春植えにおすすめ! 日陰に強い植物7選【園芸デザイナー・三上真史さんに教わる「春の庭づくり」vol.2】
草花が芽吹き、樹木の緑が少しずつ深まり、植物があわただしく活動をはじめる春は、ガーデナーにとって1年でいちばんワクワクする季節。園芸店にはさまざま植物が並び、どれを植えようかと選ぶのも楽しい時間ですね。けれど、「可愛いから」とつい見た目だけで選んでしまうことはありませんか? 植物には合う合わないがあるので、庭の環境や手入れ方法に適したものを選びたいところ。そこで、NHK「趣味の園芸」の講師としても活躍している園芸デザイナー・三上真史さんに、たくさんの苗が揃う「ジョイフル本田」にて、庭づくりにおすすめの植物を教えていただきます。2回目は、日陰に強い植物7選です。
多年草には日陰にも強い植物が多い
庭があっても陽の当たる時間が少なかったり、直射日光がほとんど当たらない場所があったりするケースも少なくない日本の住宅。日当たりの悪さから植物を育てることを諦めていませんか。でも、そんな環境でも育つ植物があるんだそう。今回は初心者でも育てやすい多年草を中心に7つの植物を三上さんに紹介してもらいました。「多年草や宿根草には日陰気味で育つものも結構あるんですよ。植えっぱなしでも数年楽しめるので、ガーデニングをこれから始める人もチャレンジしやすいのではないでしょうか。好みのデザインを考えながら、ご自宅の環境に合う植物を探してみてください」と三上さん。日当たりの悪いお庭を華やかにするヒントが見つかりそうです。
< 日陰に強い植物7選 >
ベロニカ・オックスフォード
直立するものから這い性のものまでバラエティに富み、世界に200~300種ほどあると言われているベロニカの一種で、オックスフォードブルーは這い性で地面を這うように成長していきます。春から初夏にかけて小さな青い花を地面一面に咲かせてくれる多年草です。一度根づけば特に世話がいらず、可憐な花はナチュラルガーデンのグラウンドカバーにもぴったり。暑さ、寒さ、日陰気味にも強く、あらゆる環境にも適合しやすいから、初心者の方にもおすすめですね。冬は少し弱々しくなるけれど常緑で緑が残る点もよいですね。
【DATA】
形態:多年草
草丈:5~20cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
開花時期: 4~11月
育て方ポイント:環境への適応性もあり、暑さ寒さに強く、初心者でも育てやすいです。日当たりを好み、有機質に富む水はけのよい場所が適します。庭植えの場合、ほぼ雨のみでOKです。
ヒューケラ
日陰に強い多年草です。常緑性でほぼ一年中同じ草姿を保ち、ほとんど手がかからず日陰でもよく育ちます。なんといってもヒューケラの魅力は葉色の豊富さ。葉の色を楽しめる「カラーリーフ」の代表格で赤、白、ピンク、緑などさまざまな種類があり、葉っぱだけで彩り豊かなガーデンが作れるんです。ちょっとさみしくなりがちな日陰の庭をにぎやかに彩ってくれます。リーフ系はメンテナンスも楽だから、初心者にも特におすすめですね。5月~7月頃、可憐な花も楽しめますよ。
【DATA】
形態:多年草
草丈:20~80cm(開花時)
耐寒性:強い
耐暑性:普通
開花時期:5~7月中旬
育て方ポイント:耐寒性・耐暑性があり、乾燥にも耐えられますが、斑入り葉や淡色系のものなど品種によっては夏の直射日光は避けたほうがいいものも。また、水はけも大切で、根腐れや茎腐れで株が傷み、枯れることもあるので注意しましょう。耐陰性があるので、建物や塀の際で日陰気味になるところの植え込みにも向いています。
アジュガ
地を這うように育ち、グラウンドカバーのように広がっていくアジュガは、春になると鮮やかな青紫色やピンク色の花を多数咲かせてくれます。1年中緑が残り、綺麗な花を楽しめて、模様がかった葉っぱも楽しめるという、日陰の庭に救世主にもなる植物です。日陰気味でも十分育ち、株がどんどん横に伸びて増えてくれますから手入れも楽ちん。ただ、根が浅い植物のため乾燥には弱く、直射日光に当たりすぎると葉っぱが焼けてしまうことも。まさに日陰向きの植物ですね。
【DATA】
形態:多年草
草丈:10~30cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
開花時期: 4~6月中旬
育て方ポイント:庭植えなら、雨のみでも育ってくれますが、乾燥しすぎると弱ってしまうため、土が乾いたらたっぷり水を与えましょう。水はけと水持ちもよい土を好みます。
ヤブラン
街路樹の下によく植っているので、見かけたことのある人も多いのではないでしょうか。日陰でも十分育ってくれて、ほぼ一年中同じ草姿を保ち丈夫で手のかからない植物なので、古くから緑化や造園の植栽として広く活用されてきました。水やりも雨で十分。放射状に葉っぱが育つから、お庭のデザインを作りやすいです。随所に散りばめるとアクセントにもなりますね。8〜10月になると咲く青紫の花もきれいですよ。
【DATA】
形態:多年草
草丈:20~40cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
開花時期:8~10月
育て方ポイント:日なたから日陰まで場所を選ばず、植えっぱなしでOK。日陰では、やや葉がまばらとなり、花も少なくなります。日当たりがよいと葉が密生して、花立ちも良くなります。植えつけ後は、しっかりと根づくまで、土が乾いたら水やりします。
ツルニチニチソウ
つる性の多年草で茎が地表を這い、節から根を下ろして広がっていくので、グラウンドカバーのほか鉢から垂らすなど、さまざまなデザインに使いやすい植物です。葉が常緑で、白や黄色の斑が入るものなど種類が豊富な点も人気の理由で、日当たりから日陰気味な場所まで、たくましく育ちます。春から初夏にかけて紫や白の花も咲かせてくれますよ。ただし、それだけ丈夫で繁殖力が強いため、庭に植えるとツルニチニチソウだらけになってしまう恐れも。増えすぎないよう、鉢に植えてから育てるのがおすすめです。
【DATA】
形態:多年草
草丈:数m
耐寒性:強い
耐暑性:強い
開花時期:3月下旬~6月上旬
育て方ポイント:日陰気味でも育つが、花つきをよくするには日向がおすすめ。乾燥に強い反面、過湿には弱いため、水はけの良い土に植えつけましょう。
リュウノヒゲ&コクリュウ
リュウノヒゲ
コクリュウ
リュウノヒゲは日本各地の林床など日陰気味の場所でも自生する常緑の多年草です。もともと木漏れ日で育っている植物だから日陰に強く、ほったらかしで雨だけで生きてくれます。中でも僕がおすすめなのが「コクリュウ」という品種。細く線のように伸びた黒色の葉っぱが庭のアクセントなります。天然にはあまりない黒色なので、庭全体のアクセントにもなるんです。少し白や黒を入れるだけで庭全体がぐっと引き締まるので、黒を入れたい時はぜひ植えてみてください。また、実が宝石のように美しく、リュウノヒゲは青色、コクリュウは黒い実を楽しめますよ。
【DATA】
形態:多年草
草丈:10~40cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
育て方ポイント:日なたから日陰気味までほぼ場所を選ばず、植えっぱなしで手がかかりません。落ち葉が積もった木陰の傾斜地や岩場などでも見られる植物で、幅広い環境に適応します。葉が伸びすぎていたり、傷みが気になる場合は、春に5cmほど残してばっさり切りましょう。新しい葉が出てきてくれます。
ギボウシ
宿根草のギボウシは日陰気味でも育つ定番の植物です。春の山菜として食べる「うるい」はギボウシの一種で、食用のものは若葉を食べます。園芸品種は食べられませんが、斑入り、濃いグリーン、グレーがかったものなどいろいろな色があり、存在感も抜群です。他の植物とも組み合わせやすく庭に彩りを与えてくれます。初夏から夏にかけてラッパ型の白や淡い紫の花が開花し、可憐な姿を見せてくれますよ。
【DATA】
形態:宿根草
草丈:15~200cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
開花時期:7~8月
育て方ポイント:強い直射日光に当たると葉焼けを起こす恐れがあるので、半日陰の場所で育てるのが理想的。水はけ、水もちのよい、適度に湿り気を保つ土がおすすめ。冬は休眠期のため、地上部が枯れますが、根は生きています。春にまた芽吹いてくれますので、間違えて抜かないように気をつけましょう。
text:大勝きみこ photo:松村隆史
※この記事でご紹介している苗は、時期や店舗によって取り扱いがない場合があります。
住所:千葉県印西市牧の原2-1
TEL:0476-47-6811(店舗代表)
TEL:0476-47-6825(ガーデン関連商品・サービス)
営業時間:9:00~20:00(資材館は8:00開店)
※アート・クラフトコーナーやペット用品コーナーほかも併設
HP:https://www.joyfulhonda.com/
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Profile
三上真史
1983年、新潟県生まれ。2011年から2021年3月までEテレ「趣味の園芸」ナビゲーターを務め、同年4月より講師として「三上真史ニッポン花づくし」を、2023年4月より「三上真史ニッポン実りのわざ」を担当。また、16年からtvk「猫のひたいほどワイド」水曜MCを務める。16年3月「第33回全国都市緑化よこはまフェア広報親善大使」、18年より「横浜の花と緑をPRするアンバサダー」に就任。21年6月よりGreenSnapのオフィシャルアンバサダーに就任。ガーデンコーディネーターや1級FP技能士、簿記等の資格を持ち、園芸や経済に関する講演会・イベントなど多方面で活躍中。Youtube「三上真史の趣味は園芸チャンネル」にて植物の育て方や楽しみ方を配信中。
blog:Mikami garden
Instagram:@engeiouji
X(twitter):@engeiouji
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