石川博子さん vol.2「『これがないとダメ』に縛られない自由な食卓」

大人暮らし これからの食卓
2019.07.02

 ←vol.1はこちらから

171
改めて考えると、60代になった今、よく食卓にのぼるのは、母がかつて自分に作ってくれた料理の延長線上にあるものだといいます。

「特別なものを作ってくれていたわけではなく、当時、どこの家庭でも出ていたような、ごくごく普通の和食でした。毎日のお味噌汁のために丁寧にだしをとる、季節を告げる野菜料理が並ぶ、お祝いの日にはハレのごはんを作る……。そういった昔ながらの食事が、知らず知らずのうちに自分のベースになっていたんだなあと最近になって実感しています」

来る日も来る日も、母が自分や家族のために作ってくれた料理の味は、その輪郭がぼやけることなく石川さんの舌の記憶となって残っています。素直でごまかしのないその味が、60歳になった今、一番しっくりくるのです。

152
だから石川さんの料理は、特別な調味料や素材をわざわざ用意することはなく、“さしすせそ”の基本から外れることもありません。冷蔵庫にあるものを煮るか炒めるかして、いつもの調味料でささっと味をつけます。

「珍しい調味料を使うと、味に変化が出ていいのですが、日常の料理に組み込むのは難しくて……」

せっかく買ったのに、数回使ったきりで賞味期限が切れてしまったものも多々あり、「だったら買わないほうがいい」と決めたのだそう。

114
「おいしいものは大好きだけれど、お取り寄せはほとんどしないんです。旅先や、友人の口コミで偶然に出合って『お、これアタリだね!』くらいがちょうどいい。リピートすることもめったにないですね」“これがなくちゃ作れない?” “これを食べ続けたら健康になる”みたいに、ルールに縛られてしまうのは、ちょっと窮屈。自分の好きなものを、自由でおおらかに。それが、石川さんがたどり着いた今の食卓です。

「“これから”の暮らしと食卓」より
photo:砂原 文 text:鈴木麻子

→vol.3につづきます

←その他の連載「大人暮らし これからの食卓」の記事はこちらから

Profile

石川博子

Hiroko Ishikawa

広告系のスタイリストを経て、1985年に、器や布ものなど生活雑貨の店「ファーマーズテーブル」をオープンさせる。主な著書に『「ファーマーズテーブル」石川博子 わたしの好きな、もの・人・こと』(主婦の友社)がある。

Check it out

あなたにおすすめ

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ