【花と暮らしの12か月】「TOKIIRO LABORATOIRY NASU」を訪ねて

JALDIN BLANCの庭から ~花と暮らしの12か月~
2026.03.01


先月からスタートした、栃木・那須に暮らすクリエイターRARI YOSHIOさんによるマンスリー連載「JALDIN BLANCの庭から ~花と暮らしの12か月~」。RARIさんにはこれまでも「小さな旅 那須編」「贈る花オーダー帖」などで何度かご登場いただいていますが、今回は新刊『心をととのえる処方箋——12か月のFlower days』の発売をきっかけに、日々の花と暮らしのことを、新たに書き下ろしていただいています。



今回は、那須で静かに眠っていた大きな温室に光を当てて「TOKIIRO LABORATOIRY NASU」として再生し、那須に移住されたTOKIIRO 近藤義展さんを訪ねました。
友人としても10年来の付き合いになりますが、あらためて真面目にお話をうかがいます。




TOKIIRO EXHIBITION[Theater] 2025 10/11-19 植物造形 インスタレーション

 


TOKIIROは
浦安から那須へ移住

近藤さんは、1969年新潟県生まれの植物空間デザイナー。
2009年、千葉県浦安にて「季色(トキイロ)」として活動を始め、主に多肉植物を扱い、器(空間)に絵を描くように生きた世界を創作してきました。
2015年からは活動の枠を広げられ、さまざまな変化をしながら、現在は「TOKIIRO」という屋号で活動されています。
そして2025年、那須の黒田原という地に拠点を移しました。竹林の中に人知れず佇んでいた大きな温室はそのときを待っていたのでしょう。新たに再生し、「TOKIIRO LABORATOIRY NASU」を誕生させました。



ラボから50mのところにある上ノ原蓮畑。開花を待つ蓮。

 


必要なタイミングでの
出会いに導かれて

近藤さんとのお話は、植物との最初の出会いとなった柳生真吾さんとの出会いから始まり、
必要なタイミングでのさまざまな人との出会いによって導かれるように___これまでの人生を歩んでこられた___。
そんな印象を受けました。

もともととても研究者気質な近藤さん。
室内で植物が光合成できるような照明を開発するなど、植物を通して地球環境を考えることがしだいに活動の中心になります。
それをどう伝えて行くか___これが多肉植物のワークショップの在り方になりました。

そして、那須に移住されてから、より自然を感じながらの発信は、多肉植物を超えたところに広がり、空や星、木々や鳥や昆虫たちを観察している様子はどこか少年のような眼差しを感じます。

那須の温室に最初に出会ったときは、「ひと目惚れだった」と。
そして、「植物の中で暮らしたいと思っていた記憶を思い出した」とも語ってくれました。

 


2024年8月のファサード。竹や堆積した葉でドアも開かず浄化槽も見つからない状態だった。

 


近藤さんがつくる映像は
まるで短編映画

2020年頃から近藤さんは、映像作品の制作を始めます。
その場の情景と空気感をそのまま映像に写し取るような近藤さんの映像を見ると、いつも、短編映画を観ているような感覚になります。

今回、私の書籍『心をととえる処方箋__12か月のFlower days』でも、告知用に4編の映像をつくっていただきました。
それぞれ、異なる切り口の映像が上がってくるたびに新鮮な驚きがありました。映像には、私が撮影した庭の風景などもとり混ぜながら使っていただきましたが、たくさんの写真の中から、ぴったりの写真を選び取る感性は、やはり、植物や自然に向き合う視点をもっているからだと思いました。

 


温室東側の桜。竹が密集している中で咲いていた。今年は周りの竹を切って、この桜の下から見上げられるように整備中。

 

 

この先の
TOKIIROという花の行方

那須のこのラボでは、ワークショップや、時折ショップを開いて行きたいというイメージのようですが、実はこの広い広い温室は、すべてが整っているわけではありません。
「そこも整えつつ___」という、まだまだ膨大な作業と並行した状況。
整えも、自分ひとりでコツコツと。
それも、ちょっと楽しみながら向き合っている様子なので、本当の意味での完成は、まだ少し先のようです。
そしてそれも、きっと地球のリズムを感じながら進めているのだと思います。

那須の土地に芽吹いた、新たなTOKIIRO という花はどんな色なのでしょうか……。
ふと、そんなことを想像してみました。
これからの10年がとても楽しみです。

 


ラボ、ファサードから見る星。太古より全ての生物が見上げてきた景色。


Profile
TOKIIRO 近藤 義展
植物翻訳家、植物空間デザイナー。NHK「趣味の園芸」講師、日本園芸協会講師。著書に『多肉植物と暮らす 未来につながる植物生活』(主婦と生活社)他。
Instagram:@yoshinobukondo @ateliertokiiro
https://tokiirowebshop.com/

【展覧会】
「陶と季展/tou to toki ten 2026年春」
●日時:3月20 日(金)~ 24日(火) 11:00~18:00(最終日 ~17:00)
●場所:浦安のちいさなギャラリーどんぐりころころ
千葉県浦安市堀江3-2-10
TEL:080-5003-0778
Instagram:@donguri_corocoro_1982

 



「JALDIN BLANCの庭から

~花と暮らしの12か月~」は
月の初めの日曜にお届けする連載です

日々の感覚を整えるための、ささやかなヒントとしての「おしゃれ」や「暮らし」を、那須の四季とともにお届け。ゆっくり一年をかけて、毎月更新していきます。

←連載の記事はこちらから


 

 

最新刊
『心をととのえる処方箋——12か月のFlower days』

12か月の草花の移ろいとともに、星のリズムや大地とつながる「アーシング」など、現代人が忘れがちな自然との調和を綴ったライフスタイル・エッセイ。著者自らが手がけた写真、イラスト、デザイン、そして言葉が響き合い、読むだけで深い安らぎをもたらす「心の処方箋」となる一冊です。

 

著:RARI YOSHIO
定価:1870円

Amazon楽天ブックス



【RARI YOSHIO イベント情報】

●日時:3月6日(金)~3月8日(日)11:00~17:00
●場所:madonosoto
静岡県浜松市中央区下池川4-12 鈴の木ビル1F
Instagram:@madonosoto_home
https://madonosoto.stores.jp/reserve/madonosoto_class
※トークセッションは3月8日10:00~11:30、2500円、要予約

 

●日時:3月20日(金)~3月22日(日)11:00~17:00
●場所:Cafe miharu
茨城県日立市旭町2-8-14
TEL:0294-22-1567
Instagram:@miharu.cafemiharu
https://miharu-hitachi.square.site/

Profile

RARI YOSHIO

アートデザインクリエイターとして、イラストや雑貨制作、ショッププランニングなど幅広く活動。2007年、栃木・那須に移住。自宅内に併設されたショップ「JARDIN BLANC」を不定期オープン。

庭のある暮らしを通して、自然と人の感覚を結び直す表現を行っている。デザイン、イラストレーション、文章を横断しながら、日々の中にある小さな美しさや、心と身体のリズムを整える視点を大切にしてきた。四季の移ろいに寄り添いながら、自然とともにある暮らしの在り方や、感覚をひらくためのささやかな工夫を、作品と言葉を通して静かに伝えている。

Instagram:@rariyoshio

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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