私たちも自然の循環の一部に。「完熟生せっけん」の工場見学【一田憲子さんエッセイ#02】

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2026.10.05

山梨県への移住をきっかけに、自然との共生についてより深く考えるようになったという『暮らしのおへそ』編集ディレクターの一田憲子さん。

「完熟はちみつ *1」から作られるという天然由来成分100%の「完熟生せっけん」の存在を知り、その農園と工場を訪ねることに。

全3回のエッセイのうち、前回の#01では、「山田養蜂場」が営む「山田みつばち農園」で本物の「完熟はちみつ」を見せてもらい、生き物がともに豊かに生きる「相利共生」という考え方に触れました。今回はいよいよ、「完熟生せっけん」を作る工場に潜入です。

 



「完熟はちみつ *1」から生まれる
「完熟生せっけん」


「山田養蜂場」が営む「山田みつばち農園」を訪ねて知ったのは、働きバチたちが、一生懸命蜜を集める健気さでした。

1匹の働きバチが一生かかって集めて作られるハチミツは、わずか約4グラム。

私たちが、ハチミツの瓶からすくいあげるスプーン1杯のハチミツには、どれほどのミツバチたちの労働がつながっているのか……と考えると、自然の営みへの感謝の心が自ずと湧いてくるようです。


きめ細かな泡で、不要なものだけが落ち、肌をありのままの素の状態に戻す、「完熟生せっけん」。


そして、そんな「完熟はちみつ *1」を使ったスキンケアブランド「apiterrapi」の工場を見せていただくことになりました。

「山田養蜂場」は、養蜂だけでなく、農業支援や植林活動、里山の多様性保護など、自然環境、地球環境を守る活動を幅広く行なっているそう。
農園の近くにある工場内には、「山田養蜂場」の歴史や成り立ちを知ることができる展示スペースがあります。
広報の早瀬智恵さんが、館内を案内してくださいました。

 


「2015年に竣工されたこの工場は、敷地面積が約6万平方メートルあります。
工場は森に囲まれていますが、約3万本、50種類の蜜源植物が植えられています。
社員やそのご家族、地域の皆さんが一緒になって植樹したんですよ」
と教えてくれました。

そういえば、ここに来る時に乗ったタクシーの運転手さんが「あそこの木は、私が植樹したんですよ」と自慢そうに教えてくれたっけ。
工場を訪ねた頃は、ビワやヒメオドリコソウなどの花が咲いていました。

「毎年5月になるとレンゲが咲きほこり、その花を求めてミツバチが集まります。
実は、山田養蜂場の創業者も、このレンゲの花を求めて、ここ鏡野町へやってきました。
日本にはレンゲの三大産地と呼ばれていた地域があって、宮崎県、岐阜県、そして岡山県北部の鏡野周辺です。
日本の里山の風景そのままがここにあります。
だからこそ、良質な蜜が取れるんです」
と早瀬さん。

そっか。
工場と言っても、ミツバチが集めた蜜がないと、製品を作ることができないのか……。
と当たり前のことを改めて知りました。
だからこそ、工場の周りにミツバチたちが暮らしやすい環境を作る必要があったのです。

社員の家族や、地域のみんなで木を植える……。
「apiterrapi」のスキンケアシリーズも、そんな環境の中で生まれていました。

 



ローヤルゼリーってなに?
プロポリスってなに?


工場の近くには、ハチミツやローヤルゼリー、プロポリスなど、天然素材の安全性や機能性について、日々研究を行う「健康科学研究所」という施設があります。
こちらの工場では、その研究成果を活かした製品づくりが行われているそうです。

「ローヤルゼリーは、女王バチを育てるためだけに作られる特別な巣=王台という部屋の中で作られます。
働きバチが花粉などを食べ、自分の体内で作り出したものを口から分泌しています。
それを幼虫のための栄養として王台に入れていきます。
それがローヤルゼリーです。

採取する時には、人の手でローヤルゼリーだけをすくい取ります。現在でもこの工程はほとんど手作業です。
だからこそ、とても貴重なんです。

実は、女王バチと働きバチは、生まれ持った遺伝子はまったく同じです。
違うのは、生まれてから何を食べるかだけです。
幼虫のうちは、すべてのミツバチがローヤルゼリーを食べ続けます。
でも数日後から働きバチは花粉やハチミツを食べるようになり、女王バチだけが一生ローヤルゼリーを食べ続けます。

その食べ物の違いだけで、体の大きさは1.5~2倍、寿命は40日ほどから2~3年へ、そして毎日1500~2000個もの卵を産み続ける、という大きな違いが生まれます。
それほど大きな生命力を支えているのがローヤルゼリーなのです」


施設内には、さまざまなハチミツのサンプルが。花によってハチミツの色や味、香りも変わる。


一方プロポリスは、ミツバチが巣を守るためにつくる天然の物質。
植物の新芽や樹脂を集め、自分たちで加工し、巣の隙間を埋めたり、外敵や細菌から巣を守ったりするために使うそう。

「ミツバチの巣が非常に清潔に保たれているのは、このプロポリスのおかげです」
と教えてもらいました。

 


 

完全装備で、
いざ! 初めての工場見学へ

さあ、いよいよ「apiterrapi」の石けんを作る工場に潜入です!
入る前には、まず白衣に着替え、帽子を着用します。

「イチダさん、写真に写るのに、こんな姿で大丈夫ですか?」
と現場の方にご心配いただきましたが、雑菌を持ち込まないためにも、これは必須!
でも、頭から足先まで、支給されたものに着替えたら、なんだか冒険が始まるようでワクワクしてきました。

「では、次にこの中に入ってドアを閉めてください」
という言葉に従って、中に入ってみると……。
突然、ビュワ~!! と四方八方からものすごい勢いで風が吹き出しました。
「うわあ~」と思わず声が出てしまいましたが、これで埃や汚れを吹き飛ばしているそう。
やっと準備完了です。

 


工場への入り口で、強力なエアシャワーで全身を清潔に。




この穴に、石けん素地を流し込んで固める。


工場内はどこもピカピカ。
開発担当の佐道哲也さんの案内で、石けんを溶かす釜の中を覗かせていただいたり、ひとつずつ流し込む型を見せていただいたり。

この「apiterrapi」の象徴的なアイテムが、「完熟生せっけん」と「クレンジングオイルジェル」です。
「生せっけん」と呼ぶのは、天然由来成分100%、「完熟はちみつ」ならではのとろけるような触り心地だから。

やわらかいけれども、溶け崩れないのは、まるで呼吸をするように水分を吸ったり吐いたりして石けん自身が最適な水分量を調整しているからだそう。
石けんの主な成分は、美容成分豊富なオリーブ果実油由来のカリ石けん素地 *2  とハチミツです。

「『完熟生せっけん』の特長は、まったりとコクのある使い心地。
水でもさっと泡立ち、泡切れもいいので洗い残し感もありません。
すっきりと洗い流して、後肌はしっとりなめらかになりますよ」
と教えていただきました。


「完熟生せっけん」の素地を作る「まるごと炊き込み製法」の窯を覗き込んで。


「多くの場合、固形石けん製造の際には、素材から石けん素地、グリセリン、不純物に分解する工程があり、その都度廃棄物が出てしまいます。

でも私たちの石けんは、『まるごと炊き込み製法』という特殊な製法を使っています。
廃棄物がほとんど出ず、自然素材をそのまま凝縮できる製法で、使っている時も、水に流した時も、石けんカスが出にくいんです」

 



作っている時も、使っている時も
廃棄物がほとんど出ない石けん



型から外した棒状の石けんをカット。立てた状態でしっかり乾燥させてから整形する。


実は私は今年、山梨県に移住したばかり。その暮らしの中で、よりリアルに感じるようになったのが排水の問題でした。

山の中の家は浄化槽なので、流した水が濾過されて地面に染み出します。
家のキッチンや洗面所やお風呂の排水が、そのまま大地とつながっている……。
そう感じるようになって、選ぶ石けんや洗剤について以前より慎重に考えるようになりました。

「洗顔料、ボディソープ、シャンプー、洗剤などは、家庭の排水口から下水道管を通り、下水処理場へと運ばれます。
そこで物理的・生物学的な処理を経て、最終的にきれいな水として河川や海へ放流されます。

洗浄料の排水は、適切な処理施設によって、ほぼ分解・除去されますが、製造者の責任として少しでも環境負荷を減らすことができたら。
私たちの石けんは100%天然由来で、それを目指した環境配慮設計です」



できたてほやほやの1個を手にとって。


実はここで採用されているカリ石けん素地は、オリーブ果実油をベースに作られた、自然と肌へのやさしさ、洗浄力、安定性にすぐれた成分。
でも、本来カリ石けん素地は液状で、固形化が難しかったそう。

「職人さんたちと、スキンケア開発班がタッグを組んで、固形化することができました。
液体洗顔のようにプラスチック容器も不要で、このまま使えるからすごくエコなんです」

そんな説明に、この「apiterrapi」を使う意味は、肌ケアのためと同時に地球のためなんだとわかってきました。



「apiterrapi」のロゴは、ひとつずつ手作業で刻印。


工場内には、できたばかりの石けんがずらりと並んでいました。
ハチミツ色で、なんだかおいしそう!

「私たちは、“足し算”ではなく、素(す)の肌のすこやかさを追求したスキンケアを目指しています。
素肌の上の余計なものだけを落とし、肌に必要な潤いを守る。
その考え方を、『はちみつ*1 素肌ケア』と呼んでいます」

肌に必要な皮脂は残しながら、角栓や酸化皮脂を浮かせて落とす選択洗浄性があり、肌組成と相性のいい天然成分が肌に潤いをためこみながら、天然の類似皮脂膜を形成。
だからこそ、この石けんで洗うと、「化粧水も忘れるほど潤う」と言われているのだとか。

私も、歳をとってから「汚れを落とす」ことより、「洗いすぎないこと」が大事であることを実感してきました。
「これはいいよ」とすすめられた洗顔料を使うと、確かにさっぱりするのだけれど、洗い終わったら、肌がつっぱったり、その結果、カサカサして肌荒れが起こったり、トラブルの原因に……。

「きちんと落とすけれど、落としすぎない」
その塩梅がいい石けんをずっと探してきたのです。

製造過程をこの目で確認した「apiterrapi」の石けんをぜひ使ってみたいと思います。

 



ミツバチたちに敬意を払い
スキンケアの習慣を


左から「クレンジングオイルジェル」4,180円、「完熟生せっけん」3,630円


クレンジングオイルジェルは、天然由来成分97%のメイク落とし。
アカシアやマヌカなどの「完熟はちみつ」と、シュガースクワランオイル *3、はちみつ発酵液 *4 などから作られています。

「完熟はちみつ」とは、ミツバチたちが自分の羽ばたきによって水分を飛ばし、糖度80%になるまで熟成させたハチミツのこと。

市場にある安価なハチミツは、まだ完熟していない状態のものを加熱して煮詰めているケースもあります。
でも、加熱をすると、40~45℃を超えたあたりでハチミツに含まれる酵素の働きが低下してしまうのだとか。

「完熟はちみつ」は、栄養がそのまま残っているからこそ、肌を柔らかく整えて、みずみずしく透明感のある素肌に導きます。

クレンジングの際に起こる3つの「不自然刺激」というものがあるそう。
1つ目が、洗浄成分による刺激、2つ目がゴシゴシ摩擦による刺激、そして、3つ目が落としすぎによる刺激。

「apiterrapi」のクレンジングオイルジェルは、天然由来の肌組成に近い洗浄成分だから肌にやさしく、さらに、美容成分をたっぷり含んだ厚みのある高保湿ジェルが、摩擦レスに汚れや不要な角層をするりと巻き取ります。

水との親和性があり、さらっと落ちるのもいいところ。
オイルクレンジングだと、肌質により「必要なものまで全部落ちすぎる気がする」という人も、納得して使える、ジェルとオイルのいいところどりのクレンジングなのです。



左から「オイルセラム」25mL 6,930円、15mL 4,180円


基本的には、クレンジングと石けんだけで十分だそうですが、皮脂は体調や季節で崩れやすいので、補うためにオイルセラムを。
こちらは、ローヤルゼリーオイル *1 やオリーブスクワラン *1 を使っていて、肌に近い成分で、擬似皮脂膜を作ってくれるそう。


「ハーブはちみつ エキナセア」瓶(200g)3,024円、スティック(7g×15包)2,160円


さらに、体調管理のためには、「ハーブはちみつ エキナセア」がおすすめ。
エキナセアは、ネイティブアメリカンが昔から使っていたハーブで、体調管理のために飲まれてきたものだそう。
それをハチミツにつけこんだもので、健やかに日々を過ごすための習慣のひとつとして取り入れたいもの。

 


 

工場見学を終えて感じたのは「apiterrapi」のスキンケアのあれこれが、とても正直に作られているということでした。

ハチミツを主役に、ハーブやオイルなど、自然の力をそのまんま利用させてもらう……。
それ以上の効果を、と欲張って何かをプラスすることなく、大地の恵みをいかに、私たちの肌の循環と結びつけることができるか……。
そう考える謙虚な姿勢は、ミツバチに、そして地球に敬意を払っているようでした。

そして、その石けんやクレンジングオイルジェルを使ってみたくてたまらなくなりました。
もちろん肌への効果を期待するものではあるけれど、それ以上に、この石けんを使うことで、私たちも自然の循環の一部になれる気がするから。

都会に暮らしていたり、仕事でバタバタと忙しい日々を送っていると、なかなか自分が「地球の一員」であると感じることができません。

でも、1日の始まりに、そして終わりに。
この石けんで顔を洗うことで、きっとあのミツバチの健気な羽音を思い出すことができるはず。
あの健気なミツバチたちのように、私も私ができることをやろう……。
そう思えてくるのです。

 


 

さて、このお話の続きは、来月お届けする予定です。
農園と工場を訪れたあと、実際に「apiterrapi」を使い始めた一田さん。日々のスキンケアという自分の小さな行動が、自然の循環の一部になるのを実感することで、何を思い、何に気づかされたか……、そんなお話をじっくりとお伝えしたいと思います。

 

*1 保湿成分
*2 洗浄成分・保湿成分
*3 肌の保護・洗浄成分
*4 整肌成分


text:一田憲子 photo:中川正子

 

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公式サイト:apiterrapi(アピテラピ)
Instagram:@apiterrapi

 

*初めてご購入の方には、クレンジングオイルと完熟生せっけんのお得なキットも発売中。
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Profile

一田憲子

Noriko Ichida

編集プロダクションを経てフリーライターに。2006年、企画から編集、執筆までを手がける『暮らしのおへそ』を、2011年『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)を立ち上げる。2016年からは自身のWEBサイト「外の音、内の香」を運営。
Instagram:@ichidanoriko2024

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』などのムックや書籍を制作する編集部が運営しています。

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