〜卵のチカラでうるおいを逃さず閉じ込める献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.10レポート【後編】
健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。
OSAJIブランドディレクター、茂田正和さんの著書『食べる美容』(主婦と生活社)で提案されている美容食養生の考え方に沿った、季節ごとに起こりがちな肌悩みを防ぐのに役立つ、食材の新鮮な調理法や美味しい食べ方が学べる料理教室。
11月末に開催された第10回目のテーマ食材は“卵”。献立の内容は、乾燥を防ぎ、気温の低下による代謝の低下をケアすることで、肌に本来備わっているうるおい保持力をサポートする内容となっています。

後編では、魚卵や貝類に多く含まれるプリン体についての解説、『食べる美容』に掲載の人気レシピで魚卵の代表である鱈子と小葱のサラダ、そして冬はとても味わいが濃厚でクリーミーになる牡蠣を使った蒸しご飯の2品の調理の様子をお送りします。

「卵のコレステロールが、年齢を経るにつれてちょっぴり嫌われやすくなるのと同じで、魚の卵に多く含まれるプリン体もまた、摂りすぎると痛風の原因になるということで、少々怖がられる存在ですよね。でもプリン体というのは、細胞の核にあるDNAの主成分であり、細胞内の情報伝達物質の材料としても必要で、細胞の新陳代謝には欠かせない重要成分なんです。皮膚科学的には、プリン体の摂取が減ると肌のターンオーバーが遅くなってしまうわけです」
健康診断で尿酸値が上限を超えてしまうほどの摂り過ぎは問題だけど、プリン体が不足し過ぎるのもかなりの問題ということを、ぜひこの機会に知ってもらえたらと茂田さん。
鱈子と小葱のサラダ

小葱の辛味、芹の爽やかな香り、鱈子の塩気が一体となった、お酒の肴にも良さそうな大人のサラダ。
このサラダのドレッシングは荏胡麻油ベースで、この油がセレクトされたのは栄養学的な理由から。
「荏胡麻油は島根の辺りが名産地で、日本で一番生産量が高いんですよね。荏胡麻油と、それから亜麻仁油には、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が豊富に含まれています。鰯や鯖、鯵といった青魚にも、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったオメガ3脂肪酸酸が豊富に含まれていることで知られていますが、オメガ3脂肪酸は卵と一緒に摂るのが非常におすすめの油です」

「なぜかというと、コレステロールはこのオメガ3脂肪酸がくっつくことで、悪玉化しにくくなります。なので、卵料理を食べる時は、オメガ3脂肪酸を含む荏胡麻油や亜麻仁油をサラダに使うとか、青魚のおかずを1品加えてあげると、コレステロールが悪玉になるのを防ぎ、体の中に善玉として取り込めるんです」
亜麻仁油はやや苦味のある風味なのに対し、シソ科の荏胡麻油は爽やかな風味で子供も食べるサラダのドレッシングにも使いやすい油。但し、オメガ3脂肪酸は酸化しやすいので、開封後は冷蔵して早めに使い切ることが大切です。また、茂田さん曰く食用の油は、溶剤抽出では無く圧搾絞りで作られたものを選ぶことも、良質な栄養を摂るためのポイントとのこと。

ボウルにほぐした鱈子を入れて、ニンニクと生姜のみじん切り、黒酢、醤油、砂糖、荏胡麻油を混ぜ合わせてドレッシングに。小葱と芹を食べやすい幅に切ってから、ドレッシングが行き渡るように和え混ぜるだけで完成する簡単サラダです。
牡蠣の蒸しご飯


「今日は、あえて冷やご飯を使って牡蠣の蒸しご飯をつくります。お家の冷蔵庫にある、あるいは冷凍してある、残りご飯を活用して美味しい一品にリメイクする方法としてご紹介したいなと。蒸篭を使って、具材と冷やご飯を一緒に蒸しあげるだけの、とても簡単な方法です。ぜひご自宅でも試していただけたらなと思います」

ボウルに牡蠣、食べやすい大きさに切った長葱、椎茸、インゲン、そして銀杏を入れ、調味料(みりん、オイスターソース、甜麺醤、砂糖)を合わせてから、最後に太白ゴマ油を入れる。


蒸篭にガーゼを敷いて冷やご飯を広げ、味付けした牡蠣などの具材をのせてガーゼでふわっと包んだら蓋をして鍋にセットする。
「火加減は、鍋の水が沸騰してくるまでは強火、蒸気が上がってきたら中火で15分。15分たったら、食べるまでごく弱火にして保温しておくのがおすすめです」

仕上げに炒りごまを散らしていただきます。オイスターソースや甜麺醤を使っているので少し濃いめの味付けかと思いきや、具材に馴染ませてから太白ごま油でコーティングしているので、ご飯にはほんのりと味が移る程度。食べ飽きないやさしい味わいで、卵を使った副菜との相性抜群でした。

「今回は、サラダ以外は具の入れ替えが自由自在にできるレシピです。蒸しご飯の具を、平巻春巻や南禅寺蒸し中華あんかけ(前編で紹介)の具に入れ替えても美味しいですよ。蒸しご飯の具は、今日は牡蠣にしたので牡蠣の繊細な風味を損なわないよう調味料をしっかりと効かせなかったのですが、牡蠣の代わりに牛肉、豚肉、鶏肉などを使うなら、太白ごま油を焙煎ごま油にしてみたり、ニンニクを加えたりすることで、パンチのある味になると思います」

次回は、EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸酸をたっぷり含み、血液サラサラ効果を期待できる青魚“鯵”尽くしのレシピ。年の始めにぴったりな、お寿司づくりに挑戦できる貴重な回となりそうです!
photo:小松原英介 text:石塚久美子

【食べる美容 料理教室 Vol.11 開催概要】
1月|青魚の栄養素でくすみの原因をトリプルブロックする献立
冬のくすみの原因は大きく分けて3つ。ひとつは乾燥によって光の反射が悪くなること。もうひとつはターンオーバーが遅れてメラニンがたまること。最後は血流が低下して血色が悪くなること。鯵をはじめとした青魚に含まれる脂肪酸やビタミンB群は、これらのくすみの悩みに効果的にアプローチしてくれます。今回はそんな青魚の魅力を堪能できるレシピを紹介します。
食材 / 魚
献立
・鯵と蕗のとうの押し寿司
・鯵出汁にゅうめん
・鯵のさんが焼き
・鯵の青さ蒸し
開催日時
2026年1月31日(土)11時〜13時30分 / 16時〜18時30分
講師:OSAJIブランドディレクター / 茂田 正和
開催場所|釜浅商店(包丁売場4Fイベントスペース) 東京都台東区松が谷2丁目24−1
受講料:10,000円(税込)ドリンクご利用分は別途頂戴いたします。
定員:各回16名
応募方法:Peatixにてお願いいたします。
※料金(材料費、講習費、実食分)の費用となります。
持ち物等:手拭き、筆記用具、エプロン
注意事項:当日は記録のため撮影が入ることがございます。ご同伴者がいらっしゃる場合は、ご予約の際に備考欄へその旨をご記載ください。お料理によっては複数人での共同作業がございます。
Profile
茂田正和
音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。
Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/
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