【大人の新宿おひとりさま外食】紀伊國屋書店で本を買ったらどこへ行く? 

おひとりさま外食
2026.08.04

この春、大好評だったサカキシンイチロウさんによる【大人のおひとりさま外食】特集がかえってきました! 今回、取り上げるのは、日本一の乗降客数を誇る〈新宿駅〉。人、人、人であふれるこの街で、「ひとりで、いい時間を過ごせるお店」って、本当にあるの? サカキさんの答えはもちろん「ありますよ!」 人混みをすり抜けた先に待っている、ちょっとホッとする自分だけの居場所。どうぞ、のぞいてみてくださいね。

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待ち合わせは紀伊國屋書店で

「今日は“紀伊國屋”で5時」。

新宿で待ち合わせをするときには、そんなふうに言ってしまいます。新宿で待ち合わせをするなら紀伊國屋書店の1階、エスカレーター前が一番便利。紀伊國屋書店は新宿のヘソのような場所です。駅も歌舞伎町も、百貨店の伊勢丹だって紀伊國屋書店からほぼ等距離。待ち合わせして、どこかに移動するのに都合がいい場所にある。


それに1階に話題の本が並んだ売り場があって、本を見ながら待つのは楽しい。待ち合わせでなくても新宿に出たら紀伊國屋書店で本を見る。気になる本を一冊買って、それから目当てのお店で目次や前書きを読むのがボクの〈新宿おひとりさま時間〉の最初の楽しみ。ひとりでワクワクしながら本を開いて、のんびり時間を過ごせる飲食店が、新宿にはたくさんあります。

ゆっくり本が開けるおひとりさまカフェ&喫茶

例えばイタリアからやってきたエスプレッソバル「セガフレード・ザネッティ」。新宿三丁目駅の近くにあって、お店の前は人が溢れるにぎやかな通り。にもかかわらず大抵一席、ボクを待っている席があり、特に一階のカウンターは街の気配を感じながら、本のページをめくるのにピッタリな場所です。

「セガフレード・ザネッティ」の近くには「ローレル」という喫茶店がある。ここは穴場です。チェーン店でもなくソーシャルメディアに登場することもない普通の喫茶店だからでしょう。静かで空気ものんびりしてる。お店の人は親切で、昭和喫茶を思う存分楽しめます。

紀伊國屋書店と並んで新宿のランドマークのひとつ、「タカノフルーツパーラー」の地下にはパフェ専門店の「パフェリオ」がある。フルーツパーラー厳選のフルーツと、ソフトクリームを使ったパフェを目の前で仕上げてくれます。カウンターだけの店ですから、おひとりさまもさみしくはなく、パフェが出来上がる様子を見ていると、本を読むのも忘れてしまう。それもいい。


撮影:サカキシンイチロウ


そういえば紀伊國屋書店の地下1階はおひとりさまにやさしいお店の宝庫でした。ボクが20代の頃には、新宿でお腹が空いたら“紀伊國屋ビル”の地下に行けばなんとかなると思っていた。


その頃は、博多うどんのお店があった。炒めスパゲティがおいしい「JINJIN」、コンソメスープで煮込んだロールキャベツが人気の居酒屋「珈穂音(カポネ)」なんてお店もあってね。中でもこの飲食フロアを代表したのが、サラサラカレーで有名な「モンスナック」。カウンターだけのお店の壁には文人の色紙がズラッと貼られていました。古いビルゆえ、耐震基準を守るための工事でほとんどの店が閉店。「珈穂音」は近所に場所を移し、「JINJIN」や「モンスナック」は耐震工事が終わって戻ってきた。ただ「モンスナック」はお店の雰囲気がカフェっぽくなり、かわりにちょっと歩いた西新宿のビルの中にカウンターだけの昔の風情を思い出せるお店ができました。名物のカツカレーを頼めばトンカツを揚げる時間に本の目次に目を通せます。


撮影:サカキシンイチロウ


そして「珈琲貴族エジンバラ」。新宿を代表する喫茶店といってもいいんじゃないのかなぁ……。100席を超える大箱。大きなテーブルにゆったりとした椅子。おだやかな時間が流れるお店でなによりお店のスタッフの仕事が丁寧。コーヒーをお願いすると一杯ずつサイフォンだてにしてくれて、目の前でカップに注いでくれるんです。そのコーヒーはすっきりとした味わいで何杯飲んでも胸が重たくならないおいしさ。本とおいしいコーヒーの相性って運命的なものだなぁ……、ってしみじみ思える良きお店。喫煙席もあって、タバコの匂いがちょっと気になる。でも、それこそ懐かしき昭和の新宿の空気なんだと思えば、笑顔で我慢できるお店です。

 

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著者:サカキシンイチロウ
撮影:黒川ひろみ・有馬貴子
デザイン:天池聖
マップ製作:重志保
協力:森有貴子
校閲:文字工房燦光
主婦と生活社刊

Profile

サカキシンイチロウ

Shinichiro Sakaki

1960年愛媛県松山市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、店と客をつなぐコンサルタントとして1000社にものぼる地域一番飲食店を育成。語学力と行動力と豊富な知識で戦略を展開する。飲食店の経営のみならず、食全般に関するプロデュース、アドバイスを主な業務として活躍中。著書に『おいしい店とのつきあい方。』(角川文庫)などがある。毎日更新しているnoteでも発信中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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