「重ね技」~おしゃれ暦vol.20~霜月
『ナチュリラ』本誌でも、季節ごとのリアルクローズとそのおしゃれな着こなし方を提案してくださっている人気セレクトショップ「アナベル」。店主の伊佐さんによる、季節のおしゃれエッセイ、第20回目です。あっ!という間に11月ももう下旬。すっかり“冬”なこの時季の装いを格段にアップさせるのが“コートを着て完成する重ね技”。すっきり見せつつ暖かい、そんな重ね着を習得するには??
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photo:川本浩太 text:伊佐洋平 model:伊佐奈々
ハロウィンもひと段落。
立冬も過ぎて、季節は着実に冬に向かっている。
町にクリスマスムードが漂い始めると、
コートを探す人が増えてくる。
コートはクローゼットのメンバーの中でも、少し特別な存在だ。
同じ金額のワンピースは、気に入ったらさほど迷わずに買う人も、
コートとなると、そういうわけにもいかない。
収納を考えると、何枚も所持できるアイテムでもないし、
ある程度、汎用性も求められる。
真冬までのコーディネートをコートだけに頼って考えると
コート探しの答えは、なかなか見えてこない。
コートを選ぶ選択肢を広げるために、重ね着をしてみよう。
真冬でも、着用する洋服の枚数は、最大4枚で考えるとちょうどいい。
①アンダーウェアー
②シャツ、ブラウス、セーターなど
③羽織、ジャケット
④コート、アウター
季節や気温やTPOに応じて、それぞれの温かさに変化を付けたり、
つまり、素材を変えたり、または着用枚数を減らしたりすればいい。
今回は、コート選びをするにあたって、頭の整理をつける意味でも
典型的な真冬までの重ね着パターンをご紹介します。
アンダーウェアーの上からコットンのタートルネックを。
その上からヤク100%のローブカーディガンを羽織ります。
今の時期なら、これに大判のストールを持っていれば十分。
大判をストーンと垂らすと、すらっと見える。
これで3枚+ストールです。
しかもアンダーウェアーの上はコットン。
ウールに変えたらもっと温かくなる。
ここで考えます。
こういう重ね着をした場合、よほどの寒冷地域は別にして、
電車や車の移動が多い、都市型生活を送る人たちは、
どんなコートを着たらちょうどいいか?
先ほどから手に持った軽そうなコートを着てみます。
T/Cウェザークロスと呼ばれる、綿ポリエステルの
弱撥水加工の裏付きのコートは、冬のコートを探している人からすると、
ひょっとしたら頼りなく、季節外れに感じるかもしれません。
でもこういったコートは、我々洋服屋からすると、
最も出番が多く、最もたくさん所持しているコートなのです。
秋口は、薄手のニットやカットソーの上から羽織り、
寒くなってきたら、インナーのニットを温かいものに変える。
そしてストールも登場する。
さらに寒くなったら、ウールのタートルネックにカーディガンを羽織って、
その上からこのコートを着る。
真冬も十分に温かく過ごすことができる。
春がやってきてもまだ着ていられる。
明るい春カシミアのニットを着て軽く袖をまくったりして。
釦を閉めて、大判を首にギュッと巻くと、
年を越えても十分なくらい温かい。
これで、洋服4枚+ストール。
洋服屋がコットンのコートをたくさん持っているのは、
やはり、冬と言えば張り切って重ね着を楽しみたいからだ。
この4枚の重ね着は、無限のパターンが創造できる。
ベストやジレを使っても面白いし、
ワンピースやジャンパースカートを使っても素敵だ。
これさえマスターすれば、世の中にたくさんある、
「防寒能力はなさそうだけど、かわいいコート」を
購入するのもためらわない。
重ね技を習得すると、コート選びの幅が広がります。
コート:TRAVAIL MANUEL ¥28,000+tax
カーディガン:FACTORY ¥28,000 +tax
タートルネック:FABRIQUE en FRANCE ¥7,000+tax
ボトムス:ゴーシュ ¥34,000+tax
ソックス:evam eva ¥2,100+tax
シューズ:catworth 私物(2017年春 入荷予定)
ストール:FACTORY ¥21,000+tax
バッグ:ヨハンナ・グリクセン 私物
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