3年ぶり!伝説のデザートの店「歩粉(ほこ)」が京都にオープン【後編】

ニューショップのお知らせ
2018.11.13

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【前編】でご紹介したデザートフルセットの中の2皿目。10月の月替わりプレートは、こんな感じでした。北海道・洞爺の「北風農園」から送ってもらったかぼちゃをたっぷり練り込んだ、かぼちゃのバターケーキとかぼちゃのプリン。紅茶のシフォンケーキは、「丸子紅茶」の茶葉を贅沢に使用しています。

2皿に渡る提供方法は、恵比寿時代とまったく同じ。再オープンの知らせを聞きつけ、東京からも「歩粉」ファンがたくさん駆けつけてくれたそうですが、変わらぬスタイルに感動し、目を潤ませる方もいらっしゃったとか。

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お店の什器は、恵比寿で使っていたものを多く再利用しています。中央の大テーブルは、かつてカウンターとして使われていた木材をつなぎ合わせて天板にし、リメイクしてもらったもの。待ちあい用に店の外で使われていたスツール類も、座面をなめらかに削り、ペイントし直しました。奇しくも座席の数は、どちらも14席。ひとりで来店する方も多いことから、カウンター席が多いのも共通しています。

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「物件探しで不動産屋さんをめぐっていたとき、『お菓子だけのセットで2600円!? そんなん、京都では無理無理!』と、何度もたしなめられました。けれど私は不器用で、定番の安心感と、月替わりのワクワク感の組み合わせ……このスタイルでしか考えられなくて。受け入れていただくのには時間がかかるかもしれませんが、このやり方で、コツコツと続けていきたいと思っています」

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単純に価格だけを見ると、「高い!」と思われる方も多いかもしれません。けれども「歩粉」のフルセットを食べた人の多くは、店で過ごした時間が強く印象に刻まれ、「また足を運びたい」考えるようです。

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お菓子ばかりで何品も……と思いがちですが、粉の香ばしさや、葛もちやプリンのなめらかさ、あんのつぶつぶ感。旬の素材をふんだんに使った季節の焼き菓子や冷菓は、いつも最善な状態でサーブされて。それぞれが甘さの度合いや食感、香り、温度などが絶妙のバランスで組み合わされていることに気付きます。

そのプレートを食べ進めるにつれ、五感は常にフル回転。内なるセンサーが敏感に働き、そしてそれが「おいしい!」という思いに集約されるとき、癒しにも似た感動が、心と体を包み込むのです。「歩粉」でひとりとふらりと訪れ、ゆっくりと時間を過ごし、「明日からもがんばろう!」とリセットされていく人が多いというのも、何だかうなずけるのです。

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「アメリカに住んでいてホームシックになったとき、数々の魅力的なお店の存在に、救われました。私自身も、本当にカフェが大好きなんです(笑)。そして、一度お店を離れたことで、やっぱり私はお菓子を作ることで喜んでもらうことが心底好きなんだと再確認できました。お客さんがこの場所に足を運んでくださって、『おいしかったです』『また来月楽しみにしていますね』とおっしゃってくださるのが、本当にうれしくて、何よりのしあわせに思えます」

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まわりに歴史ある神社やお寺も多く、以前お店を開いていた東京よりも、時間の流れがゆったりしている京都。この街で「歩粉」が、これからどんな歩みを見せてくれるのか、今からとても楽しみです。

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photo&text:田中のり子

歩粉(ほこ)

京都市北区紫竹西南町18番地
TEL:075-495-7305
営業時間:10:00~18:00(L.O.17:00)
定休日:月~水曜
http://www.hocoweb.com/

Profile

磯谷仁美

いそたに・ひとみ

カフェやレストランでデザートを担当したあと、2006年10月東京・恵比寿にデザートの店「歩粉」をオープン。焼き菓子好きな人々に圧倒的な支持を受ける。建物の都合で閉店後、2015年3月に渡米、ポートランドとバークレーに滞在し知見を広める。2018年10月京都・北区にお店を再オープンする。著書に『歩粉の焼き菓子レシピノート』(主婦と生活社)、『朝食おやつ』(文化出版局)がある。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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