〜ストレス不調をやわらげる「新生活」の献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.7レポート【後編】
健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。
きれいな肌を育むための料理の作り方はもちろん、プロが使うような調味料や調理道具をお家で上手に使えるポイントを教われるなど、回を増すごとにリピーターが増えている茂田正和さんの料理教室。
第7回目のテーマは、夏の紫外線ケアに役立つトマトを使った献立です。後編では、トマトを使ったパエリアとサラダの調理のプロセスや、食べものによるインナーケアのお話など、茂田さんならではのレクチャーの様子をお伝えします。
和風出汁香る海老のパエリア
パエリア鍋にオリーブオイルを引き、強火で温める。鍋の中央にしっかり火が当たっていることを確認したら、赤海老の頭のみを塩を振り入れながら中火で炒めて。赤海老にしっかり焦げ目がついたら、本場のパエリアには欠かせないモロッコインゲンをさっと炒めてごく弱火まで火を落とします。
海老の頭、モロッコインゲンの次は、にんにくを加えて焦がさないように炒めます。香りが立ってきたら、スモークパプリカパウダー、サフラン、粉鰹の順で加え、よく混ぜてオイルに香りを移したら、火を再び強めてすりおろしたトマトを入れて煮詰める。
トマトの汁気がなくなり鍋肌がまだらに見えるくらいまで煮詰まってきたら、水を加えて強火に。沸騰したタイミングでローリエを加え、海老の頭は取り出して、お米と赤海老の身を入れて焦げ付かないよう時々かき混ぜながら水気を飛ばしていきます。
「お店のように仕上げるポイントは、適度にお米が水気を吸ってリゾット状になるまで蓋をしないこと。しゃばっとしたリゾット状になったらローリエを取り出し、具材を整えて蓋をして弱火で15分炊きます。その後は火を止めて5分蒸らしましょう」
茂田さん曰く、ガス火やカセットコンロでパエリアを作る時は、約2分ごとに鍋をくるくると少しずつずらして鍋底に火が満遍なく当たるようにすることがポイント。
蒸らしの5分が終わったらスプーンでおこげが出来ているかどうか確認、足りないようなら最後に弱火にかけておこげを作り、レモンを上に乗せて完成!
ほんのり出来たおこげの旨みを混ぜ合わせることで、ぐんと本場のパエリアの味に。
「パエリア用の鍋を買うときは、テフロンやフッ素コーティングではない、おこげが出来やすい鉄製がおすすめです。サイズとお米の量については、直径30cmでお米1合が上限という感じです。美味しいパエリヤは、鍋底に近い層がおこげ、中間の層がふっくら、上の層がややアルデンテ、というのが理想。鍋に対してお米の量が多すぎると理想的な仕上がりにはなりにくいんです」
レモンを絞り、海老や蟹と相性の良い別添えのアイオリソースで味変も楽しみながらいただきました。アイオリソースはマヨネーズににんにくを混ぜる、あるいはにんにく、オリーブオイル、卵黄を混ぜて1から手作りも可能だそう。
「今回は、お米もぱらっと仕上がるスペイン米を使いましたが、日本のお米でも問題ありません。ただ、水分量の多い日本のお米だと仕上がりがしっとりした感じになります。具材が変わってもパエリアの基本的な作り方は今日と同じなので、皆さん今日からカセットコンロでも本場さながらのパエリアを作れるようになりましたよ」
トマトとしらすのサラダ 柚子こしょう風味
生のトマトを食べるサラダは、ビタミンCのほかに、夏のむくみ対策に良いカリウムなどを効率良く摂れる一品。
「スペインにはガルム、イタリアではコラトゥーラと呼ばれる魚醤があって、サラダなどにも使われています。アジアだとタイのナンプラーとかベトナムのニョクマムにあたるもので、日本の食材だとしょっつるなので、今日はこのしょっつるを使って、味の濃い新鮮なミニトマトをサラダにします」
作り方はとても簡単で、柚子胡椒をしょっつるで溶いてよく混ぜておき、ミニトマトとしらすに合わせ混ぜたら、最後にオリーブオイルを加えて馴染ませるだけ。
「今日はテーマ食材のトマトに酸味があるので入れていませんが、このドレッシングにレモンまたは白ワインビネガーを加えて、さっと茹でたインゲンやレンコンに和えるのもすごく美味しいのでぜひやってみて欲しいです」
トマトに含まれる抗酸化成分、リコピンは加熱調理をしても成分が失われず効率良く摂取できるありがたい成分ですが、ビタミンCやオリーブオイルなどに含まれる一部のポリフェノールの抗酸化成分は熱に弱く、空気に触れると酸化しやすいのでフレッシュな状態で摂ることが重要です、と茂田さん。
「 “抗酸化成分”というと、ずっと酸化しない成分のように思われがちですが、実際は逆なんです。フレッシュな状態で摂取すると、体が活性酸素からダメージを受けるその前に、抗酸化成分が活性酸素を吸収し代わりに酸化することで消去してくれるんです。なので、オリーブオイルなども開封後に鮮度が落ちてしまうと、抗酸化成分はすでに酸化してしまっていて、体の中に入っても意味がなくなってしまうんです」
トマトと甘酒のソルベ
デザートのソルベでもフレッシュなトマトの味わいと香りを堪能。爽やかな甘さとヘルシーさが嬉しい一品です。
ミキサーにかけたトマトと甘酒に、オリーブオイルを加えてさらに攪拌。さらにみじん切りにしたバジルを加えて軽く混ぜる程度に攪拌したら、ボウルに移して冷蔵庫へ。時々かき混ぜてシャーベット状になるまで冷やし、食べる前にハチミツをマーブル状になるように混ぜ合わせていただきます。
「夏の肌には、抗酸化と同じくらい肌のうるおいをキープするアミノ酸が必要です。甘酒はアミノ酸の宝庫で、肌に含まれるアミノ酸ともなじみが良いので、エアコンによる乾燥対策とかにも良い飲み物ですよ」
今回は恒例のドリンクバーに、トマトジュースやスペインはバスク地方のお酒などが並んでいました。
「2クール目は少し待ち時間のある料理が多くなりそうなので、ぜひ美味しいお酒を味わいながら、もちろんノンアルコールの飲み物も用意しているので、ドリンクを片手に会話も楽しみつつ。化粧品開発者の立場から、皆さんのスキンケアに関するお悩みや疑問に答えたりと、よりカジュアルに進められたらと思っています。どうぞ気軽にご参加ください」
photo:小松原英介 text:石塚久美子
【食べる美容 料理教室 Vol.08 開催概要】
7月|老化リスクの高い夏に基本のタンパク質をしっかりとる“鶏肉の献立”
紫外線を浴びることで肌のハリや弾力を保つコラーゲンは壊され、その修復にはたくさんのタンパク質が必要です。1日に必要なタンパク質量は体重の1/1000gで、体重40kgの人で40g必要です。木綿豆腐でこの量を摂るには2丁(600g)必要となり、意識しないとなかなか摂れる量ではありません。今回はそんなタンパク質を効率よく健康的に摂れる鶏肉のレシピを紹介します。
食材 / トマト
献立
・柚子胡椒香るタッカンマリ
・鶏ひき肉と茄子の黒酢マリネ
・鶏皮ネギ冷や奴
・鶏出汁生姜飯
開催日時
2025年7月12日(土)11時〜13時30分 / 16時〜18時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。
Profile
茂田正和
音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。
Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/
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