは前田さんが愛用している「はちみつ化粧水」。

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「化粧水と言いつつ……実は、水に天然はちみつを溶いただけのものなんです(笑)。はちみつは昔から、さまざまな皮膚病や傷、やけどの治療薬として使われてきましたから、今の季節、紫外線でほてってしまった肌に塗るのにはぴったりなんですよ」

手に取ると、さらっとなめらか。ほんのりはちみつのいい香りがします。全身に惜しげなくたっぷり使えるから、180mlくらいのボトルなら、3日間くらいで使い切ってしまうそう。

「この気持ちよさに慣れてくると、私のまわりの友人たちもそうなのですが、入浴剤としてお風呂に入れるようになるんです。量の目安は、お風呂一杯に大さじ2~3程度ですが、からだまるごとはちみつ化粧水につかっているような贅沢な気分になれますよ」。

そしてこちらが「はちみつ歯磨き粉」。はちみつ大さじ2に、清涼感とさらなる抗菌作用を与えてくれるはっか油を5~6滴たらして混ぜ合わせたもの。
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「甘いものを食べたら、歯を磨きなさい!」と言われて育ってきた私たちには、「ええええーーー?」と、にわかに信じがたいものですが、殺菌能力に優れたはちみつには歯槽膿漏や虫歯を予防し、口臭を防ぐ効果があることが実証されており、口をすすいだあと、ダメ押しではちみつを追加でなめて、口全体に広げてもいいくらいなのだとか。

そしてこちらが、前田家で「最強のサプリメント」として毎日、口にしているという、はちみつとビタミンCを混ぜた、通称「ハニーレモンキャンディ」

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はちみつには、ビタミンCを組み合わせるとよいというのは先に書いた通りですが、抗がん作用や心臓病予防に効くことで知られるビタミンCは、はちみつのような、マルチビタミン、マルチミネラルの塊と組み合わせると免疫力アップに大きな効果があることが証明されているのだとか。

ビタミンCは薬局で販売されている「アスコルビン酸」を活用しているそうで、こちらをスプーンにすくったはちみつの上にパラリとふりかけて、それをそのまま舌の上にのせてゴクリ。酸っぱくて甘くて、まさにはちみつレモンキャンディの味わいです。このひと口で、一日に必要なビタミンとミネラルはほぼ取れてしまうとか。ちなみに私もこの組み合わせ、早速取材の翌日から取り入れさせていただくようになりました。ひと口なめるだけで、何だかじわじわとパワーが沸いてくるような気がします。

前田さんがおすすめしているのは、災害時の非常食、保存食として、はちみつを1瓶備蓄しておくこと。強い抗菌作用を持つはちみつは、常温で保存しても腐ることなく、それが必要になるときこそ、元気を出さなくてはいけない状況なので、これほど頼れる存在はないのだとか。

うーーーむ、聞けば聞くほど、素晴らしいはちみつのパワー。けれどどうして、最近は「薬」ではなく、単なる「甘味料」的なポジションになってしまったのでしょう? それはもしかすると、純粋はちみつではない、加工はちみつが大量に出まわってしまったことも関係があるのかもしれないと言われています。

→ vol.3に続きます

 

 

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Profile

前田京子

Kyoko Maeda

国際基督教大学教養学部、東京大学法学部卒業。『お風呂の愉しみ』『オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る』(ともに飛鳥新社)、『石けんのレシピ絵本』(主婦と生活社)、『はっか油の愉しみ』(マガジンハウス)など著書多数。現在『ひとさじのはちみつ』の続編を準備中。

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