素敵な器を使った朝ごはんコラム、11月担当は「工芸喜頓(こうげいきいとん)」の石原文子さん
月替わりで人気の器店の店主さんに、素敵な器を使った朝ごはんの様子をご紹介いただく連載「ある日の朝ごはん」。11月の週末は、世田谷線上町駅から徒歩5分ほどのところにある器店「工芸喜頓」の店主・石原文子さんに、コラムを書いていただくことになりました! 今日は、お店の様子をご紹介しますね~。
もともとアパレル業界で活躍し、フランスをはじめとしたヨーロッパの美しいものにたくさん触れてきた店主の石原さん。日本に戻り、改めて自分の国を見つめたとき、そこで脈々と使われ続けてきた日本独自の美しい器に心動かされたと言います。
「民芸という言葉を聞くと、洗練されていない古めかしいようなイメージがあるかもしれません。でも日本各地にある窯や工房では、驚くほど機能美あふれる素敵な器が、日々生み出されているんです。埋もれてしまうのはもったいないなあと思いお店を始めた……と言うと格好いいですが、実際のところは器好きが高じて、という感じです(笑)」
器の買いつけは、右も左もわからないところからのスタート。まずは気に入った器を製作している窯元に連絡し、一軒一軒まわり、作り手さんの話を聞き、自分の気持ちを話し、良いと思うものを分かち合い……という地道かつ幸せな旅から歩みを進め、2011年、オンラインショップ「日々の暮らし」をオープンしました。
お店の運営は、器のセレクトが石原さん、商品撮影や管理がご主人という二人三脚スタイル。好きなものに出合うとつい突っ走ってしまう石原さんを、いつも冷静なご主人が「本当にそんなにたくさん仕入れていいの?」といった具合で、ほどよくブレーキをかけてくれるのだそう。
そんなふたりの絶妙なバランスがうまくいったのもあり、モダンで、どこか外国の香りをまとっているような不思議な雰囲気の器が人気となって、オンラインショップは順調にまわり始めます。そしてオープンして2年ほど経ったころ、石原さんには新たなる野望がむくむくと。それは、地元の世田谷に実店舗を出したいという願いでした。
「自分たちが住んでいるこの地のご近所さんたちに、民芸を身近に感じてほしかったんです。雑貨店ではなく器屋、というのがこだわり。実店舗をオープンしてみると、オンラインショップとは違って、秋刀魚の季節には細長い秋刀魚皿が売れるし、寒くなってきたら鍋や湯呑みが売れる。そんな“当たり前”のことが、この店で当たり前に行われることがうれしくて」。器を手に取ってくれた人たちの日々の暮らしに直に触れられる感じがして、じーんとするのだそう。
上のバイカラーの秋刀魚皿は丹波の俊彦窯、下の楕円の秋刀魚皿は島根の森山窯のもの。
お店の場所は世田谷通り沿い。以前は布団屋さんだったという小さな古い物件を見つけ、リノベーションしました。天井は古いままの味わいを生かし、什器も古材を使ってオーダーで作ってもらったそう。
倉敷で作られているノッティング(椅子敷)を置いたベンチは、お客様にゆっくりのんびり選んでもらうための工夫です。
ピリッとした空気の中に、おだやかな顔の民芸の器が並ぶ「工芸喜頓」。民芸ものは価格がお手頃なのもうれしいところ。お散歩に絶好のこの季節、ぜひお店に足を運んでみてくださいね!
日本各地の窯元をまわって直接買いつけた、民芸の器が並ぶ店。連載「ある日の朝ごはん」の執筆は、店主の石原文子さん。
東京都世田谷区世田谷1-48-10
TEL:03-6805-3737
営業時間:12:00~18:00
定休日:月、火、日、祝日
オンラインショップ「日々の暮らし」
http://www.hibinokurashi.com/
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