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富山編vol.1　暮らしに花のある景色を「Atelier ANORM（アトリエアノーム）」

地元のおしゃれさんが案内する小さな旅

2024.01.06

黒部峡谷や3,000メートル級の山々が連なる立山連峰、ダイナミックな山岳風景が魅力の富山県。日本海に生息する800種類の魚のうち500種類の魚がいるといわれる富山湾は「天然のいけす」と呼ばれ、新鮮で美味しい魚介類が味わえます。
今回の案内役は富山市で生花店を営んでいる「Atelier ANORM（アトリエアノーム）」の西淵吏英さん。富山市内を楽しく歩いて回れる選りすぐりのスポットをご紹介してくださいます。

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はじめまして。富山市で生花店を営んでいる「Atelier ANORM（アトリエアノーム）」の西淵吏英です。1月の毎週土曜日4回にわたって、富山のおすすめをご紹介させていただくことになりました。富山市内を楽しく歩いて回れるスポットを選んでみたので、ぜひお付き合いください。

さて、冬は花を楽しむことができるおすすめのシーズン。この季節人気のチューリップ、実は富山の県花です。蕾が色づき始めると暖かいところでは大胆に開花し、寒くなると閉じ、また開いて…を繰り返しながら、茎も伸びて自由な動きを見せてくれます。品種によって出荷されるタイミングが異なるので、できるだけいろんなチューリップと出会って欲しいなと2月と3月にANORM TULIP FAIRを開催しています。県内の生産者の方から直接仕入れ、フェアの時は20種類近くを並べています。毎年皆さんと楽しむ冬の行事になっています。

ANORMは2019年に富山市にオープンし、2023年夏にリニューアルをして5年目です。真っ白だった空間を、壁はパステルブルー、什器に赤やネイビーなどアクセントカラーを加え店頭をすっきりさせて花が際立つ空間にしました。ドア上の飾り棚には友人のお店で買った籠、旅先で見つけた布、アーティストの作品など今の気分のお気に入りたちを並べています。

気軽にお花を飾ったり送ったり、暮らしに花のある景色を楽しんでもらえたらと季節の新鮮な花を仕入れて１本から販売しています。自宅に飾る花を選ぶ方も、贈り物の花束をオーダーする方にも、最初の１本はなるべく選んでいただくようにしています。お客さまとやり取りしながら即興で花を組み合わせて、１本目が主役になったり他の花を引き立てたり、いろいろな花の表情や色わせの面白さを知ってもらえたらと思っています。

お店ではお花のほかにヴィンテージの花器やセラミック、ガラスなどアーティストの作品をセレクトし、時々個展などを開催しています。フランスと日本にルーツを持つAYA COURVOISIER（クヴァジエ彩）の陶器は軽やかで優雅な風景を作り出します。1点ずつ手作業で仕上げており彼女の美意識が感じられる作品たちは食卓を華やかにしてくれます。

リニューアルして最初の企画は自由にのびのびと制作しているのが伝わってくる
YURI IWAMOTOの作品展。「いっしょに暮らすガラス」をテーマに熱いガラスがつくる柔らかい表情を留めるように形にしており、それぞれの作品に名前や性格などのキャラクターがあって生き物のように思えてくる愛らしさは魅力の一つです。 (展示は2023年11月に終了、作品は引き続き取り扱いしています。)　ちなみに富山は全国的にも珍しいガラスを学ぶ環境が整っている「富山ガラス造形研究所」という施設があります。県外からの学生も多く、日々制作に励んでいます。彼女もフィンランド留学、武蔵野美術大学ガラス専攻を経て、富山ガラス造形研究所へ進んだことがきっかけで、今は富山を拠点に活動しています。

お店をオープンしてから続けているのがタブロイド紙「ANORM SEASON JOURNAL」です。普段1人で仕事をしており束ねた花は誰かの元へ旅立っていくので、いろんな人と関わったものを作りたかったのと、何か形に残るものでお店のことを知ってもらえたらと私自身紙ものが好きなこともありスタートしました。企画・文章を私が担当し、エディター、デザイナー、フォトグラファー、イラストレーターなど様々なアーティストと関わりながら年に１・２回自主発刊し、7号目まで出しています。表紙はお花にまつわるコラム、中面はポスター、裏面は展示や近況などのトピックスを掲載していて、お花を買ってくれた方に巻いてお渡ししています。ジャーナルは私にとって自分の考えを振り返り整理するきっかけになっていて、お客さまにとってささやかな楽しみになったらいいなと続けています。