日高英夫さんの木工作品 ~sahanji+(サハンジプラス)より vol.14~

今日のひとしな
2016.10.14

日高英夫さんとの出会いは、まだお店を始める準備中の頃。長野県・松本で毎年開かれている「クラフトフェアまつもと」に出展されている端正な日高さんの作品を見て、ぜひこれから始めるお店でご紹介したいと思ったのです。

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初めて購入したカットボード。

はじめてお声を掛けた時の日高さんは、正直言うとちょっと怖い人。「お店に置くとか、今そういうのやってないんだよね…」と素っ気なく、それならば仕方がないなと諦め、気に入った自分用のカットボードを購入し帰ろうとしたところで、「よかったら一度工房へどうぞ」と言って下さったのです。

その後、日をあらためて、姉と一緒に松本の山奥に構える日高さんの工房へお邪魔したのが10年以上前、とても懐かしいです。まだまだ「ちょっと怖い人」の印象を抱えたままでしたので、かなり緊張をしてお邪魔したのを思い出します。伺う前にシェーカー教徒の本や、日高さんの作られているシェーカー様式の家具についての本を読み込んで、しっかり予習をして出掛けたのでした。
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オーバルキャリー。持ち手の内側がゆるく盛り上がっていて握りやすくなっています。

当日は織り作家の奥さま、雅恵さんと一緒に迎えてくださり、日高さんが木工をはじめるきっかけから木工の技術的なお話、ご家族のお話、沢山お話してくださって、工房内も隅々まで見せて下さいました。本当はお写真を撮りたかったのだけど、緊張して言い出せなかったのが懐かしいです。

元はギーターを作る職人をされていた日高さんは、木工の技術を深めようと木工の専門学校に入り家具作りを学んだそうです。家具の中でも特にシェーカー様式の椅子に魅せられ没頭したのだと言います。

当時ご自宅兼工房だったお宅には、日高さんの作るシェーカー様式の家具や小物、雅恵さんの織る手織りのものが日常風景としてそこにあって、そういう暮らしにはじめて触れた私はとても感動したのを思い出します。

吊り戸棚には何段かに積まれたシェーカーボックスやオーバルキャリー。どうぞ、と勧めてくださった椅子はファンバックチェア。その座り心地のよさに感動した私は、いつかこの椅子をお願いできる日が来ますように、とずっと思い続けていました。

日高さんの作るシェーカーボックスは、私が今まで見たどのシェーカーボックスより美しくて、精巧で精密に作られていました。フタの開け閉めはとてもスムーズなのに、一旦閉めると逆さにしても落ちないほどの精密さ。金具から全て手作りされる凝りようでした。

離乳食カップと木皿は、その使い良さから出産祝いのプレゼントとして人気で、「サハンジプラス」では本当に沢山お包みさせて頂きました。


さて、こうしてはじまった日高さんとのお付き合いですが、ちょっと怖い人、という印象はお付き合いが深まるにつれて徐々に徐々に薄れてゆき、毎年「クラフトフェアまつもと」の同じ場所で出展されている日高さんとの再会がとても楽しみになりました。
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お祝いに頂いた漆の皿。

日高さんはちょっと無骨でとても温かな人。静岡で少し大きな地震があったときに真っ先に安否確認の連絡をしてくれたのも日高さんでした。結婚のお祝いにと頂いた漆の皿は宝物です。

まだまだお願いしたかったものが沢山ありますが、それも叶わなくなってしまいました。日高さんは今年2月に永眠されました。とても寂しく残念です。思い出と、心からの感謝とともに。


今週末、松本で開催される「クラフトピクニック」では、日高さんの追悼展示を行うそうです。行かれる予定のある方は、ぜひ展示を見て頂けたらと思います。
http://matsumoto-crafts.com/craftspicnic/

作品の写真は、日高さんのHPにてご覧頂けます。
http://homepage3.nifty.com/hi-daka/menu.html

 

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sahanji+(サハンジプラス)

2006年、お祖母様の暮らしていた一軒家を改装してオープン。器、道具、服など衣食住にまつわるものや、暮らしになじむオブジェなどが並ぶ。連載「今日のひとしな」の執筆は、店主の河村奈穂さん。

静岡県静岡市清水区堂林2-9-5
TEL:054-353-1155
営業時間:13:00~17:00
不定休
http://www4.tokai.or.jp/sahanji-plus/

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