想いが込められた「ficel.(フィセル)」 宇野幸子さんのお菓子

今日のひとしな
2016.10.21

~sahanji+(サハンジプラス)より vol.21~


「ficel.」の宇野幸子さんとの出会いは今から10年ほど前、「サハンジプラス」を始めて間もない頃でした。ご縁があって、神奈川県・逗子にある海辺の一軒家で開催された「海辺の秋市」というイベントに、「移動サハンジプラス」として出展させて頂いたのがきっかけでした。

以前ご紹介した「Tissage」の古川理咲子さん、「iya」という名前で出展されていた「ON THE DISH」の佐藤彩香さん、料理家の中川たまさん、「atelier 303」の澤田直美さん(今は店舗は閉められ、不定期で開催されるイベントで主に旅先で出会ったブロカントなどをご紹介しています) との出会いも、そのイベントがきっかけだったのです。

あれから約10年、時折「サハンジプラス」の企画展にご出展頂いたり、皆さんが開催されるイベントに足を運んだりと、ご縁が続いています。それぞれがそれぞれの道を歩みながら、変わらず気持ちよく繋がっていられるのがとてもありがたいなぁ、と思うのです。

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今年の5月に、神奈川県の大磯にあるティーブランド「TE HANDEL」のアトリエショップにて、「記憶を巡る物語」という企画展が開催されました。

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 田根剛氏設計の、「TE HANDEL」アトリエショップ「A HOUSE for OISO」。

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木彫家・西浦裕太さんの作品が空間を包む中、「記憶」をテーマに「ficel.」のお菓子と「TE HANDEL」のお茶を頂く、というお茶会に出席しました。
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「過去を想像することは
今を想像することとつながるのです
わたしたちは、過去からできています」

DNAからイメージした形を、二重螺旋の千菓子で表現しています。添えられたお茶は「TE HANDEL」の煎茶「百音(もね)」。

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アトリエショップ「A HOUSE for OISO」が建築される際の「記憶」をイメージして土、地層、芽吹きの3層で表現されたお菓子。

「ficel.」のお菓子づくりは、食材から出来上がりをイメージするお菓子づくりとは違っていて、イメージが先に浮かぶのだそうです。そのイメージをお菓子に転写している、と宇野さんは言います。そのイメージに添うようにレシピを一から起こし、カチッと合うギリギリまでレシピを調整しながら試作を繰り返します。

今回出席したお茶会のお菓子も、毎回少しずつレシピを調整しながら作っていたのだとか。その場の空気までも取り込んで、イメージに合わせてゆくのです。

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過去、現在、そして最後に「未来の皿」。自分自身で未来を創り出す「土台」からイメージされたケーキ。「TE HANDEL」店主、加瀬さん所蔵の染付のお皿も美しい。
宇野さんの活動はお菓子づくりだけではなく、日々の食事をテーマに「Un repas(アン ルパ)」というお料理教室もされています。そのどちらの活動も誰かをより良い方向に導いてゆけたら、という軸となる思いがあってこそ。

自分のジャンルを限定しすぎず、いつでもフレキシブルに流れに乗れるように軽くしていたい、という宇野さん。最近、ロルフィング(全身の筋膜バランスを整えながら、潜在能力や自然な治癒力を引き出すボディーワーク)という新たなジャンルとの出会いがあり、身体と食事の繋がりから、そこでのお話会にお声がかかり、「ficel.」として暖かな食事を提供する、というイベントをされることになったそうです。
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「ficel.」の世界観が綴じられた美しい小冊子『installation』と、私のお気に入りサブレ・オ・ショコラ。

「お菓子も食事も、疲れた人が作ると疲れた味になってしまう。元気な人が作れば、元気な味になるんです、食べるものにはその人の気が宿る」という幸子さんのお菓子は、いつでも渡る相手のことを想いイメージされているのです。私がふと幸子さんのお菓子が恋しくなるのは、きっとその想いに触れたい時かもしれません。

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 「サハンジプラス」では、12月に開催されるgift展にて、「ficel.」のお菓子が出展されます。皆さまにもぜひ召し上がっていただけますように。

また、10月29日(土)には、「TE HANDEL」のアトリエショップ「A HOUSE for OISO」にて、「TE HANDEL」 のお茶3種類と「ficel.」 の焼き菓子をお召しあがり頂けるお茶会が催されます。
詳細はこちらから。
http://poste-ficel.com/event-1680/


「ficel.」
フランス語で「細く長い」「紐」という意味をもつ‘ficelle’からイメージした造語。
http://poste-ficel.com

 

←お店の紹介はこちらから

sahanji+(サハンジプラス)

2006年、お祖母様の暮らしていた一軒家を改装してオープン。器、道具、服など衣食住にまつわるものや、暮らしになじむオブジェなどが並ぶ。連載「今日のひとしな」の執筆は、店主の河村奈穂さん。

静岡県静岡市清水区堂林2-9-5
TEL:054-353-1155
営業時間:13:00~17:00
不定休
http://www4.tokai.or.jp/sahanji-plus/

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