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山口編vol.1　里山の四季が楽しめる静かで居心地のよい空間「紅花舎（こうかしゃ）」

地元のおしゃれさんが案内する小さな旅

2025.12.06

山口県の中央に位置する県庁所在地である山口市は、日本三名塔の一つの国宝「瑠璃光寺五重塔」や美肌の湯と知られる「湯田温泉」などが有名です。また、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2024年に行くべき52カ所」にも選ばれ、世界からも注目されている場所となっています。
今回案内していただくのはご家族で東京からUターンされた杉田宗一さん。ご両親が営んでいたユースホステルを「紅花舎（こうかしゃ）」として薪サウナ・ショップ・カフェなど旅行者だけでなく地元の方も楽しめる空間へリニューアルしました。自然豊かで歴史ある山口市を是非訪れてみてくださいね。

みなさまはじめまして。「紅花舎（こうかしゃ）」という小さな宿を山口市の山あいで営んでいる杉田宗一と申します。このたび4回に渡り山口市の私的おすすめスポットを紹介させていただくことになりました。
山口市は山口県のほぼ中央に位置する人口19万ほどの小さな都市です。県庁所在地でありながら街の中心部を流れる一の坂川に毎年6月ごろには蛍が舞うような、自然豊かでのどかな街です。国内外からの旅行者もまだまだ少なく、静かで穏やかな時間が流れています。

そんな山口市のはずれ、街の中心部から車で15分ほどの里山に佇む2階建ての建物が「紅花舎」です。

四季折々の自然の中で日々の慌しさから離れ、素朴ながらもちょっとした非日常を楽しんでいただけます。
小規模ながら、薪で焚くサウナ、ストア、カフェなど、旅行者に限らず地元の方や、ふらっと立ち寄られる方にも居心地良く過ごしていただけるよう工夫しています。

木々に囲まれた洋館風の建物は築80年ほど。両親がユースホステルを開業したのが1974年、51年前になります。多くの方に支えられて50年近く営業をしてきましたが2020年に父が他界し、また新型コロナの影響もあり休業に入っていました。
そんな中2021年夏、妻と2人の子供たちと東京からUターン。ほぼノープランで帰ってきましたが、翌年宿を再生することを決め、1年間のリノベーションを経て、2023年3月に新しい「紅花舎」をスタートさせました。
妻と僕は東京で荒物を扱う問屋に長年勤めてきました。宿泊業もサウナもカフェも全く未経験な僕たち。でもだからこそ、ゲストハウスともホテルとも少し違うちょっとユニークな施設になってるんじゃないかと思います。資金は潤沢ではないけれど、DIYとチープシックの精神を大切に、僕らなりのやり方でお客さまに喜んでいただけるよう日々試行錯誤。誰かのちょうどいい宿であれたらと思っています。

名物のホットドッグや朝食用のパン、焼き菓子などを焼いているのは妻の智子です。
素朴ながらもとても好評で持ち帰りたいという声もしばしば。最近のヒット作はかぼちゃのチーズケーキです。元々趣味で長年家族のために焼いていた・・・ということは実は無く、ゼロから始めて日々研究を重ねています。
智子は秋田県湯沢の出身。慣れない土地で8歳6歳になった息子たちの子育てと宿の経理業もこなし、縁の下から「紅花舎」を支えています。

フロント担当はきんちゃん。長崎の離島出身で、かつて「紅花舎」近くの県立大学に通いサークル活動としてボランティアで当時のユースホステルを手伝ってくれていました。リノベーションの最中にふらっと立ち寄ったのが運の尽き。そのまま得意の現場仕事に突入し、オープン後も様々な経験と持ち前の愛嬌を活かし「紅花舎」になくてはならない看板スタッフとなりました。
それから僕が生まれた頃（1979年）から「紅花舎」に縁のあるベテランの石井さん。ルームメイキングや清掃、毎日膨大に使う薪の準備など、なかなかの仕事量を日々淡々とこなしてくれている頼もしい存在です。
助っ人アルバイトさんたちも個性的でコミュニケーションが大好きなキャラクターばかりです。

僕、杉田宗一はこの元ユースホステルで生まれ育ち二十歳ごろから20年ほど東京で暮らしてきました。まさか自分が実家の宿業を引き継ぐとは思ってもいませんでしたが、不思議なものです。これまでの経験や出会いが全て今の「紅花舎」に繋がっています。

僕たちがこれまで出会ってきた全国の大切な友人達と共に様々なイベントも企画し開催しています。

2023年10月には写真家の大沼ショージさんと萬田康文さんによる「カワウソ」が美味しいパスタを振る舞ってくれました。