【松本市の旅】流れ続ける毎日にそっと栞を差す、喫茶併設の本屋「栞日」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2026.08.01

城下町として400年の歴史を誇る長野県松本市。国宝松本城をはじめ、松本美術館や上高地など歴史文化自然を楽しめるスポットが数多くあります。
松本というと毎年5月末に開催される「クラフトフェアまつもと」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。日本のクラフトフェアの先駆けとして1985年に始まり、現在では全国から多くの人が集まる大人気イベントとなっています。
2013年に喫茶併設の本屋「栞日」、2022年に継承した百年以上の歴史を誇る銭湯「菊の湯」を営む菊地さんに松本市のおすすめのお店を教えていただきました。是非次の旅の計画を立ててみてくださいね。



こんにちは。長野県松本市で、喫茶併設の書店「栞日」と銭湯「菊の湯」を営んでいる、菊地徹と申します。


松本は、四方を山に囲まれた松本盆地の中心部にある山岳都市です。近世に松本城を起点に形成された城下町で、西に北アルプス、東に美ヶ原を望むことができます。湧水が豊富で、市街を歩くと、いくつも井戸を見かけます。
戦火や震災を免れているため、近世の町割りがいまも残り、城から徒歩圏内に主要な都市機能が集約されています。善光寺街道や野麦街道をはじめ、複数の街道が交差する交通の要衝だったため、多様な人や物資、文化が日常的に行き交う商都として栄えました。私のような余所者にも寛容な町人気質は、きっとこうした地理的・歴史的背景から、自ずと立ち上がってきたものだろうと捉えています。

静岡県静岡市で生まれ育った私は、大学進学を機に茨城県つくば市に転居し、就職を機に、ここ松本市に転入しました。都市と自然の距離感と、市街地の規模感に惚れ込んで、学生時代から目標にしていた自分の店を、ここ松本で開くことに決めました。2013年の夏のことです。


店名の「栞日」は、「栞の挿む日」を縮めた言葉で、私の造語です。日常というそれぞれの物語に栞を挿み、ひと呼吸いれて、再びその物語を歩み始めるための、一時避難所のような空間と時間、確かに日常と地続きのところにあるささやかな非日常を、私が好きで暮らさせていただく街に、その恩返しとして開くこと。これが二十歳の頃に定めた、私の目標であり、その非日常の場に名付けた名前が「栞日」でした。


松本駅からあがたの森公園に向かってまっすぐ延びる目抜き通り、あがたの森通り沿いに店を構える〈栞日〉は、喫茶と展示室を併設する書店です。学生時代に構想した〈栞日〉は、喫茶店の想定でしたが、松本で開くと決めてから、書店を主とすることにしました。喫茶の名店は数多ある一方、書店の多様性に余白があり、とりわけ私が暮らし続ける街には必須としていた、独立出版を手に取れる書店が欠けていた、当時の松本の状況を踏まえ、独立出版の専門書店を開くことが、この街に暮らすことへの恩返しになる、と考えたからです。


2020年の秋からは、向かいにある銭湯〈菊の湯〉の運営も担っています。この場所で親子三代、100年以上の長きに渡り、〈菊の湯〉を営んできたご家族から、その閉業を決めたとお知らせをいただいた際、いつも向かいから眺めてきた〈菊の湯〉を出入りする地元の常連さんの姿が浮かび、この場を銭湯として残し続けたい、という願いから、先代と相談を重ねさせていただき、会社として運営を受託させていただく運びとなりました。


松本の山の恵みである湧水を汲み上げ、日々の疲れを癒す湯を、日々のこととして沸かす仕事は、書店や喫茶と回路こそ異なりますが、まさに「栞日」の仕事だな、と感じています。

 

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栞日(しおりび)

長野県松本市深志3-7-8
TEL:0263-50-5967
営業時間:7:00〜20:00
定休日:水曜日
https://sioribi.jp
Instagram:@sioribi

 

 MAP:A

日本、〒390-0815 長野県松本市深志3丁目7−8

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