岩手の鈴竹で編まれた「鳥越竹細工」のかご

今日のひとしな
2016.10.22

~sahanji+(サハンジプラス)より vol.22~


「鳥越竹細工」のカゴやザルは、岩手県北部の一戸町鳥越地区に自生する鈴竹(スズタケ。山地に自生する笹の一種)で作られています。農業の副業として発展し、この地域に古くから伝わる竹細工。今では現在の需要に合わせた市場カゴやザルが主流ですが、かつては行李を中心に作られていたのだとか。
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編む前に、まずは材料となる竹ひご作りをします。スズタケを4当分に割り、幅数mmの竹ひごに加工します。まずはこの竹ひご作りがとても手間がかかり、熟練の技が必要とされます。この竹ひごを丁寧に手作業で編み込んで、ザルや手提げカゴに仕上げます。

なかなか根気のいる作業、他の工芸品と同じく、この「鳥越竹細工」の後継者不足も進んでいるそう。でも最近では、このような昔ながらの道具の良さが見直されはじめ、需要が少しずつ高まってきたことで、若い人たちが職人を目指してこの地にやってくるようにもなったそうです。

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椀カゴの「ごかご」。お茶碗を乾かす水切りカゴとしての使い方の他、根菜や果物入れとしても。お客様のひとりは、明日着る洋服をこのカゴに用意して翌朝はパジャマ入れに、といった使い方をしているそうです。上げ底で通気性がよいので用途は限定せず、いろいろなアイデアで使っていただけたらと思います。

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 人気の手付き楕円ザル。このザルを作ることができる職人さんが少ないため、なかなか入荷がなく、お問い合わせの多い商品です。友人は、おにぎりをのせて使ってくれていました。水きれのよい手つきザルはお野菜を洗ったり、直接お皿として揚げ物をのせたり、いろいろな場面で使える便利な一枚。

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 市場カゴ。右は私物、段々良い色になってきました。

一時のブームではなく、使い続けることで貴重な技術と伝統を受け継いでゆくことにも繋がるのですね。「鳥越竹細工」は工芸品ではありますが、「荒物」として気兼ねなく、毎日の生活に取り入れやすい道具です。しなやかで丈夫な竹細工は多少乱雑に扱っても大丈夫、使い込んでゆくたびに深まってゆく色の変化も楽しみの一つです。


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sahanji+(サハンジプラス)

2006年、お祖母様の暮らしていた一軒家を改装してオープン。器、道具、服など衣食住にまつわるものや、暮らしになじむオブジェなどが並ぶ。連載「今日のひとしな」の執筆は、店主の河村奈穂さん。

静岡県静岡市清水区堂林2-9-5
TEL:054-353-1155
営業時間:13:00~17:00
不定休
http://www4.tokai.or.jp/sahanji-plus/

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