身体の延長
〜「en-shouten」より〜 vol.26
長野県は南北にずいぶん長い。県内中程といえど木曽から見れば、長野県の北の方はかなり遠い場所にあったりします。
TAIKOさんのことは、だいぶ前から知っていました。知ってはいたけれど、手に取る機会がたまたまなくて。自分で買ったのは今年になってからです。それからすっかり魅了されてしまって、なぜもっと早く履かなかったんだろう、と思っています。

TAIKOは、製糸業がさかんだった長野県で1949年に創業したニットファクトリーです。70年以上にわたって靴下をつくり続けてきた工場で、特にこの20年ほどはスポーツソックスの開発に力を入れ、アスリートの足元を支えてきたのだそう。これまでに手がけた靴下は数千種以上だといいます。
そのTAIKOが自社でつくっているのが、足袋型ソックスのAMITABI。日本に古くからある足袋の形を取り入れた靴下です。

足袋型ソックスを履くのは、実は初めてではありませんでした。
都内の木工の学校に通っていた頃、手加工では足で材料を押さえることがあります。江戸指物の影響でしょうか。その際に足を扱いやすいからと足袋型のソックスをおすすめしてもらって、そのままよく履いていました。足を道具として使う職人仕事にもぴったりです。
ただ、当時履いていたものは、正直あまり履き心地が良くなくて。作業用としては優秀でしたが、日常で使いたいとは思えませんでした。
ところがAMITABIは、まったく違いました。

時間をかけてゆっくりと足先を編むことで、立体的なつくりを実現しています。タビの部分が平面ではなく立体で編まれているので、足に馴染んで脱げにくい。
履いてみて驚いたのは、やはり足の裏の感覚でした。親指が独立しているからか、足に力が入れやすい。身体が動かしやすくて、歩きやすいのです。棚のものをランダムに落として回る2歳の息子を捕獲するときの足捌きも、格段に良くなりました。
ふくらはぎの締め付けもありません。履き口に通常のゴムを編み込んでいない仕様なので、リラックスできるのに、足全体はしっかりホールドされている。この感じが気持ちいい。

足袋型なので、下駄や鼻緒のサンダルにも合います。もちろん普通の靴も問題なし。店頭では海外の方もよく手に取られていて、エアリフトやマルジェラの影響なのか、日本のカルチャーへのリスペクトなのか、どちらなんでしょうね。

AMITABI BASICは、つま先とかかとだけ内側が密度の高いパイルで編まれています。力がかかって汗もかきやすいつま先と、擦れやすいかかとを補強してあるので、丈夫で快適。
指先のパイルが汗を吸ってくれるので、少々暑くても蒸れにくく、寒くても暖かい。かかとのパイルもクッションとして効いていて、疲れにくく感じます。まだ数ヶ月ですが、ヘビロテしていても丈夫そうです。オールシーズン履けそうな一足。

ウールのものもあります。
メリノウールソックスは、ウール繊維の内側にナイロン糸を交撚した防縮メリノウール糸を使っていて、柔らかさと耐久性を両立しています。これが履いてみるとかなり気持ちいい。パイルの肌触りがとても良くて、履くこと自体が嬉しくなります。細かいパイル仕様なので合わせる靴も選ばず、登山や冬のスポーツにも良さそうです。
AMITABI WOOL PILE SOCKSは、ウール100%の糸をベースに全体をパイル編みにしたもの。表側にはナイロンを合わせて強度を高めてあります。全面パイルなので、厳寒地の木曽の冬もこれでしのげそうです。

日用品というのは、生活の道具です。日々の暮らしを、自分が思い描く理想に少しでも近づけるための、手足の延長のようなもの。
そう考えると、職人が今も使う足袋の形は、身体の延長として最適なのかもしれません。それを日常に落とし込んだTAIKOのAMITABIは、生活の道具として理想的な一足だと思います。
(文・井上)
TAIKO | en-shouten ONLINE
長野県木曽郡木曽町福島8101
TEL : 0264-24-0875
営業日/時間:Instagramを確認
https://en-shouten.com
Instagram : @en_shouten
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