デイリー連載「令和の家具事典」10月は【マルニ木工】が登場!

令和の家具事典
2024.10.01

※Come home! webに掲載された記事を転載しています

 


2023年5月に開催された「広島G7サミット」。各国の首脳が集まって記念撮影をした円卓のある風景を覚えていますか? あの円卓、ネームプレートを製作したのが「マルニ木工」です(チェアは既存の「HIROSHIMAアームチェア」を使用)。広島発祥の家具メーカーとして長い時間を歩んできた「マルニ木工」についてお話を聞かせていただきました。

 

マルニ木工の誕生

マルニ木工の創業者・山中武夫氏は、少年時代を広島県の宮島で過ごしました。そこで毎日のように伝統工芸である「宮島彫」の工房に通っては、自在にまるで手品のように形を変えていく「木の不思議さ」に魅了されていったといいます。
1928年にマルニ木工の前身となる「昭和曲木工場」を設立し、当時としては技術難度の高い「木材の曲げ技術」を確立します。そして、1933年、「マルニ木工株式会社」に改名し、それまで手工業の域を出なかった日本の家具づくりに工業化、量産化という新しいページを開き、「工芸の工業化」をモットーに「職人の手によらない分業による家具の工業生産」を目指しました。

 

曲木椅子(銀行椅子)第1号。1928年に誕生した最初の椅子は、戦前期に大量に生産された代表的な製品。

 

マルニ木工の歩み

創業以来「工芸の工業化」をモットーに、職人の手作業と緻密な機械加工を融合し、工芸的な美しさ、安定した高い品質、適正な価格を実現し、90年以上木工家具をつくり続けてきました。

創業からしばらくの間は、創業者である山中武夫氏がデザインを行っていました。その後、社内でR&Dとして複数人が家具をデザイン。2005年からスタートした「nextmaruni」プロジェクトより、外部のデザイナーとともに家具づくりを進めています。

 

<nextmaruni>

「日本の思想や美意識から生まれた椅子」を目指し、日本の美意識へのメッセージをテーマに世界的なデザイナーが競作しました。協働したデザイナーは、アルベルト・メダ、AZUMI、ハッリ・コスキネン、ジャスパー・モリソン、植木莞爾、SANAA、黒川雅之、ミケーレ・デ・ルッキ、深澤直人、内田繁、八木保、ショーン・ユー、o-d-a、隅井徹。

2008年にはプロダクトデザイナーの深澤直人氏とともに、工場の特性を活かした世界の定番となる家具を目指し、HIROSHIMAをはじめとする<MARUNI COLLECTION>を発表。2011年にはジャスパー・モリソン氏が、2022年にはセシリエ・マンツ氏が加わり、年々その世界観を広げています。デザイナーと技術者が真摯に向き合い、100年経っても世界の定番として愛される、精緻で優れたデザインの木工家具をつくり続けています。

 

ヒット作&代表作

1968年に発表した「ベルサイユ」が大ヒット。“様式家具”でありながら、クセを極力抑えたデザインが消費者に受け入れられ、今なお販売しているロングセラー製品です。ピーク時は月産8,000脚を販売。ベルサイユを作るためだけの工場もあったそうです。


ベルサイユ


「HIROSHIMAアームチェア」は、2008年に発表されたマルニ木工の代表作と言える製品です。


HIROSHIMAアームチェア


デザイナーの深澤直人さんはHIROSHIMAアームチェアについて
「ずっと、いい木の椅子をデザインしたいと思っていました。長く使っていくうちに生活の味がしみ込むようなものがいいと思いました。たとえば北欧の白木のそれのように今までに世界の定番となってきた木の椅子にはデザインというよりは工芸的な手作りのぬくもりがあります。日本の木製製品にも同じような工芸的な要素はありますが、特に檜を中心とした無塗装のものには、精緻で、汚れを許さない神格化された清潔感があります。人間的な温かみがありながら精緻で清浄なイメージというのがこの椅子の目指すものでした」とコメントしています。

 

マルニ木工で働く人たち

18歳から、上は80歳超えの職人までと、幅広い年代の家具やモノづくりが大好きな方がマルニ木工で家具を作っています。
「以前は縫製の工程に女性が多く、その他の場所には男性が多いイメージでした。特に採用で分けていたわけではなく、適材適所だったのですが、今は若い女性の職人(20代)も増えてきました。それはモノづくりの発信の仕方がここ10年程で変化し、また学生向けの活動など(講演や工場見学受け入れ)も増え、男女問わず、マルニ木工のモノづくりに興味を示してくれる層が増えたからだと思います」


左から:木目合わせ、磨き、塗装の工程

 

ショップ、ショールーム

ショップは広島と東京に、またショールームは2か所、パートナーシップ店が福岡にあります。お近くの店舗は、こちらから。


maruni hiroshima


maruni tokyo


maruni fukuoka by weeks

 

コラムが充実したwebサイト

「コラムはメーカー目線での商品誕生秘話や、商品の選び方などを掲載しています。マルニ木工のモノづくりに対するまじめで真っ直ぐな姿勢が表れた内容なので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです」

食レポなど納品先のレストランで気ままに食べ歩く企画なども。実際に製品を購入する前に、レストランやカフェでマルニ木工製品を使用できます。
コラム一覧|マルニ木工オンラインショップ|Maruni Online Shop

マルニ木工は、リフォームにも力を入れていて、リフォームの現場を伝えるリフォームブログもおすすめの一つです。
ブログ 一覧 - マルニ木工 公式サイト - Maruni

今後は、「間近でモノづくりを見てもらえる工場見学」や「異業種のデザイナーやアーティストとのコラボレーション」「木工家具づくりを目指す人たちや、日本のモノづくりに興味がある人たちに開かれた工場」などなどを実現したいと考えているそうです。
明日からの連載をどうぞ、お楽しみに!

←「マルニ木工」その他の記事はこちら

マルニ木工

オンラインショップ:https://webshop.maruni.com/
ホームページ:https://www.maruni.com/jp/
ショップ・ショールーム:https://www.maruni.com/jp/showroom
公式インスタグラム:@maruni_jp
公式X(Twitter):@maruni_mokkou

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ