海と風が語りかける、旅の香りが残る小さな港町

今日のひとしな
2025.12.12

〜「tömpa(東巴 / とんぱ)」より vol.12〜


東巴のある静岡県の新居町(あらいちょう)は、海と湖と山に包まれた、小さな港町です。
店を出て少し歩けば、すぐ目の前に太平洋の大きな海が広がり、もう少し足をのばすと浜名湖の穏やかな水面が見えてきます。
このあたりの海辺は人の姿も少なく、まるでプライベートビーチのような静けさ。そのため、お客様にはよく「ぜひお散歩してみてください」とお勧めしています。東巴に車を停めて、そのまま歩いて行ける距離なので、皆さん心地よい潮風に包まれながら戻ってこられます。


防風林のあいだを抜け、バイパスの下にある階段を降り、そしてまた少し上がると、ぱっと視界が開け、果てしなく続く水平線が目の前に広がります。
潮の香り、波が寄せては返す音、風に運ばれる海の匂いに包まれると、心の奥がすっと静まり、整っていくような感覚になります。道中には大きなサボテンやさまざまな植物が顔をのぞかせ、海はすぐそこなのに、なかなか到着しなかったり(笑)。
季節の移ろいを感じることは、心にそっと栄養をくれる時間のように思えます。


春先になると、防風林の緑がいっせいに芽吹き、潮風がふわりと広がります。浜には、毎日ゴミを拾いながら海を守ってくれている方々もいて、そのおかげで景色は静かで清らかです。私も訪れるたび、貝殻や流木といった漂流物を楽しみつつ、ゴミは必ず持ち帰るようにしています。こうして小さなことを積み重ねることで、浜の穏やかな時間を少しでも守ることができるのだと思います。


そんな新居町の海の光や風に誘われるように、気づけば何度もこの浜に足を運んでしまいます。子どもと貝殻を拾ったり、犬と走ったり、ただ海を眺めてぼんやりしたり。お弁当を広げて、時間を忘れて過ごすこともあります。特別なことは何もないけれど、ここに来ると心がゆるやかに整い、まあるい気持ちになれるような気がします。


貝殻や流木は、どれも形も色もバラバラで、それぞれに海の記憶が染み込んでいるように感じます。気づくとポケットがいっぱいになっていたりして、思わず笑ってしまうことも。個体差があって、それぞれに個性があり、手に取るたびに想像を膨らませられるところが、私にとっての醍醐味です。そんなところが、海辺を歩くのが好きな理由であり、この場所を心地よく感じる理由でもあります。


新居町を散策していると、時折ここは南仏なのか?と思うような景色に出会うことがあります。下の二枚の写真、左が新居町で右が南仏。どちらも私が撮ったものです。
風の抜け方や光の色が驚くほど似ていて、ここにいても、旅の途中にいるような気分になります。新居町は港町らしく、おおらかで明るい空気が流れています。
道ですれ違うご年配の方が、気持ちいいくらい爽快に「おはよ〜」と声をかけてくれる。そんな日常の光景が心地よく、この町が大好きです。海と風と人のあたたかさが、穏やかに続いている。そんな風景の中で、今日も東巴の一日が静かに始まります。


海も、湖も、山もある静岡県湖西市・新居町。拾った貝殻や流木は、店のどこかにそっと飾られています。
国内外の旅先で出会った景色と同じように、海や湖、山の気配が東巴の空気の中に静かに流れています。この港町で過ごす時間も、まるで旅の続きを歩いているかのように感じられます。


ぜひ一度、新居町の海辺を歩いてみてください。潮の香りや風の音が、きっとあなたの中にも静かな記憶を残してくれると思います。
東巴で、その海の余韻を感じながら、ゆっくりとした時間を過ごしていただけたらうれしいです。

 

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tömpa(東巴 / とんぱ)

静岡県湖西市新居町新居2731
TEL:053-594-8633
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月
(※展示会期間中は日・月も営業 / 最新情報はSNSを確認)
Instagram:@tompa_japan
(※営業日や展示会・料理教室などWSについては随時Instagramでお知らせ)

Online Store:
https://www.83com.com/
https://tompa-antiques.stores.jp/
https://www.rakuten.co.jp/tompa/

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