枝元なほみさん vol.2「小さなアクションも、まとまれば大きな力に」

大人暮らし これからの食卓
2019.04.26

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農家を訪ねることも多い枝元さん。畑や田んぼに行くたびに、農家が減っているようで不安を感じています。

「畑のいくつかを手放したという方に、『息子さんは?』と聞くと、『利益が上がらないこんな商売、継がせられないよ』という言葉が返ってきたんです。消費者が安いものだけを選ぶことは、誰かの収入を減らすことになるかもしれない。農家だけじゃなく、土も地球も疲れさせていく。未来の子どもたちのぶんを、今の私たちが食べちゃっているんじゃないかと心配になります」

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だから枝元さんは、食材の選択はとても小さなことと理解しながらも、社会にひとつの意思を示すことだという意識で向き合っています。その小さな積み重ねこそが自分にもできること。

「食べることが、社会へのアクションにつながるという価値観を、ひとりひとりが持つようになったら社会は変わると思うな」

まっすぐな思いが明快な言葉で綴られていると話題の枝元さんのツイッターには、かつてこんなつぶやきがありました。

――大量に作って大量に消費する、余ったら捨てる。次の瞬間には忘れられてしまう最新を追い続ける。便利であることが豊かだと勘違いする。そういうのはもう終わっているんじゃないか。硬くもろくなった強さの概念にしがみつくのはもう終わりにしたいんだ。小さくなる勇気を持つことだって成長じゃないのか。――

2011年、東日本大震災直後のツイートです。震災を機に、前にも増して食と社会のつながりについて考えるようになりました。

「何を食べていくかという生き方の選択をすることが、社会を変える力でもある。だって、私たちは食べて生きていくために、いろいろなものを売ったり、労働したりしている。私たちが暮らしていくことが社会をまわしていくエンジンとなっているんです。だとしたら、私たちが選択することで変えていけると思いませんか?」

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食の未来について、講演で話す機会も多くなりました。そんな時、必ず伝えている言葉があります。食品ドキュメンタリー映画『フード・インク』のエンドロールに流れる一節です。

――私たちには日に3度社会を変えるチャンスがある――

このお米はどんなふうに作られているんだろう? ここに届くまでにどんな工程を経て、どれほどの人の手を介してきたのか? 考え詰めると苦しくなってしまうけれど、時々でもいいからそれらに関心を持ち、暮らしのベースに据えて、いただきますと手を合わせる。そういうことを、〝これから?の食卓で繰り返していきたいのです。

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「“これから”の暮らしと食卓」より
photo:竹内章雄 text:鈴木麻子


→vol.3につづきます

 

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Profile

枝元なほみ

Nahomi Edamoto

料理家。家庭の食卓に寄り添うおいしくてまっすぐな料理を提案する。ホームレスの自立を支援する雑誌『ビッグイシュー』の運営に関わり、一般社団法人「チームむかご」の活動を通じて、農業支援や地域おこしなども行っている。

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