ふわっと舞うカディのやわらかさ 「オオシマレイ」のギャザースモック
名作と呼ばれる映画には、必ずといっていいほど実力派の脇役が存在するもの。それは、おしゃれも一緒です。一見何げないのに、実は丹念にこだわって作られたアイテムたちは、主役を引き立てるための十分な腕前を持ち合わせています。この連載では、そんな“おしゃれの名脇役”にスポットライトを当て、王道のものから隠れた逸品まで、幅広くリポートしていきます。
photo : 花田 梢 text : 三宅桃子
「この一枚が、『オオシマレイ』というブランドが生まれるきっかけになりました」と開口一番に話してくれたのは、デザイナーの大島 麗さん。2005年、自身が手がけているもうひとつのブランド「キン」の春夏コレクションの1アイテムとして発表され、その翌年にスタートした「オオシマレイ」のアイコン的存在となったのが、こちらのギャザースモックブラウスでした。
「オオシマレイ」ギャザースモック各¥22,000
※商品の価格は2017年3月現在のもので、表示は税抜きです。
インスピレーションのもとになったのは、古着屋さんで出会った19世紀の男性用シャツ。
「一般的に、レディースもののアームホールはカーブがかかっていますが、このスモックは直線的にして男性的な要素を取り入れています」
切り込みの下には、19世紀によく使われていたスクリプト書体の刺しゅうが。
切り込みの先端には糸ループを施し、裂けない工夫が施されています。
そして、こまやかなこだわりは首元や袖口にも!
繊細なピコット刺しゅうが施された袖口は……
ふんわりとしたニュアンスと強度を高めるために、生地を輪にして2枚仕立てにしているのです! 小さな穴が重なり合うことで、より繊細さも増します。
素材は、インドで手紡ぎ手織りされているカディ。
そっと寄り添ってくれるようなやさしい肌ざわりと、ふとした仕草でふわっと舞う軽やかさは、最高に心地いい!
プレスの郷 真理さんも「表情の豊かさに魅了されて、入社前からファンでした」と語ります。
「通気性がいいので春夏は一枚で。秋冬は下にタートルネックを着たり、上からGジャンをはおったり。季節問わず楽しめるのも嬉しいですね」
裾を出して着るのはもちろん、ボトムにインするスタイリングも新鮮。大島さんは、1970年代風のフリンジデニムやアンティーク調の小物を合わせる着こなしが気分なのだとか。
「オオシマレイ」デニムパンツ¥25,000、シューズ¥34,000
スモックの人気ぶりは、チュニックやマキシ丈ワンピースにも拡大。
「オオシマレイ」ワンピース¥35,000、チュニック¥25,000
営業の浅水康博さんからは、ロングセラーを支えているこんなエピソードも。
「裁断、刺しゅう、縫製、染色などの工程を、それぞれ信頼できる国内の専門工場で行っているのですが、生産を始めて以来どこも変わっていないので、作り手の間にもファミリーのような絆が生まれていて。バイヤーさんからのオーダーが途切れない理由は、そんな背景にもあるような気がしています」
お母さまがパタンナーだったという大島さん。
「実は、母と一緒にパターンを引いたというのも、思い入れが強い理由のひとつです」
ブランドコンセプトである“過去と未来をつなぐもの”“対比するものをひとつにする”“自然体であること”を体現したスモックブラウスは、袖を通すたびに大切な何かを感じさせてくれそうです。
TEL 03-5459-3713
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