懐かしい夏の匂い「warang wayan(ワランワヤン)」のブリキの蚊取り線香入れ

今日のひとしな
2017.08.12

~ musubi(むすび)より vol.12 ~

かつては、桜と銀杏の並木が続く通りに面した古い小さな一軒家で暮らしていた。窓を開け放つと気持ちのいい風が通り抜け、訪れる人皆が「涼しい」と口を揃えた。

通りの木々と外壁を占拠する蔦のおかげなのだが、その涼しさにも少々困ったおまけはあって、外からは風だけではなく、いろんなお客さまがやってきた。アリやハチ、セミ、チョウチョにトンボ、ヒヨドリやネコまでも。そして夏といえば、蚊も例外ではない。それでも、かゆいかゆいと言いながら窓を開け放って夏の空気を感じるのは愉しいことだった。

その後、半世紀続く商店街の一角にある今の家に越してからも、私たち家族は通りに面した扉を開け放ち、変わらずに夏の匂いを感じている。人の暮らし方とはそんなに変わるものじゃないな、と思う。

12ブリキの蚊取り線香入れ_01

なんか懐かしい匂いがする! と言って、我が家の前を通り過ぎる子どもたち。その幼い後ろ姿に思わず吹出しそうになるけれど、ぐるぐる渦巻きの蚊取り線香が放つ匂いは、きっと誰もが懐かしくどこか優しい気持ちになる、夏の匂いなのだろう。

12ブリキの蚊取り線香入れ_04JPG

ブリキの素地をそのまま使った蚊取り線香入れは、インドネシア在住の「warang wayan」の土屋由里さんが生みの親。タイやベトナムを旅した時に目にした鮮やかなプリントものとは打って変わって、おすまし顔で並んでいたので、初めて出会った時はそれと気がつかなかったぐらい。あれからずっと、毎年一緒に夏の匂いを感じている。ブリキ板をカットし、曲げて、穴を開ける。インドネシアの職人さんたちがひとつずつ手作業で作っている。

12ブリキの蚊取り線香入れ_03

このカラフルなプリントを剥がしたらどんな感じだろう? 試してみたい。かつてバンコクの屋台の隅で、現地の蚊取り線香入れを見て思ったこと。それから数年後に、こんなに素敵なものに出会えるとは。

 

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musubi(むすび)

普段の暮らしに、ささやかだけれど美しく、しっかり寄り添ってくれる日用品や雑貨をセレクトしたお店。「今日のひとしな」の執筆は、店主の坂本眞紀さん。

 

東京都国立市富士見台1-8-37
TEL:042-575-0084
営業時間:12:00~18:00
定休日:日、月曜
WEB:http://www.musubiwork.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/musubiwork/
instagram:https://www.instagram.com/musubi_work/

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