好きなものに囲まれて暮らす プロップスタイリスト・二本柳志津香さんの“マキシマリスト” 生活【前編】

『スタイリストが実践! 好きなものと上手につき合うインテリア』
2024.10.09

“マキシマリスト”という言葉を知っていますか?

“マキシマリスト”とは、最大限のものを所有するタイプの人、もしくはライフスタイルのこと。
その対義語が“ミニマリスト”です。厳選された最低限のものだけを使い、床や壁にものがないすっきりとした暮らしをするタイプの人は最近SNSでも人気ですね。
私はその反対の“マキシマリスト”で、好きなものを買い、たくさんの好きなものに囲まれて暮らしています。
私の仕事はプロップスタイリスト、もののスタイリスト、もっとわかりやすく言うならば撮影現場の〝小道具さん〞です。商業施設やホテル、CMや雑誌でテーマに合わせた世界観をつくる仕事です。
職業柄、プライベートでも可愛い食器やフラワー、小物などを見つけると、コレクターのように集めていきます。
多くの人が誤解しているのは、「ものが多い=片付けができない=部屋が汚い」ということ。

“マキシマリスト”には、
・好きなものに囲まれて生活できる
・個性的な空間づくりを楽しめる
・買い物を楽しめる
・ものを集める楽しみがある
こんなメリットがあります。

でも、どうしてもものが多いとごちゃごちゃしてしまうのでは? 狭い住宅空間の中にこだわりのものを素敵に配置するのは難しい、という声もよく聞きます。

※本記事では、プロのプロップスタイリストの視点から、自分好みのアイテムを収集して、個性的な空間づくりを楽しむ秘訣を『スタイリストが実践! 好きなものと上手につき合うインテリア』から一部抜粋・編集してお伝えします。

 

狭さ」と「好きなもの」は共存できる! スタイリストのリアルインテリア

私の家は3階建て、27.3坪の狭小住宅で、好きなものに囲まれて暮らしています。


暮らしの中心であるリビングダイニングは、黒を基調にしたパリのアパルトマン風。コンパクトでもメリハリがついて、整って見えます。

「見せる」&「収納」のオープン棚


建築当初、造作の収納棚の設置をすすめられたけれど、断って、好きな家具を置くことに。今は「メルカリ」で購入したオープン棚に、家電も一緒に収納しています。

ゴミ箱はこの1つだけ


わが家のゴミ箱は、キッチンに置いたこの1つだけ。パリジェンヌの暮らしに習って、私も真似をしています。センサーで開閉するタイプで、ラクラク。

キッチンとリビングの印象を変える工夫


家の構造上、壁に傾斜ができたので、アパルトマンの屋根裏部屋のよう。壁紙を張ったら、さらに雰囲気が出ました。傾斜に合わせて張った壁紙は「Farrow&Ball」のもの。

傾斜と柱の間の空間は愛犬のためのスペース。こじんまりしていて落ち着きます。

限られたスペースを好きなもので活用するのが住み手の醍醐味

住まいを考える時に、まず賃貸か持ち家か、マンションか戸建てか、なんてことを考えだしたのは20代の頃です。
田舎育ちの私は上京後、賃貸を転々としました。トレンディドラマに出てくるようなコンクリート打ちっぱなしのメゾネットや、自分の年齢より古いヴィンテージマンション、外国人向けのマンションにも住みました。
「理想の暮らしって何だろう?」。たくさん背伸びをしたり、時には倹約家になってみたりした結果、私の考える理想の暮らしについて、大切にしたいことを書き出してみることに。

① お日さま
② 犬との暮らし
③ 今の街
④ 好きな人、ものに囲まれて暮らす
⑤ 植物の緑

5 つに絞って見つけたのが、私の結論。こうして生まれた小さなわが家は、断捨離ブーム時代と逆行した、好きなものに囲まれた3階建てです。
好きなものをただただ集めて足の踏み場がない、そんなことにはならないように、収納に工夫をこらし、お気に入りの空間をつくっています。


狭い住宅で楽しく過ごすコツは、空間を変化させること。時には1階のアトリエでブランチをします。食事はダイニングテーブルだけと決めずに、テーブルと椅子を用意してふだんと異なる空間で。シリアルとコーヒーの手軽なメニューでも、朝からフレッシュな気分になれますよ。


ここは、2階にある寝室と簡単なワークスペース。衣装を収納したチェストを、それぞれ夫婦でパソコンデスクとして使っています。やさしいグリーンの壁は、壁紙。心が落ち着く色合いで、とても気に入っています。

【後編】に続きます

撮影/田中館裕介

 


 

スタイリストが実践!
好きなものと上手につき合うインテリア


発売日:2024年7月19日
定価:1800円+税

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Profile

二本柳志津香

Shizuka Nihonyanagi

一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会(TWSA)代表理事。株式会社空間スタイリング社代表取締役。CM・広告・カタログ・雑誌・書籍・空間からプロップまで手がけるスタイリストで、国家資格商品装飾展示技能士。日本で初めて食器のスタイリング資格・テーブルウェアスタイリスト®を創設。スタイリングやディスプレイ業のほか、食器の専門家としてイベント出演やテーブルウェアスタイリスト®の育成に取り組む。
インスタグラム @nippon.shizuka

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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