淡路島編vol.1 自然と一体となった建築本来のありようを探る設計事務所「HIRAMATSUGUMI(ヒラマツグミ)」
瀬戸内海最大の島である淡路島は東京都23区ほどの大きさで、温暖な気候で四季折々の花や景色などの自然が楽しめます。本州からは明石海峡大橋、四国からは大鳴門橋が繋がっており離島ながらアクセスも良く訪れやすいのも魅力のひとつです。
そんな淡路島を拠点に活動されている設計事務所「HIRAMATSUGUMI(ヒラマツグミ)」さん。設計事務所の他にカフェやギャラリーも併設されており県外からも多くの人々が訪れます。素敵な建築物にも注目して欲しいという島のスポットをご紹介いただきました。是非次の旅の計画を立ててみてくださいね。
旅をするときに、観光地ではなく、ついつい建築物や空間が美しいところを探していつも巡ってしまいます。
建築家が建てた建築物然り、アノニマスな建築でも人が生き生きと過ごす空間がある素晴らしい場所はたくさんあります。普段私が旅をするときのように今回はそういった目線で選んだ場所へご案内できたらと思っています。
まずは、私が働いている「HIRAMATSUGUMI」をご紹介させてください。
HIRAMATSUGUMIは、ヒラマツグミ一級建築士事務所が運営するarchitects(建築事務所)とgallery(展示販売ギャラリー)、cafe(カフェ)、studio(実験場)が併設された場所です。建築物を設計することだけにとどまらず、暮らし方の提案をする場や自分たちが手を動かし思考する場、自然と人、人と人が繋がる根源的な食の場をつくりました。それらは別々の個々ではなく、生態系のようにすべてがゆるく、しかしつながっています。
街の中から、山の中へのこの場所へ移ったのは2018年。元牛舎として使用されていたこの建物を見つけ、最小限の改修をしました。柱、梁、床、天井などはそのままに、牛の出入りのための扉があったところを、サイズを変えて大きな窓ガラスの開口にしています。
大きな窓から見えるのは、大家さんが植えている栗や、いちじく、桃の木など、季節ごとに実りをつける木々たちです。鳥の声や、虫の声がまるでステレオから流れる音楽かのように環境音として流れています。この場所にいると、季節の移ろいが日々という短い間隔で感じられるし、実りをいただいたり、庭の手入れをしたりと自然と向き合っていることをとても実感します。
ギャラリーでは、誠実なものづくりから生まれる、暮らしの道具や作家の作品、職人の手仕事の作品などを展示販売しています。場所を限定せず、自分たちが良いと思うものや関係性のある作り手の作品などを展示、販売しています。また地場産業でもある淡路瓦と同じ素材と窯から作られた器や、島の素材を蒸留して製作した香りの商品など、島から生まれた作品もあります。
時には、作家の展示会や、自分たちの思考のアウトプットとして自主企画の建築展なども開催しており、建築の可能性を日々探っています。
先日開催したピアノの演奏会。自然との関係性が徐々に変化するような空間を作り出し、大変好評をいただきました。
カフェでは、「中国茶と季節の食」という茶会を年に4回、季節ごとに開催しています。茶人 川西まりさん(TE tea and eating)のお茶とそれに合う季節の食と菓のひとさらをご用意しています。茶室のような小さな間や、新しく設えた2階ギャラリー空間、さらに季節がいい頃は外へ飛び出して、庭に建てた小屋で開催することもあります。
また、通常営業(金曜日+土曜日)は、mochitsu motaretsu(モチツ モタレツ)がパートナーとして運営しており、蒸留家でもある料理人が香りにフォーカスしたメニューを展開しています。不定期に、食と音楽のイベントを開催することも。
この場所で働いていると、何気ないけれど美しい景色によく出逢います。それは、設計をすることのみでは生まれない自然との距離が近いことによる揺らぎや、偶発的なできごとによって立ち現れてくるものです。日々を暮らし、私たちの足元にあるこの場所をもっと深く知り、感じ、より自然と一体になった建築本来のありようを探っています。
兵庫県洲本市中川原町中川原555
TEL:0799-25-8315
定休日:gallery/日月木曜 cafe/日〜木曜
https://hgumi.net/
Instagram:@hiramatsugumi
MAP:A
日本、〒656-0002 兵庫県洲本市中川原町中川原555
日本、〒656-2334 兵庫県淡路市釜口2173
日本、〒656-1325 兵庫県洲本市五色町鮎原南谷409
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