世界の断片を切り取る「10¹²TERRA(テラ)」のガラスのケース

今日のひとしな
2018.02.18

~ 「組む東京」 vol.18 ~

透明のガラスのケース。それだけで、かなり萌える私ですが。ディティールにまで神経が行き届き、緊張感をもって美しく作られているものには、なかなか出会うことができません。そういう意味で「10¹²TERRA」のプロダクトは、別格です。

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そのアイデアやデザインの独自性はもとより、フレームの質感や色、形など、すみずみまで考えぬかれ、一つ一つ、人の手で作られた存在感があります。

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「10¹²TERRA」は、妻沼大介さんと山田研一さんが手がけるブランドです。2人は美大でプロダクトデザインを専攻した同級生。それぞれ卒業後は、ゲーム、広告やウェブデザインなどの仕事で、忙殺される毎日を過ごしていたそうです。そんなある日、2人で飲んでいるときに「ものにかかわる原点に戻りたいね」という話になり、そんな思いから「10¹²TERRA」というプロダクトブランドが生まれました。

2012年に始まったこのブランドは、多肉植物のテラリウムで徐々に人気を博し、やがてそれは世界中の人々から注目を集めるようになりました。

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多肉植物の根が見える「Hydro」も大好きなシリーズですが、今日は、壁に掛けるコンセプトで展開した花器の一つ「Hanging Argyle」をご紹介します。

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<Hanging Argyle h300×w150×d45mm ガラス ハンダ 各8,200円(税抜)>

映し出される影が美しい「Hanging Argyle」。写真のように複数レイアウトしてもよし、もちろん一つでもよし。見る角度によって、表情が変化します。本体の後ろに小さなリング状の輪があり、小さい突起があればどこにでも掛けることができます。

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生花を飾る花器として作られたものですが、何を入れても面白いと思います。小さなアクアリウムとして。思い出の品物を入れて。例えば、水だけを入れれば、ひし形のフォルムが際立ち、水のゆらぎと影だけを鑑賞する、ミニマルな楽しみ方もできるのではないでしょうか。

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写真にあるように、たった一本のつる植物を入れるだけで、その何気ない物の美しさを再発見させてくれる。私はそんな使い方が気に入っています。

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世界の断片を切り取る。子供の頃、夢中で集めた小石や貝殻を箱にいれて、大事にとっておいたことを思い出します。自然が作り出した、小さいけれど驚異的な造形。宇宙を宿した断片を自分の手元に置いて見ていたいという人間の根源的な欲望。私にとっては、「10¹²TERRA」のプロダクトはそんな気持ちを掻き立ててくれるもの。いつか、このケースで蟻を飼えないかな……蟻の迷惑を考えない私は、勝手な妄想をしたりするのです。

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<10¹²TERRA 個展「Wall Window」@組む 2016年>

2018年、「10¹²TERRA」は、花を使った作品でも知られるデザイナー多田明日香さんとのコラボレーション展を行います。「組む」では5月9〜16日に開催予定。ぜひお越しください。

 

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組む東京

国内外のものづくり、手工業の交流拠点となる場として、ショップ、ギャラリー、コミュニティ・スペースの機能をもつお店。「今日のひとしな」の執筆は、代表・キュレーターの小沼訓子さん。

 

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tel:03-5825-4233
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