山口編vol.3　時間を忘れて過ごせる不思議な空間「ミュゼ・オートマトン／ ネスト・オートマトン」

山口県の中央に位置する県庁所在地である山口市は、日本三名塔の一つの国宝「瑠璃光寺五重塔」や美肌の湯と知られる「湯田温泉」などが有名です。また、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2024年に行くべき52カ所」にも選ばれ、世界からも注目されている場所となっています。
今回案内していただくのはご家族で東京からUターンされた杉田宗一さん。ご両親が営んでいたユースホステルを「紅花舎（こうかしゃ）」として薪サウナ・ショップ・カフェなど旅行者だけでなく地元の方も楽しめる空間へリニューアルしました。自然豊かで歴史ある山口市を是非訪れてみてくださいね。
 

“オートマタ”ってご存知でしょうか？
西洋式からくり人形のことです。山口市在住のオートマタ作家が原田和明さんです。原田さんの作るオートマタはアイロニックで可愛く、ちょっとシュールです。
ハンドルを回したり、スイッチを押すとゼツミョーにニュアンスのある動きをする箱の上のキャラクターたちはまるで生きているかのよう。例えば「テディベア」。可愛いクマが座っているのですが、ハンドルを回すと、なんと両手で自分の頭を胴体から持ち上げちゃうんです・・・！くくっとなること必死です。いたずら好きかつ人を楽しませることが大好きな原田さんのしたり顔が浮かびます。

「真剣に遊ぶ」ことをモットーにされている原田さんと奥さまのおめぐさんが営まれる、オートマタの展示場兼、ゲームセンター？が「ミュゼ・オートマトン」です。
山口市の南部、瀬戸内海に面した秋穂というのどかな土地にあります。広々とした敷地の中、おめぐさんによってきれいに手入れされた可愛い庭と板張りのシンプルな切妻型の建物。ゲームセンターと言っても原田さん自作のゲームマシンやレトロでアナログなピンボールマシン、これまた自作のエアホッケーや、ヨーロッパから輸入したサッカーゲームなどなんだかほっこりする遊び道具ばかりが所狭しと並んでいます。我が家の男子ふたりも入場時にもらったコインを握りしめて夢中になって遊んでいます。おめぐさんお手製のとっても美味しいお菓子や飲み物も楽しめます。

原田ご夫妻も一緒になって遊びの手ほどきと対戦役も引き受けてくれています。
我が家の次男がぐずった時のことです。和明さんが握った両手を差し出し、（ゲーム用の）「コインはどっちに入ってるでしょう？」と。次男が「こっち！」と正解を言い当て、即興で子供の機嫌を直してくれました。その後こっそり僕に向かって反対の手の中のコインも見せてニヤッと笑っていました。そんな原田夫妻の様子を見ていると、陶芸家河井寛次郎の残した言葉「暮らしが仕事、仕事が暮らし」ならぬ「暮らしが遊び、遊びが暮らし」と言う言葉が浮かびました。

そしてもともと畑だったというサッカーもできそうな広い原っぱの片隅には泊まれる小屋「ネスト・オートマトン」があります。かわいい平屋建ての小屋には大きなベッドがふたつ、簡易キッチン、シャワー、トイレ。庭には焚き火台も。小屋の中の備品はどれもきちんとセレクトされたものばかりで、過不足なく心地良い宿泊体験が楽しめます。

大人も子供も時間を忘れて過ごせる不思議な空間。山口の誇る遊びの殿堂「ミュゼ・オートマトン」と泊まれる素敵な小屋「ネスト・オートマトン」素敵な思い出が作れること請け合いです。

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