ワタナベマキさん【後編】ある朝、突然やってきた体力の壁

仕事の壁、暮らしの壁
2018.03.15


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料理家として独立後は、ケータリング、雑誌でのレシピ提案、広告の仕事と順調でした。そんな中、自分と仕事との関係を見つめ直す最初のきっかけとなったのは、出産と育児。
「育児は〝自分ががんばればなんとかなる〟では済まないことも多いですからね。自分の体調よりも、子供の体調のことでいつもヒヤヒヤしていました。子供も大きくなり、その心配がなくなってきたと思っていたら、そううまくはいかないもので、今度は自分の番だったんです」

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それは、いつもどおりに、撮影前の準備をしていたときのこと。肉を焼いていた油が飛んで目を直撃し、やけどを負ってしまったのです。「若いころならきっと、とっさによけられたと思います。反射神経が以前より鈍くなっていることもありますが、たぶん注意力も欠けてきているのかなと。年齢による壁を、突きつけられたできごとでした」

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これからも立ちはだかるであろう、やっかいな壁。これを機会に、目の前の壁に向き合い、ワタナベさんが出した結論は、「すべてを、自分一人で背負い込まない」ということでした。「撮影スタッフのみなさんには、たくさんの迷惑と心配をかけてしまって。お店の計画も進んでいたし、もう、一人でまわすことは限界なんだと悟りました。すべて自分の手でやらなくちゃ、という勝手なこだわりは、捨てることにしたんです」


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その後、料理撮影のときは、洗いものなどを手伝ってくれるアシスタントさんに来てもらうことに。自分でなくてはいけないこと、人にお願いできることに振り分けて、そのぶん、集中力を高めて自分の仕事に臨みます。引き受けた仕事を、クオリティーを落とすことなく、きちんとこなすために。そして、これからたくさん出会う新しい何かに、躊躇なくチャレンジできる余裕を蓄えておくための結論です。

<ワタナベマキさんのこれまでの歩み>
21歳  大学時代、ダブルスクールでデザインを学ぶ
22歳  広告代理店に就職
24歳  「サルビア」を運営するデザイン事務所に転職
28歳  「サルビア給食室」として弁当係、ケータリングを始める
29歳  雑誌で初連載
30歳  結婚。長男を出産
31歳  初の著書『サルビア給食室のおいしいおべんとう手帖』(主婦と生活社)を出版
34歳  現在のマンションに引っ越す
40歳  食まわりの店「ストック ザ パントリー」をオープン



text:福山雅美 photo:砂原文

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→より詳しく読みたい方は、ナチュリラ別冊『幸せに暮らすくふう』をご覧くださいね

 

Profile

ワタナベマキ

Maki Watanabe

グラフィックデザイナーを経て、「サルビア給食室」として料理家の活動をスタート。雑誌やテレビなど活躍の場を広げ、レシピ本も多数出版。東京・世田谷に、料理家の今井ようこさん、スタイリストの佐々木カナコさんとともに、食まわりの店「STOCK THE PANTRY(ストック ザ パントリー)」をオープンした。
instagram「@stockthepantry」

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