香菜子さん【前編】「いつも自然体に見える」と、まわりからは言われるけれど

仕事の壁、暮らしの壁
2018.02.15


この連載では、「ナチュリラ」で人気のおしゃれさんたちに、こんな質問をしてみました。「いままで仕事をし、暮らしてきた中で、ぶつかった壁、悩みは何ですか? どのように乗り越えましたか?」
第2回に登場していただくのは、モデル・イラストレーターとして活躍する香菜子さん。いつも明るく楽しく、何の苦労もなく歩みを進めてきたのかと思いきや、小さなころからずっと、人知れず葛藤があったようです。

text:福山雅美 photo:砂原文

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モデルであり、イラストレーターであり、そして母でもある。いくつもの役割を、常に軽やかに、そしてとても楽しそうにこなしている香菜子さん。実は、毎日をこんなに心軽やかに過ごせるようになるまでには、さまざまな葛藤がありました。

思い出すのは、小学生時代。「人目をとても気にする子供だった」と言います。それをよく表しているエピソードが、一度も転ぶことなく、自転車に乗れるようになったこと。「絶対に、転ぶ姿を人に見られたくなかったんです。変なところでプライドが高く、完璧主義だったんですよね」

そっとペダルをこいでは足を着き、また進んでは足を着く。転ばないように、人の数倍の時間をかけて、ようやく乗れるようになり、そこではじめて、満を持して友達の前に自転車で登場したのだと言います。ただ、この完璧主義が、よくも悪くも、のちの生き方に影響を及ぼすのですが……。

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進学のため上京して間もなく、モデルとしての活動を開始。美術大学で出されるたくさんの課題を仕上げるための慢性的な寝不足に加え、アルバイトとスタイル維持のためのダイエットが重なります。実家を離れたことで解放感を味わっているつもりでしたが、実は気を張り詰めていたのでしょう。常にギリギリいっぱいまでがんばり続け、とうとうダウンしたのは18歳の冬のこと。

「過労で入院したんです。やることに優先順位をつけたり、少しでも休む時間を見つけたりして、バランスを取ればよかったのに、どれもこれも、完璧を求めた結果でした」。1か月間の入院生活。考える時間だけは、たっぷりありました。悶々とした中でたどり着いたのは、「もう、無理をするのはやめよう」ということ。「歯を食いしばってがんばった結果が、入院。学校も休み、モデルの仕事もキャンセル。なんだか、力が抜けたというか、『もう我慢するのなんて、やめた!』って、吹っ切れました」

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とはいえ、現在の自然体で軽やかな香菜子さんが完成するのは、もう少し先の話。子供のころからの完璧主義からは、そう簡単には抜けられません。第二のターニングポイントは、はじめての子育て。一度、体を壊し、「無理はしない」と決めたはずなのに、環境が変われば、またも完璧を目指し、肩ひじを張って八方ふさがりになっていました。

「まだ若かったですし、生まれたばかりの子供はふにゃふにゃとやわらかで、『自分が守らなければ!』と、ものすごいプレッシャーがありました。実家も遠く、当時、夫は激務で夜中まで帰らないことはざら。とてもじゃないけれど、『手伝って』と言える状態ではない。よく、育児中のお母さんが『社会から切り離されたようで、つらい』と言いますよね。あの気持ち、本当によくわかります」

誰に責められているわけでもないのに、自分を追い込んで、「仕事をしていないんだから、子育ては完璧にしなくちゃいけない。いいお母さんにならなくてはダメなんだ」という考えから抜け出せず、力を抜くことが、どうしてもできなかったのです。


→後編に続きます

→香菜子さんの他の記事はこちらから

→より詳しく読みたい方は、ナチュリラ別冊『幸せに暮らすくふう』をご覧くださいね

Profile

香菜子

Kanako

モデル、イラストレーターとして活躍する傍ら、ホテル備品をイメージした雑貨ブランド「ヴィルヘルムス」を主宰。『香菜子さんの服えらび。』『東京みちくさ案内』(ともに主婦と生活社刊)も好評。

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