「石川硝子工藝舎」石川昌浩さんのワイングラス ~in-kyo(インキョ)より vol.17~

今日のひとしな
2016.09.17

今年の夏、久しぶりに夏風邪をひいた。これが夏風邪とひと言で言えるほどかわいいものではなかった。これまで1年を通してあまり大きく体調を崩すことのなかった私にとって、近年稀にみる絶不調。そんな日が1ヶ月近くも続いた。

夏バテになるほどの暑さでもなかったというのに食欲もなく、口にしていたのはお粥に梅干し、葛湯に季節の桃と、どれもとろりと淡く体に沁み込むようなものばかり。飲み物も白湯や梅醤番茶が、主な水分補給源。そんな状態だというのに、普段の食い意地がムクムクと頭をもたげて「あれがあった」と思い浮かんだ飲み物が、梅シロップだった。

ここ数年続けている梅シロップ作り。今年は少し奮発をして梅をハチミツで漬けたものがちょうど飲み頃となっているときだった。ふらふらと起き上がり、こんなときこそと食器棚から取り出したのは、石川昌浩さんのワイングラス。

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硝子はひんやりと硬質な素材だというのに、石川さんの硝子はやわらかさすら感じさせる。特徴ともいえる黄みがかった硝子の色は淡いハチミツのようで、質感までもがとろりと溶け出しそうなとろみを思わせる。硝子を通した光もゆらゆらと美しい。それらの要素全てがラインとかたちとなり、独特の硝子の世界となっているのだろう。

もちろん体調不良の状態ではそんな思いまで至らない。が、弱っているときこそ力を与えてくれるのは、日頃から手に馴染み目にやさしいものなのかもしれない。

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グラスにシロップレードルで梅シロップを注ぐと、透明感のあるハチミツの色にシロップの琥珀色が重なる。炭酸水で割った泡は、キラキラとグラスの中を泳いでいく。「あぁきれい」熱を出しながらでもそう思えたのだから、まだ大丈夫。ハチミツで漬けた梅シロップは、砂糖よりも後味が爽やかで上品。まろやかな酸味もやさしい味わい。これを飲むならやっぱりこのグラス。どうやら食い意地のお陰で、意識ははっきりしていたようだ。

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in-kyo(インキョ)

日々の暮らしの中で、月日をともに積み重ねたくなるような器や生活雑貨が並ぶ店。日常着や、おいしいもののセレクトも人気。「今日のひとしな」のコラム執筆は、店主の長谷川ちえさん。

福島県田村郡三春町9
TEL:0247-61-6650
10:00~17:00 水曜・木曜定休
http://in-kyo.net

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