シャツ作りとカフェオープンを同時に Vol.1 ホーチュニアコダータ主宰/コロモチャヤ店主 中臣美香さん
シャツのブランドとカフェを同時に立ち上げました。
特別じゃなくても、普通でいいんです。
難しいことにチャレンジするのではなく
着心地のよさや、おいしさや、美しさが
潜んでいることに
気づく人でいたいと思います。
普通のなかに東京吉祥寺の大通りから一本入った古いビル。
この2階に中臣さんが営む「コロモチャヤ」があります。
扉を開けて店内に入ると「えっと、ここは何屋さんだっけ?」
と思うかもしれません。
左手は、ランチやスイーツが評判のカフェ右手は、
オリジナルのブランド「ホーチュニアコダータ」の
シャツをはじめ、シンプルな服を揃えた
セレクトショップです。
おいしくておしゃれ。
このふたつを同じ目線でお客様に届けたい。
それが、中臣さんが、迷いながら、寄り道しながら、
やっと辿り着いたかたちでした。
それにしても「ホーチュニアコダータ」って不思議な名前。
聞いてみると、ドクダミの学名なのだそうです。
「ある日ふと、ドクダミの白い花を見て、
なんてきれいなんだろう、と衝撃を受けたんです。
今までずっと見ていたはずなのに、
その美しさに気づきませんでした。
私が作るものも、そういう風でありたいなと思うんです」。
と教えてくれました。
中高生の頃からおしゃれが好き。
特にシャツが大好きだったそうです。
「古着屋さんで見つけては買っていました。
特に昔の『ラルフローレン』のシャツが
お気に入りでしたね」。
服飾の専門学校を経て、地元長野から上京。
念願のシャツメーカーでデザイナーとして働き始めました。
「楽しかったんですが、だんだん違和感を感じ始めて……。
作っているシャツは、自分が思い描いていたシャツと違う。
このまま続けたら、洋服が嫌いになりそうだと思って」
当時深夜まで働き多忙な毎日を送っている中で、
部屋をシェアしていた先輩女性が、
ご飯を作ってくれていました。
「週末はパンケーキを焼いてくれて、
それを食べながら、
こんなに幸せなことはないなあとしみじみ思ったんです。
食べ物で人を喜ばせるってすごい!
それは、洋服よりずっとダイレクトに届くものだと
感じました。思い切って仕事を辞め、
カフェで働くことにしたんです」
Vol.2に続く
text:一田憲子 photo:有賀傑
『暮らしのおへそvol.22』
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