倉俣史朗の壁掛け時計「ウォールクロック」

今日のひとしな
2017.11.02

~designshop(デザインショップ)より vol.2 ~


倉俣史郎氏は、1960~90年代に世界的に活躍したインテリア・家具デザイナーです。「伝説」とか「天才」とか、そんな枕詞と一緒に紹介されることも多い方ですが、1991年に56歳の若さで夭折されました。

世界中にファンを持つ倉俣氏のプロダクトだけに、たとえば人気のフラワーベースはお値段15万円(!)にも関わらず、アジア、北米、ヨーロッパと世界中のお客さまからご注文を頂くことに、入社間もない頃にびっくりした記憶があります。

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モノやそれを取り巻く空気を、一番美しいその瞬間を、見計らって閉じ込めたような、もしくは時間を止めたような……。どこまでも繊細で夢を見ているように美しい、そんな印象の倉俣さんのデザインですが、本日ご紹介するのは、氏の壁掛け時計「ウォールクロック」です。

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極限まで薄く作られたアルミ製フレームと、そのフレームぎりぎりまで伸びたシンプルな棒状の針のほかには、12時の位置にある赤いドットだけで構成されたシンプルなデザインの掛け時計。構成要素はシンプルですが、極度に繊細な佇まいに倉俣さんらしさを感じます。

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こちらの時計、いつも「designshop」のオフィスに掛けてあるのですが、実は時間の確認に使ったことはありません。というのもこちらの時計、ご覧の通り「分」の目盛がない=正確な時間がわかりません。

仕事中に時間を知りたいときには、手元の腕時計やPC、携帯を見ています。ちょっと疲れてふと周りを見渡したとき、考えごとに行き詰って視線を上げたとき、倉俣さんの時計を見るのは、そんなときばかり。

倉俣さんの時計、きっと時間を計る・確認するためのものではなく、「時間の流れを感じるための道具」としてデザインされたのかな、と感じています。実際、この時計に目をやると、時間に追われている忙しさをふっと忘れてしまうような感覚があるんですよね。

この掛け時計は、入社してからこのかた、「いつか購入したい」とずっと憧れている時計でもあります。貧乏暇なし……で時間に追われる毎日ですが、だからこそ「時間を忘れるための時計」に魅力を感じています。


文:鹿野幸祐

ウォールクロック(品番2082_5)|倉俣史郎

 

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designshop(デザインショップ)

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03-5791-9790
営業時間:11:00~19:00
定休日:土、日、祝日
http://www.designshop-jp.com

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