革の裁ち落としで作られた、曽田耕さんのNPW(パッチワークバッグ)
~フーコより vol.17~
フーコの什器やレザーバングルでもお世話になった曽田耕さんのパッチワークをご紹介したいと思う。
そもそも曽田さんの考える美しさというのは少々エキセントリックなのではないかと思っている。より強くそう思うようになったのはフーコを始めてからかもしれない。自分の好みだったから今まで気がつかなかったが、下町にお店を出してみると近所の方々が顔を出してくださるときに「まー変わったカバンだこと!」と声をかけてくださるのだ。今更ながら、万人受けとは違う魅力があるように思い始めたのである。
こんなのどうやって使えばいいのだろうと考えさせられるような穴のあいているラスカバンや端切れを組み合わせたパッチワークバッグはもっていると、たちまち個性的な人というようなちょっと疎外感を感じるカテゴリーに分類されてしまいかねない代物である。
ただ気にいる人はとても気に入って離れられなくなる。癖になる魅力があるのだ。私もその一人。なんてったって毎回納品されるたびに違うパターンのパッチワークバッグが届くこのワクワク感といったらない。一つもっていてもまた違うパターンの革バッグに出会うと自分なりのチャームポイントを勝手に見つけ出しては惚れ込み、そしてもう一つ手に入れてしまいたくなるのだ。他にこんな作品が見当たらないから、どうしても曽田さんのバッグでないとと癖になる。
美しさ・裁ち落とし・スピードがキーワードだそうだ。
量産で必ず出る裁ち落としは本来、産業廃棄物としての運命をたどることになる。そんな裁ち落としを活用し、新たな役割を革に与える天才だと私は思う。いつもはいちいちそんな理屈を考えては手にとらないけれど、たまにはそんな目線で眺めて使ってみるのもいいかもしれない。
裁ち落としならではの形の面白さ、デザインではできないものの美しさを見ることができる。
そして手早く楽に作れる方がいいのである。毎日の作業をしていくなかで決まってきたことなのだろう。曽田さんなりに試行錯誤を繰り返しながら自分の手の内に収めていくその技と発明は作品を通していつも驚きとワクワク感をもたらしてくれるありがたい存在だ。
NPWは裁ち落としに穴を開けた革を真鍮のカシメで止めながら立体的に仕上げていく。金属とタンニンなめし革、この取り合わせがまたグッとくる。無駄のないカシメの打ち方にも感心する。強度を考えながら最低限で止めるという単純で早くできて美しいバッグが出来上がる仕組みである。
組み合わされた革のパッチワークから、スピーディーに動かされた手の跡が感じられるダイナミックな作品である。
NPW ¥14,000(税込)
*作品は全て1点ものです。
東京都台東区寿1-20-11
TEL:03-5830-2355
営業時間:12時~19時
不定休
※営業日はこちらのカレンダーをご確認ください。
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