古くて新しい、江戸な染袋 「濱甼高虎」

大人の江戸あるき
2018.10.16

・半纏から手軽な染小物まで

 

秋の東京では、いたるところで例大祭がおこなわれます。神輿を見ると血が騒ぐという江戸っ子DNAには負けますが、祭り半纏の男衆や女衆が神輿を担ぐ姿は、見ていてとてもワクワクするものです。

 

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刺し子(雁金)とかつお縞(玉下駄)の「合財袋」と「掛け守り」。『江戸な日用品』(平凡社)より転載。撮影/喜多剛士

 

祭り気分を盛り上げる半纏や袋物など、染小物を手掛けている「濱甼高虎(はまちょうたかとら)」(以下、高虎)。幕末創業の染元「紺屋」を受け継いだ初代が、昭和二十三年に日本橋浜町に店を開きます。呉服卸からはじまり、半纏や暖簾などを誂える店へ。さらに二代目は、江戸小紋の手ぬぐいから洒落た袋物まで、手軽に使える染小物を生みだしてきました。

 

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かつお縞の「合財袋」(3,600円)。六瓢箪(無病息災の意)、招き猫、猫に小判、鳩八(八幡宮の御使い鳩を末広がり八で描く縁起柄)。

 

・高虎の新定番、お誂えトート

高虎の店には袋物、半纏、手ぬぐいが並びます。そんな粋な和小物のなかで目を惹くのが、かわいいトートバックたち!「祭事や和装のときだけではなく、街で普段使いができる袋物を」と、江戸気質な故・二代目とともに、高虎のものづくりを担ってきた髙林晋さんが手掛けたものです。

 

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粋な柄の袋物がずらりと並ぶ店内。

 

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江戸小紋柄の手ぬぐいはちょっとした贈り物に。(1,000円~)

 

シックな刺し子トートから江戸小紋の手ぬぐいトートまで、普段使いできるトートバックがずらり。そして、さすがは誂えの店!サイズや色柄、ポケットの仕様など、希望にあわせたオーダーもできるのです。

 

s-tk5私も数年前に刺し子調トートをオーダー。使いやすく、あわせやすいので、出番多し! 刺し子(黒×白×青)/7,500円、刺し子(白)/6,000円、刺し子(黒×青)/12,000円、柿渋染/10,000円

 

・江戸文化を継承させる努力と工夫

トートバッグの生みの親・髙林さんは、ファッションを学び広告業界で働いていたものの、伝統的なものづくりがしたいと高虎へ。店に入って二十五年、今では店の職人頭として采配を振るいます。「はじめたのも遅いですし、江戸っ子でもない」と笑いますが、数々の江戸意匠を描き、型紙を彫り、一部の品は染めまで全工程を手掛けています。

 

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職人さんの手伝いからはじめ、みずからが染めるまでに。無駄のない動きで、「合財袋」を染めていく髙林さん。

 

「長くお付き合いする工房や職人は減っていく一方。うちの染め型に紗を張る職人さんは、もう80歳すぎ。いなくなってからじゃ遅いから、教えてもらえる技は学んでおきたい」と、工房や職人を訪ねて技術を継承すべく努力を重ねています。

 

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糊置きを終えた生地を干して乾燥させる。乾燥後は、蒸して洗いをかけて仕上げる。手間ひまのかかる作業から粋な柄が生まれる。

 

江戸文化を支えてきた職人仕事は、意識して守っていかないと失われていく。商いを受け継ぐ三代目・高橋由布さんとともに、髙林さんは守る努力と攻める工夫で、江戸の染小物をつないでいきます。

 

 

*価格はすべて税抜、2018年10月現在のものです。

*日本橋大伝馬町で開催される「べったら市」(10月19日・20日)に出店予定。

濱甼高虎
東京都中央区日本橋浜町2丁目45番6号 高虎ビル

☏03‐3666‐5562
営業時間 9時~18時 (土曜のみ 9時~17時)
休日 日曜、祝祭日

http://www2.gol.com/users/ip0611031455/mainframeset.htm

 

Profile

森有貴子

Yukiko Mori

編集・執筆業。江戸の老舗をめぐり、道具と現代の暮らしをつないだ『江戸な日用品』を出版、『別冊太陽 銀座をつくるひと。』で日本橋の老舗について執筆(ともに平凡社)。落語、相撲、歌舞伎、寺社仏閣&老舗巡りなど江戸文化と旅が好き。江戸好きが高じて、江戸の暦行事や老舗についてネットラジオで語る番組を2年ほど担当。その時どきで興味がある、ひと・こと・もの、を追求中。江戸的でもないですが、instagram morissy_edo も。

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