香菜子さん【後編】最近は完璧主義はほどほどにして、力を抜けるように

仕事の壁、暮らしの壁
2018.02.16

【前編】はこちらから

そんな香菜子さんを救ったのは、ずっと続けてきた“好きなこと”。裁縫箱やミシンとともに、小物を手作りする時間でした。小学生のころ、夢中になってフェルトで小さな動物を作ったり、パッチワークでクッションカバーを縫ったりした、その続きのような時間です。育児をしながら、自然とまた少しずつ、手を動かし始めました。子供がいる毎日の中で必要だと感じた、自分が本当に欲しいものを一つずつ。それが仕事につながる確信はなかったけれど、ただ手を動かすことが、香菜子さんの心を安らかにしてくれました。

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「好きなものを一つ持っていれば、それを杭のように支えにして、なんとかやっていけるかもしれないな、と心が軽くなったんです。思えば、私は失敗をするのがすごくイヤで、それを避けようとして無理を重ねることが多かった。でもね、完璧を求めなければ、そうそう“失敗”なんて、ないんですよね」

子供たちを寝かしつけたあと、夢中になって作ったぬいぐるみやスタイ。「ロタプロダクト」と名づけたブランドは、口コミで広がり、少しずつオーダーが入り始めました。収入としては大きいものではなかったけれど、それは、自信につながります。小さいけれど、決して揺らぐことのない自信です。

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すぐに結果を見ようとするから、失敗を怖がってしまう。気づけば、子供は二人になり、母として生きていくうちに、結果はずっと遠くにある、むしろ、〝結果〟なんてないのかもしれないと、思い始めています。

何度か壁にぶつかり、小さな失敗を繰り返しながら学んだのは、上手に切り替えていくこと。思えば、立ち止まったことで、誰かに責められたことなんてなかったのです。力を抜いてオフの状態になることを許さなかったのは、自分だけ。追い込まれる手前で、ふっと息を抜くことを自分に許すことができれば、この先も軽やかに、生きていけるような気がしています。

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「ロタプロダクト」は、母としての思いを形にしたけれど、新しく手がけるブランド「ヴィルヘルムス」は、自分が表現したいものを、“小さな架空のホテルの備品”をイメージして展開。この燭台は、単体でもオブジェとして成立する形にデザインし、木の素材選びにもこだわった。

 

<香菜子さんのこれまでの歩み>
17歳/雑誌『オリーブ』に読者モデルとして登場
18歳/上京し、美大に通いながらモデルを始めるも、過労で1か月入院
22歳/大学卒業後、陶芸教室でアルバイト。結婚して専業主婦に
23歳/長女出産
24歳/雑貨ブランド「ロタプロダクト」をスタート
30歳/長男出産。イラストの仕事がはじめて舞い込む
35歳/雑誌『ナチュリラ』に登場
38歳/初の著書『普段着BOOK』(主婦と生活社)を出版。モデルの仕事を再開
42歳/新ブランド「ヴィルヘルムス」をスタート

 

text:福山雅美 photo:砂原文

 

→香菜子さんの他の記事はこちらから

→より詳しく読みたい方は、ナチュリラ別冊『幸せに暮らすくふう』をご覧くださいね

Profile

香菜子

Kanako

モデル、イラストレーターとして活躍する傍ら、ホテル備品をイメージした雑貨ブランド「ヴィルヘルムス」を主宰。『香菜子さんの服えらび。』『東京みちくさ案内』(ともに主婦と生活社刊)も好評。

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