飯台のある生活

今日のひとしな
2026.10.13

〜「en-shouten」より〜 vol.13

ちらし寿司が食卓に並ぶような、ハレの日にも活躍するのが寿司桶、飯台です。ただ、よく見かける飯台はサイズが大きすぎるものが多く、2~3人でも使いやすく、長く使える佇まいの美しいものを、とずっと探していました。そんなときに出会ったのが、木曽郡南木曽町で製作する巳乘(みのり)桶店 河野穣さんのさわらの飯台です。


伝統的な竹の箍(たが)が美しい河野さんの飯台は、木曽産の天然さわら材と南木曽の真竹を使い、丁寧に製作されています。天然のさわら材だからこそのきめ細かい木目と爽やかな芳香。竹を使った箍は見た目の美しさだけでなく、水分によって収縮・膨張する天然素材だからこそ、桶自体が乾燥で縮んでも金属製よりたがが外れにくいという、理にかなった仕組みでもあります。
底部は接地面が斜めに加工されていて、汚れにくく、見た目にも軽やかさがあります。
河野さんと出会ったのは、彼がまだ木工の学校に通いはじめたときのことでした。当時、カッターナイフの刃を使って自作したカンナで削り出したというコーヒードリッパーを見せてもらったのが、今でも印象に残っています。その後、上松技術専門校を卒業し、南木曽町の桶職人・青木康雄さんに師事して独立した河野さん。
素人の時から道具をつくってしまうようなこだわりの人だったからか、この飯台の造形には他と異なる魅力を感じます。飯台としての枠を逸脱しない僅かなテーパー、伝統的な竹たがや桶の曲線と、天然さわら材の直線的な木目との対比。針葉樹の美しさと、桶結いという伝統の技術。眺めているだけでも惹かれるものがあります。


河野さんはこんな言葉を残しています。「竹箍の桶は現代の生活様式に馴染み良く、白木の温もりをより感じ取れる製品です。古き良きモノの良い所をそのままに、新しい一面を織り交ぜながら、生活の拠り所の一つとなれるような桶づくりに努めてまいります。」


もちろん道具としても優秀です。無塗装の木部がご飯の水分を適切に吸ってくれるので、ぱらりとした酢飯に仕上がります。酢飯づくりはもちろん、冬はお鍋の具材を、夏は素麺や夏野菜を氷と一緒に。季節を問わず日常的に使えるので、ハレの日の道具というより、飯台のある生活そのものが楽しくなっていきます。


en-shoutenでは、2~3人分・2合の酢飯にちょうどいい9寸と、3~4人分・3合にちょうどいい1尺をセレクトしています。他のサイズをご希望の場合もご相談いただけます。
(文・井上)

巳乘桶店 / 竹たが飯台 | en-shouten ONLINE

 

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