〜“紫外線が増え始める季節に備える”初夏の献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.7レポート【前編】

食べる美容 料理教室
2025.06.22

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。


 

料理道具の街、合羽橋は釜浅商店のキッチンスタジオで定期的に開催される、食べる美容 料理教室。化粧品開発者にして、美容食養生の料理本「食べる美容」を出版したOSAJIブランドディレクター茂田正和さんによる料理教室です。

1クール目は書籍の人気レシピを中心に組み立てた、肌を健やかに整えるための献立がテーマでしたが、この第7回から始まる2クール目は、季節ごとの肌悩みのケアにぴったりな1つの食材をさまざまにアレンジして美味しく食べる献立、がテーマに。

今回のテーマは「トマト」。ラインナップは、和風出汁香る赤海老のパエリア、トマトとしらすのサラダ 柚子こしょう風味、ドライトマトと手羽先の煮込み、デザートにトマトと甘酒のソルベ。食事メニュー3品はみんなで調理をし、デザートのみ教室からの提供でいただきました!


「今回のテーマ食材、トマトはリコピンという強力な抗酸化作用を持った赤い色素をたっぷり含んでいます。この“抗酸化”が、紫外線が増えるこれからの季節は皮膚にとってすごく重要なんです」と、冒頭のトークで茂田さんから解説が。

5月のゴールデンウィークあたりから急上昇する紫外線量。肌老化の約8割は紫外線ダメージによる光老化といわれていますが、もともと私たちの肌にはメラニンという自前の遮光カーテンが備わっており、そのメラニンが肌の弾力などを担う真皮層を紫外線から守り、役目を果たした後はターンオーバーによって排出されるのだそう。

ただ、それは健康で代謝の良い若い肌においてのお話。年齢を経れば誰でも紫外線ダメージによってシミやシワ、たるみが起こりやすくなり、また人種や個人差によっても生まれつきメラニンの多い少ないといった差異が。

つまり、日焼け止めなどで紫外線の影響を減らす外からのケアだけでなく、食べものによる内からの抗酸化ケアで紫外線を浴びた時に発生する活性酸素のダメージを少しでも減らし、光老化しにくい肌に導きましょう!というのが今回の献立の目的。そして数ある夏野菜の中で、トマトはリコピンのほか、β-カロテンやビタミンC、ビタミンEも含むので抗酸化作用がぴかいちなのです。


「例えば、黒色人種の老人の顔を想像してくださいと言われた時、 少し想像しにくいですよね。一方で、白色人種の老人の顔を想像してください、と言われるとすごく容易で、シワやたるみが多い人物像が思い浮かびませんか? これはまさに、人種によるメラニン量の違いがもたらすもので。メラニン量が少ない白色人種の肌は紫外線ダメージが真皮まで到達しやすく、どうしてもシミ、シワ、たるみが起こりやすいのです。そしてメラニンが充実している黒色人種の肌は、もともと紫外線量が多い地域がルーツなので、紫外線ダメージが真皮まで影響しにくいんです」

生来の肌色と地域の紫外線量が合っていない場合は、日焼けや光老化を超えたダメージも発生。皮膚科学に精通する茂田さんのお話によると、オーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地域で皮膚ガンの発生率が高いのは、もともと紫外線が少ない地域のDNAを持ったメラニン量の少ない白色人種が紫外線量の多い地域に移民して暮らしているためなのだそう。


「日本の場合、春から梅雨にかけてはまだ人の肌のメラニンの準備が整いきっていない時期ですが、一方で晴れの日には真夏と変わらない紫外線量が降り注ぎます。うっかり日焼けという言葉がありますが、カウンターパンチ的なダメージを受ける可能性があるのが4月〜6月です」

なので、5月あたりからは献立に抗酸化作用のある食べものを充実させておくことで、ダメージの度合いを小さくできるとのこと。

 

ドライトマトと手羽先の煮込み


最初に仕込んだのは、茂田さんがプロデュースした直火可能なテーブルウェア「HEGE」の鍋を使ったドライトマトと手羽先の煮込みです。再生可能資源であるアルミに加工を施し、耐久性や見た目の美しさを高めた熱伝導の良い鍋なので短時間で効率良く煮込み料理ができます。


「抗酸化は美容のためのテーマですが、今回の献立のもう1つのテーマは“日本の食材でスペイン風の料理を作る”です。この煮込みと全く同じものがスペインにあるわけではないのですが、スペイン料理に欠かせないドライトマトにスパイスやハーブを合わせて食欲をそそる煮込み料理に仕上げます」



鍋に水を入れてふつふつと沸騰してきたら手羽先を入れて、そのままアクが引くまで強火をキープ。一旦アクを引き終わったら、ドライトマト、シナモン、ローリエ、つぶしたにんにくを入れます。


火加減を中火に落とし、バルサミコ酢、醤油、ハチミツをスープで溶かし入れたらアルミホイルを落し蓋にして弱火で15分ほどタイマーをかけて煮込みます。途中で何度かお肉をひっくり返し、15分経ったら落し蓋を外して汁気が最初の3分の1になるくらいまで煮詰めて完成です。


調理後には、参加者さんからドライトマトの代わりに生のトマトをこの煮込みに使っても良いのでしょうか? という質問が。

「トマトはドライにするとアミノ酸が豊富になり、甘みや旨みが強くなるので煮込み料理に入れるとすごく良い出汁が出るんです。それから、シナモンやバルサミコ酢などとの香りの相性もドライトマトは非常に良くて。今回のようなスペイン風の煮込みを完成させたい場合には、やはりドライトマトがおすすめです」


香りの相性において、生のトマトのフレッシュな香りは、シナモンやバルサミコの香りにやや負けてしまいやすいそう。生のトマトと手羽先で煮込みを作る場合は、調味料をにんにく、醤油、ハチミツのみにして、生のトマトのやさしい酸味を生かしたシンプルな煮込みとして仕上げると良いそうです。

袋入りのドライトマトを買うと使い道に悩む方もいそうなので…と茂田さんが教えてくれたそのほかの使い道は、炊き込みご飯やペペロンチーノの具、細かく刻んで麻婆豆腐に加える、すき焼きに入れるなど、どれも美味しそうですね!


後編では、メインディッシュとなる和風出汁香る海老のパエリア、トマトとしらすのサラダ 柚子胡椒風味の調理の様子、デザートに使った甘酒の美容面への働きなどについてお届けします。

 

→【後編】へ続きます

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』直火鍋φ250直火鍋 

『食べる美容』


←このほかの「食べる美容 料理教室レポート」はこちらから

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ