染め織り作家・中島寛子さんのマフラーやストール ~sahanji+(サハンジプラス)より vol.19~

今日のひとしな
2016.10.19

染め織り作家の中島寛子さんの手織りの作品は、その「色」が特徴だと感じています。
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企画展、特に個展をするときには、その作り手の特徴が最大限にお客に伝わったらいいなぁ、と願いながらディスプレイを考えます。数年前の展示会では、私が中島さんの作品の特徴と感じている「色」のイメージの元となっている一端まで、手織り作品と一緒に触れて感じて頂けたらと考え、中島さんの色染めのイメージソースである、絵本や絵画、画集や写真集、お子さんのさりげない造形物やオブジェ、そうしたものも一緒に展示をさせて頂きました。
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中島さんの本棚より。小倉遊亀、バルテュス、ヘレン・オクセンバリー、須賀敦子全集、『石井好子のヨーロッパ家庭料理』 etc…。

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 中島さんのアトリエから運び込まれたもの。イラストレーター・mitsouさんのコラージュ、中島さんの家で使っている古い「ブラウン」のコーヒーメーカーの写真、お子さんの造形物など。瓶に入ったものは、中島さんのお子さんがチョキチョキ切った紙を瓶に入れて「おくすりーっ」と言って手渡してくれたもの。

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 「今のサハンジプラスから感じられる雰囲気も一緒に作品にしたい」と言って下さった中島さんの作品は、なんだかすぅと空間に馴染み、ディスプレイをしていると、この空間で作品がどんどん物語を帯びていくようでした。私自身がとても楽しくなり、気づけば夢中でディスプレイに没頭していた、記憶に残る作品展です。

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 中島さん所蔵の本「era inverno」(Aoi Huber-Kono)と、ストール。本に書かれた言葉は、「くうきが とつぜん つめたくなって」「あめかな?」

それからもう一つの特徴は、中島さんの作品に宿っている清らかなもの。中島さん自身のもつ、根底に清らかなものを感じるたくましさが、そのまま機織りの手と足の動きに連動しているのを感じます。私はそれをいつも「天使みたいな」と表現しているのですが、きっとお話された方はどなたも中島さんの清らかな何かを感じると思うのです。

初めて中島さんの作品に触れる方にも、中島さんご自身のその雰囲気を感じて頂けたらと思い、作品展では染め織りのテストピースとともに、それぞれにまつわるエピソードも中島さん自身の「言葉」にして展示をしました。

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 澄んだピンクを染めたいと向かってみた。

“澄んだ”と感じる色を作るには
黒やグレイ、濁った色を、
ほんの少し、混ぜ込まなければならなかった。

濁りのないものだけを合わせても
ただ、浅はかな色が染まるばかり。

ふと、あ、生きる事も同じだな、と
見つけた午後。
色が教えてくれたこと。

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お月様のような黄色を染めたいと向かってみた。
すぅとした黄色、
そこには やっぱり、
夕暮れの、夜の青を混ぜ込んでみる。
途端、おひさまのようなきいろが、
夜の光に変わった。
面白い。
夜の黄色には、夜の青を。

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 明るく軽やかな青。
小さな頃に見た、絵本の中の青い傘。
お話はとうの昔に忘れてしまったのに
その傘の色、雨の臭い、霞んだ空気、
“青“と思うと、頭の奥から
ひょっこり、顔を出す。
不思議、不思議、と思いながら
小さな頃のその青を
そっと大事に染めてみる。


手織りの作品は本当に奥深く面白いなぁ、と思います。タテ糸の張り具合から、織りの力加減、フリンジの始末、縮絨の加減 etc…。出来上がるまでの全ての工程一つ一つに、その人らしさがどんどん加わっていき、最後に一枚の作品となる。私はきっと、例えば100人の織り手の作品があっても、その中から中島さんの一枚を見つけ出せる、と思うほど、ご本人も無意識なところまで中島さんの「らしさ=魂」が宿っているのを感じます。

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これは、中島さんの事をよく知る、mitsouの奥村麻利子さんにイメージして描いて頂いた作品展のDMです。

染めるとき、織るとき、
幼き頃のとてもシンプルな世界に
思いをめぐらせています。
あのとき感じた眩しいもの、恐れるもの。
その時の幼さを無くさないでいたいと思うのです。
こうして今日も作れることに感謝しながら…
染織作家 中島寛子

 

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sahanji+(サハンジプラス)

2006年、お祖母様の暮らしていた一軒家を改装してオープン。器、道具、服など衣食住にまつわるものや、暮らしになじむオブジェなどが並ぶ。連載「今日のひとしな」の執筆は、店主の河村奈穂さん。

静岡県静岡市清水区堂林2-9-5
TEL:054-353-1155
営業時間:13:00~17:00
不定休
http://www4.tokai.or.jp/sahanji-plus/

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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