古き良き時代の＂Made in Japan＂。デッドストックの白磁器の魅力

～ FESTINA LENTE（フェスティーナ レンテ）より　vol.5 ～

一見すると、ただの白い陶器。

でもそれは、一言では言い表せないほどに奥深い。。

1950年代から1970年代に、海外輸出用に日本で作られた白磁器は、主にヨーロッパやアメリカへ向けた輸出用で生産されていたもの。

ここにあるものは、輸出されるはずの出番を待っていて、時が止まってしまった「白」。白いままのものが多いのは、輸出先で絵付けされる予定だったからだと言われています。

きれいな白色とシンプルなデザインは使い勝手がよく、和食にも洋食にも相性がいい。しっかりした丈夫な作りの中に、ちょっとした個体差が顔をのぞかせる面白さが魅力です。

中でもひときわ面白いのは、こちらの小さなカップ。

カップの内側を覗いて光に透かすと、芸者さんの顔が浮かび上がります。
1950年代の芸者ブームのときに作られたものと思われ、こちらも海外輸出用に作られたそうです。

何十年もの時を経てようやく動き出した、日本製の白磁の時間。
ぜひ食卓で思いを馳せてみてください。

誇らしきMade in Japan。永い眠りから覚めた白磁のお話でした。

文・写真/Kasai Shiki

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