こんなに美しいものがあったなんて 吉川和人さんのバターナイフ

今日のひとしな
2021.08.03

~「HJ GALLERY」より vol.3 ~

はらりと木の葉が落ちてきて出来たような、有機的でありながらも美しいその造形に心奪われる、吉川和人さんのバターナイフ。

はじめて見た時、こんなに美しいバターナイフがあるんだと気持ちが高揚したのを覚えています。使ってみると握りやすく、そして、塗りやすい。

食事をするテーブルでは、様々なお皿やカップなどが並びます。そこにもちろん料理も。私はどんな時でも共通して大切にしているのは、豊かかどうか。心地よい温度、おいしい香り、そして心浮き立つ食卓の風景。何よりもまずは目で楽しめないと。そうして楽しい食事の時間の始まりです。そんな中で、吉川さんの作るバターナイフは特別です。カエデ、カシ、ヤマナシ、リンゴ、ブラックウォールナットなど木の種類も様々なので、自分のテーブルウェアとの相性も考えながら選べます。

自然界にそのまま存在するような完璧な美しさで、毎日使う度に心が踊りうれしくなります。使いはじめてだいぶ経つというのに、未だその心が浮き立つ感覚がおさまりません。刃と柄のつなぎ目に山の背のようなラインを作り、すっと指をあてる。ぬくもりのある木という素材を使いながらも、洗練されたシルエット、デザイン。ため息が出てしまいます。

吉川さんの工房は、東京と三重の二拠点。最初にお会いしたのは、東京の工房で。その柔らかな笑顔と男らしいお人柄は、お話ししていると、とても安心感を覚えます。

互いのスケジュールを調整しながら、ずっと行きたかった三重の工房へも伺わせてもらいました。とってもとっても大きな空間で、静かに着実に吉川さんは制作されていました。



こんな大きな空間は、都会では考えられないほど。でも、この広さがすっぽりと世界に包まれてる感じがして。なんだか心地いい。

多分、夜中は真っ暗で、フクロウと月と自分だけの世界になるような静けさがそこにはありました。木の触り心地、シルエットは作り手によって本当に様々な表情を見せてくれます。この空間で、木と向き合って生み出される吉川さんの手の加えた部分と、自然に委ねた表情のその境目がとても好きです。

木の道具たちは、長く愛用するうえで「育てる」という楽しみも私たちに与えてくれます。使っていくと表面にムラができたり、色が褪せたりしますが、時々、オイルを塗って手入れしてあげると徐々に表情が深く深く出てきて、愛おしさは増していきます。手入れ後に並んだ姿がお行儀良くて、それもまた嬉しくなります。


「HJ GALLERY」のカフェでは、ジャムか蜂蜜付きのスコーンを注文したお客様に、このバターナイフを添えてお出ししています。バターナイフだけではなく、カレーやスープを提供する時のスプーンも吉川さんのもの。絶妙な口当たりでどの方にも喜ばれています。ぜひその使い心地を試しに来てください。

来年4月には「HJ GALLERY」にて個展も予定しています。ぜひお楽しみに。



現在、ショップではバターナイフ(¥3,850)のみの取り扱いになります。随時入荷がございますので、詳しくは「HJ GALLERY」までお問合せ下さい。

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HJ GALLERY

住所:奈良県奈良市三碓2-4-13-2
TEL:0742-52-5000
営業時間:11:00~16:00
営業日:木曜・金曜・土曜
https://www.hj-g.jp/
instagram:@hjgallery

※ペット、10歳未満のお子様の入店はご遠慮願います
 

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