スタイリスト・chizu(チズ)さん 大人のおしゃれって何ですか?(前編)

大人のおしゃれ スペシャルインタビュー
2018.03.12

「大人って何?」というキャッチコピーとともに、『大人になったら、着たい服』の第1号が誕生したのが今から7年前。その表紙モデルになってくださったのが、スタイリストのchizuさんです。メンズ仕立てのパンツをサスペンダーで吊った着こなしは、キリリとした格好よさの中に遊び心を感じさせる、私たちが目指す“大人のおしゃれ”のお手本でした。そのchizuさんがこの春、ご自身のおしゃれを紹介する初めての書籍を出版されたと聞き、久しぶりにゆっくりお話を聞きました。

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編集部
この度は、『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』出版、おめでとうございます。最初にこの本の話を聞いたときは、思わず「それは、うちで出したかった~」と叫んでしまいました(笑)。 

 

chizu
はい。まさかの展開、一番びっくりしたのは私です。担当編集さんが熱心に誘ってくださった結果ですね。最初は、お断りしていたんです。「私はファッションの専門家じゃないですから」って。でも「専門家でないからいいんです。chizuさん流のおしゃれを本にしましょう」と言っていただいて。

 

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『私をぐっと素敵に見せる 大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所刊) 多くの後輩たちが憧れる、スタイリスト・chizuさんが、61歳の今も自分にぴったりのおしゃれを自然体で楽しむコツを公開。

 

 

 

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『大人になったら、着たい服』第1号の表紙(左)。その翌年に発売した、第3号(右)では、chizuさん×伊勢丹新宿店のコラボレーションで特注のローファーを制作した。

 

堅実で可愛い”小さなおしゃれ”

 

編集部
本の中では、54個のおしゃれのヒントが紹介されていますが、一番初めに、これを入れよう! と思ったトピックスは何ですか?

 

chizu
あのね、網タイツなんです。

 

編集部
網タイツ!

 

chizu
網タイツって、女性らしいセクシーなアイテムと思っている方が多いけれど、実はいろいろなタイプがあります。今回ご紹介した白の網目が細かく目立たないタイプは、やわらかーい雰囲気になるんです。スカートだけでなく、パンツの裾からチラリと見せてもいいし、カラータイツと違って素肌が見えるから、足元に軽さが出る。オーソドックスな黒なら、「H&M」や「ZARA」といったファストファッションのお店でも扱っているのを知って、気軽にトライして良し、と思って。

 

編集部
確かに、ふつうのストッキングとは違うやわらかさも出ますね。

 

chizu
パンツの場合は、ソックスで冒険するのも楽しいですね。服や靴が単色なら、ソックスはちょっとお派手な柄物もおすすめです。私の場合、洋服、靴、ソックスの順でコーディネートをして、馴染みやすい色を選ぶことが多かったんです。でもときどき、「あ! あの人、今日のコーディネートは、靴下で決めたんだな」ってわかるときがあって、それもいいなぁと。セットアップでバッチリ決めるのも素敵だけれど、靴下とかアクセサリーとか、小さいものから入るおしゃれって堅実だし、可愛いですよね。

 

“旅先で買っちゃったビキニ”にならないために

編集部
「歳を重ねると、それまでのおしゃれが通用しなくなって、何を着ても似合う気がしない」という声もよく耳にします。chizuさんは、そんな“おしゃれの迷い時期”はなかったんですか?

 

chizu
ありますよ! おしゃれが楽しいときもあれば、面倒に感じるときもある。でもね、迷ったときは、1回やめちゃえばいいと思うの。無理に頑張らずに、自分がラクな格好で毎日過ごせばいいんじゃないかな。ボーダーシャツとジーンズが定番だったら、ずっと同じ格好で過ごしてみる。しばらくたつと、またちょっと物足りなくなって、「新しいものを買おうかな」とか「毛玉のセーターはやめよう」って気持ちになるでしょ。気持ちが向かないのに、無理してお買い物すると、”旅先で買っちゃったけど、日本ではとても着られないビキニ“みたいなことになっちゃう(笑)。まぁ、それも勉強だからいいと思うけれど。

 

編集部
chizuさんにもそんな時期があるとは、意外でした。

 

chizu
「いつでも頑張らなくてもいい」「自分が心地いい服でいい」。そう思えるようになったのは、50代、60代になってからですね。40代のうちは改まったお席で着る服がないと「恥ずかしいとか」「情けない」っていう気持ちがあると思うんです。でも、例えばお通夜の席で、仕事が終わってから大急ぎでお着換えして駆けつけたら、もう終わっていたなんて経験をすると、服装にこだわりすぎるのも善し悪し。多少身づくろいで失礼しても、「ごめんなさい」って言えるようになったのも歳を重ねたからですね。

 

編集部
世の中の形式から自由になれるのも、大人ならではの特権ですね。

 

chizu
一方で、お弟子さんたちの前では、きちんとありたいなと思っています。例えば写真展なんかに行って、かつてのアシスタントに誰かを紹介されたときに、本人に恥ずかしい思いをさせないためにも、きちんとしていたいし、今は、お弟子さんの結婚式には、なるべく着物でと思っています。親御さんをはじめ、彼女たちを育ててきた方々がいらっしゃるから、そこはこだわります。こだわりのある身づくろいは楽しみでもありますしね。

 

 

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chizuさんらしい、メンズライクな装い。「トム・ブラウン」のスーツの足元に合わせたのは「チャーチ」のレースアップシューズ。仕事がら、書類や仕事道具を入れる大振りのバッグと、スマホ&パスモ、眼鏡を入れる小バッグの2個持ちが基本。

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スーツのインは「ジュリアン イヴィッド」のクマ柄シャツ。この遊び心がchizuさん流。

 

→後編に続きます。

 

photo:岡 利恵子

Profile

chizu

チズ

1955年4月、九州生まれ。文化服装学院服装科技術専攻科卒業後、スタイリストとして活動を始める。食まわり、インテリア、ジュエリー、コスメ他の雑誌、コマーシャル撮影など第一線で活躍。店舗開発、商品開発にも携わっている。

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