京都編 vol.23 暮らしにフィットした、美しいデザインを編集する「keiokairai(ケイオカイライ)」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2019.02.16

京都在住ライター・大橋知沙さん

*****************

photo&text:大橋知沙

 

 

北欧の国の言葉のような、おまじないのような不思議な響きのライフスタイルショップ「keiokairai(ケイオカイライ)」。実は、「過去のものを引き継ぎ、発展させる」という意味の四字熟語「継往開来」から名付けられました。恵文社一乗寺店をはじめ、カルチャー色の強い個人店が多い一乗寺の街で、ひときわ目を引く格子窓の洗練された外観。一歩店に入れば、海外のセレクトショップを訪れたような、シンプルで上質なデザインの品々に迎えられます。

 

s-keiokairai_01

 

店を営むのは、10年以上フィンランドのものを扱うヴィンテージショップを営んでいた宮脇美和さん、啓(たかし)さんご夫婦。暮らしに根ざしたフィンランドの美しいデザインを追い続けるうちに、いつしかその根底にある「日本の美意識にフィットするデザイン」に目を向けるようになりました。もっと視野を広げ、フィンランドだけでなくその基準を満たすさまざまなプロダクトを集めてみたら……。ネットショッピングやSNSが急速に発展するなか、リアルの店舗もボーダーレス・ジャンルレスにモノを編集し、自分たちの言葉で伝えていく必要性を感じたのだと言います。

 

s-keiokairai_02

 

3階まである広々とした空間の、1階はファッションやナチュラルコスメ、うつわや文具などの生活雑貨を扱うスペース。2階はフィンランドの家具ブランド「NIKARI」の日本で数少ない発信拠点、そして3階は不定期で企画展などを行うギャラリーと、ショップインショップとして「好事家・白月」というアンティークやアクセサリーの別店舗が同居しています。下から上までぐるりと巡れば、暮らしを彩るグッドデザインのもの、友人へのギフト、「いつか欲しいな」と憧れる品などさまざまなアイテムが目に止まり、買い物の愉しみを存分に味わえます。

 

s-keiokairai_03

 

「有名だから、流行っているからという理由で取り扱うのではなく、初めて見るブランドでも自分たちが『素敵だな』と思う感覚を大切にしています。気になったら取り寄せて、まず自分たちでデザインや使い勝手を確かめる。あまり知られていないブランドを紹介するのは勇気がいりますが、自分たちが使い心地に納得したものばかりだし、初めて見るからこそ味わえる新鮮なワクワク感を共有できたら嬉しいです」と美和さん。ネットの検索で目当てのものを探すのではなく、偶然の出合いがあったり使い心地の実体験を聞けたりするのが、リアルな店舗での買い物の楽しみ。「『もの選びって楽しい』ということを感じられるショップになれたら」と話します。

 

s-keiokairai_04

 

生活感の出やすい日用品でグッドデザインを見つけたり、好みの香りやテクスチャーのスキンケアを探したり……。暮らしの中で「こういうのがあったらいいな」と思うポイントを逃さず、セレクトに結びつけているのは実は、啓さんの方なのだとか。「建築の仕事に携わっていたのでデザイン感覚に優れているし、彼の中にはちっちゃい乙女がいる(笑)のか女性的な視点を取り入れるのも上手。伝えるのは私の役目で、いいものでもお客様の生活になじまなければおすすめしません。一緒に悩むお手伝いができたらと思っています」

 

s-keiokairai_05

 

二人三脚で築いた空間にあふれるのは、ものを選ぶことのおもしろさと、暮らしを楽しむためのアイデア。受け継がれたヴィンテージの品がその優れたデザインと機能で今も私たちを魅了するように、二人が選んだ現代の品々も、未来の暮らしで美しいヴィンテージとして愛され続けられるのではないでしょうか。

←その他の【京都編】はこちらから

←連載「地元おしゃれさんが 案内する 小さな旅」はこちらから

keiokairai(ケイオカイライ)

MAP:
京都市左京区一乗寺高槻町28-2
TEL:050-7121-2850
11:30〜19:00
水曜定休(月1回不定休あり)
http://www.keiokairai.co

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ