産婦人科医・高尾美穂さんに教えてもらう「ラクに生きるためのおへそづくりは、順番が大事!」
好評発売中の「暮らしのおへそvol.37」巻頭特集より一部を抜粋してお届けします。
まずは、体をコントロールすること。
そうすれば、呼吸がコントロールできます。
呼吸が整えば、心が穏やかになります。
「体→呼吸→心」という順番が大事。
心をコントロールすることってすごく難しいんです。
でも、行動を変えることで、
自分の気持ちや心や考え方も変えられる。
この順番を知れば、
人はもっとラクに生きていけると思います。
ジャケットとパンツは大好きな「ラルフ ローレン」で、定期的にお店をチェックしに行くそう。カラフルな染めのシャツは海外で購入した一点もの。ハラコのローファーは「クリスチャン ルブタン」。
※「暮らしのおへそvol.37」p11に掲載のローファーのブランド表記に誤りがございました。正しくは「クリスチャンルブタン」です。お詫びして訂正いたします。
心より、体をコントロールするほうが簡単
テレビや雑誌などで、産婦人科医、高尾美穂さんの姿を見かけたら、きっと忘れられなくなるはずです。
「こんにちは〜!」という元気な声、晴れやかな笑顔、そして、モヒカンヘアに、メンズライクなシャツとジャケット。どこから見ても「高尾美穂」! これこそが、高尾さんがご機嫌に生きるためのスタイルでした。
「身の回りにあるものを、全部自分が『大好き』にしておきたいんです」
たとえば洋服なら、マニッシュで、きちんとサイズが合っているものを。
「『ルイ・ヴィトン』なら、メンズの44サイズで袖を詰めます。今日の『ラルフ ローレン』も大好きで、20年以上着続けています」と教えてくれました。
ジャケットスタイルが好きだけれど、短い丈は着ない。V字の襟ぐりが深いものは嫌い。「好き嫌い」がディテールまでなんと明確なこと!
「好きではないもの、体に合わないものって、頭のなかの大事な役割を邪魔するんです。そこをなるべく減らしたいって思っていますね」
産婦人科医としてクリニックで多くの女性たちを診察。それ以外にも、テレビに出演したり、雑誌の取材を受けたり、著書も多数。その働き方は普通の医師とはちょっと違うよう。
副院長を務める東京・表参道のクリニック「イーク」では、年4回ヨガのクラスも受け持ってきました。
高尾さん自身がヨガを始めたのは大学病院に勤めていた頃。幼い頃からスポーツ万能で、小学校ではバスケットボール、中学時代はソフトボール、高校のときはバレーボール、大学では硬式テニスをやっていました。
「怪我をして、右足の足首の靭帯を伸ばしてしまったので、リハビリのためにヨガを始めたらハマったんです」
病院の勤務中でもオペ室の外の壁で頭立ちの練習をしていたのだとか!
「ヨガの教えは『八支則(はっしそく)』といって、8つの段階があります。1番目が『しないほうがいいこと』、2番目に『したほうがいいこと』、3番目におなじみのポーズ『アーサナ』で、4番目が呼吸、5番目に感覚、6番目と7番目でようやく心をコントロールする段階になって、最後の8番目で悟りの境地『サマディ』に至ります。日本語で『三昧(ざんまい)』という意味で、何もしなくても幸せな状態のことです。『しないほうがいいこと』を実践するほうが、『したほうがいいこと』をするより簡単なはず、という順番がいいですよね。つまり心をコントロールすることってすごく難しい。だから、行動を変えることで、自分の気持ちや心の在り方を変えられる。その順番がすとんと腑に落ちたんです」
もっと早く病院に来てくれたら。
もうそう思いたくない
ヨガ哲学に触れ、医師としての在り方も変わっていったそう。大学病院で働いていた頃は、婦人科がんが専門だったといいます。
「たとえば手術で卵巣をとって『もうがんはなくなったから大丈夫だよ』と医師が満足していても、患者さんにとってまったく問題がないとは限りません。傷痕が痛むとか、足がむくんでくるとか。これは、ご本人にとっては、大きな悩みごと。この差をどうにか埋められないかと考えてきました。でも、病院には、その方法がないんです」
さらには、深夜に帰宅したと思ったらすぐにお産で呼び戻されたりと、睡眠時間が確保できなくなっていました。
「夜、ちゃんと眠れるような働き方にシフトしようと思って」
そこで、ちょうどお世話になった教授が退官することになったのを機に、大学病院を辞めることにしたのだそう。開業の準備をしていたときに、縁あって勤務医となったというわけです。
「もし開業していたら、今のような働き方はできなかったでしょうね。このスタイルで、本当によかったなって思っています」と高尾さん。
text:一田憲子 photo:枦木 功
『暮らしのおへそ Vol.37』より一部抜粋
Profile
高尾美穂
医学博士、産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、イーク表参道副院長、ヨガ指導者。婦人科の診察を通して、女性の健康を支え、女性のライフステージに応じた治療法を指示し、選択をサポートしている。テレビ、雑誌、メディアへの出演、SNS での発信の他、音声配信アプリ「スタンドエフエム」で「高尾美穂からのリアルボイス」を配信。著書に『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78 の言葉』(扶桑社)他多数。
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